大気汚染が私たちの健康に及ぼす影響について、よく耳にしますよね。
呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高めるといった話はよく知られていますが、最近の研究では、大気汚染が認知症リスクにも関わっていることがわかってきました。
では、なぜ大気汚染が認知症のリスクを高めるのか?その理由を探ってみましょう。
大気汚染が脳に与える影響とは?
カリフォルニア大学の研究によると、大気汚染の高い地域に住む人は、認知症を発症するリスクが高いことが確認されています。
大気汚染物質は、体内に入り込んで脳に炎症を引き起こし、これが認知機能の低下に繋がるとされています。
特に、微小粒子状物質(PM2.5)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質が、脳の神経細胞を損傷する可能性があることが指摘されています。
さらに、これらの汚染物質が引き起こす酸化ストレスや慢性的な炎症が、脳内の神経伝達物質のバランスを崩し、アルツハイマー病などの認知症リスクを高めると考えられています。
大気汚染を改善することでリスクを減らせる
ここで重要なのは、大気汚染を改善することで、認知症リスクを減らせる可能性があるという点です。
ロンドン大学の研究によれば、大気中の汚染物質濃度が低下すると、認知機能の低下が緩やかになることが示されています。
つまり、大気汚染対策は、単に環境を守るだけでなく、私たちの脳の健康を守る上でも極めて重要です。
世界が取り組む大気汚染対策
ヨーロッパでは、多くの国々がこの問題に真剣に取り組んでいます。
欧州連合(EU)は新たな環境基準を設定し、各国に対して自動車の排ガス規制を強化。また、電気自動車の普及を促進するための政策も進んでいます。
スウェーデンやドイツなどでは、再生可能エネルギーの利用が進んでおり、化石燃料の使用を減らすことで、温室効果ガスの排出を大幅に削減しています。
日本でも、低排出ガス車や電気自動車の普及を進める政策が導入されていますし、工場からの排出ガスに対する厳しい基準も設けられています。
私たちができることは?
個人でもできることはたくさんあります。例えば、住む場所を選ぶ際には、幹線道路から離れた地域を選ぶことがリスクを減らす一つの方法です。
また、できるだけ公共交通機関を利用したり、車を購入する際にはエコカーを選んだり、エネルギー効率の高い家電製品を使うなど、環境に優しいライフスタイルを心がけることも大切です。
こうした日々の選択が、私たち自身だけでなく、次世代の認知症リスクを減らす未来につながっていくのです。
参考
主要な道路に近く住んでいる人々は認知症の発症リスクが高い可能性があることが示されました。しかし、パーキンソン病や多発性硬化症との関連については明確ではありませんでした。この研究は、カナダのオンタリオ州に住む人々を対象に、主要道路への近接とこれらの神経疾患の発症との関連を調査しました。結果として、認知症の発症リスクが高いことが示されましたが、パーキンソン病や多発性硬化症との関連は見られませんでした。
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