「まず理解に徹し、そして理解される」話す前に相手のストーリーを聞くということ

この記事の結論

  • 第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」は、先に自分の話をするのではなく、相手の文脈・感情・目的をしっかり受け取ってから、自分の意見や提案を出すという順番の話です。
  • 人は相手の話を聞いているようで、「評価する・探る・助言する・解釈する」という4つの自叙伝的反応を挟みがちで、その瞬間に本音と本当の課題が見えなくなります。
  • ビジュアルマーケティングや撮影の現場でも、「どう撮るか」より前に「なぜ撮るのか・誰にどう見せたいのか」を理解し切ることで、世界観のズレや後悔を大きく減らすことができます。

どうも岩崎です。

今日は『7つの習慣』の第5の習慣、「まず理解に徹し、そして理解される」を、写真やデザイン、ビジュアルマーケティングの打ち合わせに絡めて整理してみます。

この習慣はシンプルに言うと、「分かってほしければ、まず相手を分かろうね」という話です。ただ、ここで言う「分かる」は、表面的な情報を聞くことではなく、相手のストーリーごと受け取るレベルの話なんですよね。

4つの自叙伝的反応と、その典型パターン

反応の種類 口ぐせの例 何が起きているか
評価する 「それは正しい」「それは違うよ」 相手の話を最後まで聞く前に、合否や善悪でジャッジしてしまう。
探る 「本当の理由は?」「裏では何が?」 相手の気持ちより、原因探しや詮索が中心になってしまう。
助言する 「こうすればいいじゃない」「それはこう直せばOK」 まだ十分に状況を理解していない段階で、解決策を先に出してしまう。
解釈する 「つまりあなたは〇〇なんだね」 相手の文脈ではなく、自分の物差しで意味づけし直してしまう。

4つの自叙伝的反応をやめない限り、相手は本音を話してくれない

コヴィー博士が指摘しているのが、「自叙伝的反応」という癖です。簡単に言うと、「相手の話を、自分の物語フィルターで勝手に処理してしまう反応」です。代表的なものがこの4つ。

  • 評価する:「それは正しい」「それは間違っている」とすぐジャッジする。
  • 探る:「本当の理由は?」「裏は何?」と詮索モードに入る。
  • 助言する:「こうすればいいじゃない」とすぐアドバイスしてしまう。
  • 解釈する:「つまりあなたは〇〇なんだね」と自分の枠で意味づけする。

例えば、こんな会話です。

クライアントさん「最近、写真を使っても全然反応がなくて…。」

  • 評価する:「いや、その考え方が甘いんですよ。」
  • 探る:「売上どのくらい落ちてます?広告はどうしてるんですか?」
  • 助言する:「今どきはショート動画ですよ。とりあえずReelsを毎日上げましょう。」
  • 解釈する:「要するに、マーケティングが苦手なんですよね。」

どれもやりがちですし、私も全部やったことがあります。ただ、この4つが先に出てしまうと、相手は「この人には分かってもらえないな」と感じて、本音の部分を隠し始めます。

第5の習慣で求められているのは、ここをぐっとこらえて、まずは相手のストーリーの中に入っていくことです。

「まず理解に徹する」をビジュアルの現場に落とすとこうなる

写真やビジュアルを扱う仕事で、「まず理解に徹する」をやろうとすると、こんな順番になります。

  • 今、どんな場面で写真やビジュアルを使っているのか。
  • それを見てほしい相手は誰なのか。
  • その相手に、どう感じてほしいのか。
  • 最終的に、どんな行動につながればうれしいのか。

このあたりを、できるだけ具体的なエピソードで聞きます。

「どんな人が来てくれたら理想ですか?」
「最近撮った写真で、『これは違うな』と感じたものはどれですか?」
「そのとき、どこが一番モヤっとしましたか?」

こうやって掘り下げていくと、最初は「反応が悪いんです」と言っていた人が、「本当は、うちのスタッフの雰囲気が伝わる写真にしたいんです」とか、「安売りっぽく見えるのが嫌なんです」という、本音に近い言葉を出してくれることが多いです。

ここまで聞けて初めて、「どんな光で、どんな距離感で、どんな色味で撮るか」という撮り方の話が、ビジネスとつながってきます。逆に、ここをすっ飛ばしてカメラやレンズの話だけしても、だいたいどこかでズレます。

理解してから理解される だから提案が通りやすくなる

第5の習慣の後半は、「そして理解される」です。ただ、順番が大事で、「理解してから、理解される」です。

先ほどのように、相手の背景や感情、目的を一緒に言語化できていると、こちらが提案する内容も説明しやすくなります。

「さっきお話しされたように、『安売りっぽく見せたくない』というのが一番のポイントだと思うので、今回はあえて割引のバナーは使わずに、光と色で『ちゃんとしている感』を出す構成にしましょう。」

このように、「さっきあなたが言っていた〇〇を実現するために、この提案をしていますよ」という形で話せると、相手も自分ごととして受け取りやすくなります。

カメラマンやデザイナー、マーケターがやりがちな失敗は、「良かれと思って技術的に正しいことをやるけれど、その前の理解が足りていない」パターンです。第5の習慣は、ここへの強烈なストッパーになる感覚です。

相手のストーリーを3つだけ聞き切る質問

とはいえ、毎回じっくりカウンセリングするほど時間が取れない場面も多いと思います。なので、私が打ち合わせやヒアリングでよく使っている「3つだけ聞いておく質問」を置いておきます。

  • 今のビジュアルで「一番イヤだな」と感じているところはどこですか?
  • 理想の状態をひと言で言うと、どんな雰囲気・印象ですか?
  • その写真やデザインを見た人に、最後どうしてほしいですか?

この3つだけでも、かなり相手のストーリーが見えてきます。ここまで聞けると、「まず理解に徹する」の最低ラインはクリアかな、という感覚です。

明日は、第6の習慣「シナジーを創り出す」に進みます。自分ひとりでは出せないものを、違う視点を持った相手と組むことで生み出していく話を、チーム撮影や制作の現場と絡めて整理してみます。

ではまた。

P.S.

普段はこんな偉そうなことを書いておきながら、家だと第5の習慣が一瞬で吹き飛びます。

先日も、家族が「今日ちょっと疲れたんだよね」と話し始めた瞬間に、「それはさ、もっと早く寝た方がいいよ」と秒で助言モードに入ってしまい、「そういうことが言いたいわけじゃない」とバッサリ切られました。

まず理解に徹するどころか、まず口が動く。第5の習慣どころか、第0の習慣からやり直しですね。仕事のヒアリングより、身近な人の話を聞く方が何倍も難しいんだなと、改めて実感しました。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。