広告予算はLTVと回収期間から逆算するという話

この記事の結論

  • 広告予算は「今月いくら使えるか」ではなく「LTVと回収期間」から逆算した方がブレにくい。
  • 1か月回収モデルと3か月回収モデルでは、同じLTVでも許容できるCPAが大きく変わる。
  • Meta広告をテストするときは「とりあえず少額」ではなく、最低でもCPAの目安が見える程度の投下額を決めておいた方が判断しやすい。

どうも岩崎です。

広告の相談を受けていると、よく聞かれるのが「広告予算って、月いくらぐらい使えばいいんでしょうか?」という質問です。真面目な方ほど、家計簿みたいに「固定費としてこれぐらいなら…」と考えてしまいがちなんですが、広告費は家賃とは少し性質が違います。

今日は、私がMeta広告まわりでいつも使っている「LTVと回収期間から逆算する考え方」を、できるだけ難しい数式は使わずに整理してみます。

月商ベースではなく「LTV × 回収期間」で考える

まず前提として、広告予算を「今月の売上の何パーセント」といった月商ベースだけで決めてしまうと、かなりブレが大きくなります。期によって売上は変動しますし、広告の効果も月ごとに波があります。

そこで軸にしたいのが、次の2つです。

  • 1人あたりのLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)。
  • そのLTVを何か月以内に回収したいか(回収期間)。

ざっくり言うと、「1人のお客さんから最終的にどれくらいの粗利が出るか」と「その粗利を何か月で取り戻したいか」の掛け合わせで、広告にかけていい金額の上限が決まってきます。

1か月回収モデルと3か月回収モデルの違い

具体的なイメージを出してみます。極端に単純化しますが、次のようなケースを考えます。

  • あるサービスの1人あたりのLTVが30,000円。
  • そのうち、原価などを引いた粗利が18,000円。

このとき、

  • 1か月以内に広告費を回収したいモデルなら、許容できるCPAはおおよそ18,000円まで。
  • 3か月かけて回収するモデルなら、キャッシュフローに余裕がある前提で、もう少し高いCPAまで許容できる。

現実にはキャンセル率やリピート率も入ってくるので、もっと細かく見る必要がありますが、「LTVが同じでも、回収にかけていい期間によって、攻め方が変わる」というイメージだけ持ってもらえれば十分です。

回収期間を短くすればするほど、キャッシュフローは健全になりますが、許容CPAは厳しくなります。逆に、回収期間をある程度長く見込めるビジネスであれば、短期的なCPAだけを見て焦らずに済みます。

回収期間は「ビジネスの体力」と相談して決める

では、その回収期間をどう決めるか。私がクライアントさんと話すときは、次の2つをよく確認します。

  • 今のキャッシュフローで、何か月ぐらい「先行投資」状態に耐えられるか。
  • 商品やサービスの性質的に、顧客が継続してくれやすい期間はどれくらいか。

例えば、単発の講座が中心で、リピートの頻度がそれほど高くない場合は、1か月から2か月くらいの回収期間で設計した方が、精神的にも安全です。一方で、継続課金型のサービスで、解約率も低いと分かっているなら、3か月から6か月ぐらいの回収期間を想定しても現実的な場合があります。

ここを決めずに「とりあえず今月はこのぐらいで…」とやっていると、数字が出てきても判断軸が揺れてしまいます。まずはざっくりでもいいので、「自分のビジネスは何か月回収モデルでいくのか」を決めてしまうと、広告の数字の見え方が変わってきます。

「とりあえず少額テスト」の沼にはまりやすい理由

多くの人がやってしまうのが、「まずは怖いので、1日数百円だけ回して様子を見ます」というパターンです。気持ちはよく分かりますし、いきなり大きな金額をかける必要はありません。

ただ、あまりに少額だと、次のような問題が起きます。

  • そもそも表示回数やクリック数が少なすぎて、傾向が読めない。
  • たまたまの1件か2件の反応で、一喜一憂してしまう。
  • 「よく分からないまま、お金だけ減った気がする」という感覚だけが残る。

これは、検査のデータ数が足りない状態で診断しようとしているのと同じで、良い悪い以前に「判断できない」というのが正直なところです。少額テストが悪いのではなく、「その金額で、何が分かる状態まで持っていくか」を最初に決めておいた方がいい、という話です。

Meta広告テスト時の最低ラインの考え方(ざっくり版)

では、テストのときにどのくらいの投下額を目安にすればいいか。細かい話をすると条件によって変わりますが、私がよくお伝えしているざっくりの考え方は次のとおりです。

  • まず、自分のビジネスにとって「許容CPAの上限」を決める。
  • そのCPAで、最低でも5件から10件ぐらいの獲得が見込める程度のテスト予算を用意する。

例えば、許容CPAが1件あたり10,000円だとします。この場合、テスト予算として50,000円から100,000円くらいを「1セット」として考えるイメージです。もちろん、最初から上限いっぱいまで使う必要はありませんが、「このぐらい使ったら、良いか悪いかがある程度判断できる」という基準を決めておくと、途中で不安になりにくくなります。

逆に言うと、「合計5,000円だけ回して、オプトインが1件も取れなかったので、この企画はダメです」と判断するのは、さすがに早すぎるということです。母数が少なすぎて、たまたまのブレなのか、本当にズレているのかが分からないからです。

明日は、この考え方をベースにしながら、「実際に回してみたときに、CPMやCPA、LTVの変化をどう読み解いていくか」という、数値の見方寄りの話を書いてみようと思います。

ではまた。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。