画像の仕事は「伝える」ことじゃない。広告でスクロールを止める画像の作り方

この記事の要点

  • 広告画像の最初の役割は、商品の情報を全部伝えることではなく、まず視線を止めることです。
  • 同じ写真でも配信面によって横長・正方形・縦長に切られるため、最初から複数の比率を想定して撮影します。
  • 主役を一瞬で認識できて、トリミングされても意味が残る写真ほど、広告素材として使いやすくなります。

どうも岩崎です。

広告用の写真を撮り始めた頃、けっこう恥ずかしい失敗をしたことがあります。

自分ではかなり気に入った1枚が撮れたんですね。横位置で、左に商品を置いて、右側にはコピーを載せられるように余白を作る。光も構図もいい感じで、「これは使えるだろう」と思っていました。

ところが実際に広告へ入れてみたら、正方形の配信面では右側の余白が丸ごと消えていました。

さらに縦長の配信面では、今度は商品の一部まで切れていて、何を見せたい写真なのか分からない状態になっていました。

写真としては悪くない。でも広告としては使いにくい。

そこで改めて分かったのが、広告写真って、自分が作った構図のまま表示されるとは限らないということです。

もっと言えば、「良い写真が1枚あれば何とかなる」という考え方自体が間違っていたんですね。

で、今日の話は広告画像の役割についてです。

広告画像の最初の仕事は「止めること」

広告画像を見るときに、「商品の魅力を全部伝えなきゃ」と考える人は多いと思います。

商品も見せたい。価格も入れたい。特徴も入れたい。店名も入れたい。できればキャンペーンの内容も入れたい。

気持ちは分かります。

でも、特にSNSのような場所では、その前にやることがあります。

まず止まってもらうことです。

スクロールされて終わった画像は、どれだけ詳しい情報を入れても読まれません。

なので画像が最初に担当するのは、「これは何だろう」と一瞬だけ注意を向けてもらうところまで。

商品の細かい特徴や価格の理由、購入するメリットは、その後に広告文やLPで伝えればいいんですよね。

情報を増やすほど、止まりにくくなることがある

ここを勘違いすると、画像の中にどんどん情報を追加し始めます。

商品が3つ。人物も入れる。背景には店内。文字も5行。値段も入れる。バッジも入れる。

そうすると、伝えられる情報量は増えます。

でも一瞬で理解しなければいけない側からすると、「何を見ればいいの?」という状態になることがあります。

広告写真でまず大事なのは、パッと見た瞬間に何が主役なのか分かることです。

ハンバーガーならハンバーガー。

浄水器なら浄水器。

髪の変化なら、髪のビフォーアフター。

奇抜さより先に、まず認識できることなんですね。

「止まる写真」は主役がはっきりしている

私が広告写真を見る時は、まず「0.5秒くらい見て何の写真か分かるか」を見ます。

もちろん0.5秒という数字に厳密な意味があるわけではありません。一瞬で意味が取れるかを見るための簡単なチェックです。

この時に強い写真には、だいたい共通点があります。

  • 主役が一つに絞られている
  • 背景の情報が整理されている
  • 主役と背景を見分けやすい

逆に全体を広く見せすぎると、何が主役なのかを理解するまでに少し時間がかかります。

店舗全体も見せたい、スタッフも見せたい、商品も見せたいという気持ちはあるんですけど、広告の入口では一つに絞った方が分かりやすいことが多いです。

広告画像は「中身」だけでなく「形」も重要

そして、広告写真でもう一つ重要なのが画像の比率です。

同じ広告でも、どこへ表示されるかによって画像の形が変わります。

横長で表示される場所もある。

正方形で表示される場所もある。

スマホ画面いっぱいの縦長で表示される場所もあります。

なので、広告写真は完成した1枚を作るというより、複数の形に変わっても成立する素材を作る感覚の方が近いです。

Meta広告はフィードと縦型を分けて考える

InstagramやFacebookのMeta広告は、フィード、ストーリーズ、リールなど複数の配信面があります。

特にストーリーズやリールは縦長の画面が中心なので、フィード向けに作った画像をそのまま流用すると、見せたい部分が切れたり、余白の位置がおかしくなったりすることがあります。

Metaでは配信面に応じたクリエイティブの調整や、Reels向けの9:16化も行われていますが、重要な要素を安全な位置に置くことは今でも大切です。Reelsでは9:16の縦型クリエイティブが前提になる場面があるので、最初から縦型素材を持っておいた方が使いやすいです。 citeturn410582search0

なので私は、少なくともフィードで使いやすい正方形系と、ストーリーズ・リール向けの縦型を想定して撮っておくことをおすすめします。

Googleは横長・正方形・縦長を用意できる

Googleのレスポンシブディスプレイ広告では、画像や見出しなどの素材を登録すると、Google側が配信面に合わせて組み合わせて表示します。

2026年8月時点のGoogle公式案内では、横長1.91:1は1200×628ピクセル、正方形1:1は1200×1200ピクセルが代表的な推奨サイズです。さらに縦長9:16は900×1600ピクセルが推奨されています。 citeturn653242search2turn653242search3

横長と正方形は基本として、縦長も用意できるなら入れておいた方が、素材の使い道は広がります。

Google側も複数の比率の画像を登録できる仕組みになっているので、「1枚を無理やり全部に合わせる」より、最初から複数の形を用意する方が自然です。 citeturn653242search10

なおGoogleのディスプレイ広告は2026年からDemand Genへの移行も進んでいるため、実際に入稿する時は、使うキャンペーン形式の最新仕様を確認してください。 citeturn653242search2

Yahoo!広告も横長と正方形を先に用意する

Yahoo!広告のレスポンシブ画像広告も、画像の比率によって表示レイアウトが変わります。

2026年5月更新のYahoo! JAPAN広告公式ヘルプでは、主な画像として1:1と1.91:1が案内されていて、1:1は最低600×600ピクセル、1.91:1は最低1200×628ピクセルとなっています。両方を登録しておくと、配信面に適した画像が使われます。 citeturn653242search7

なのでYahoo!向けも、最低でも正方形と横長の元画像を持っておくと使いやすいです。

ただし、このあたりの入稿規定は普通に変わります。

この記事を書いている2026年8月時点でも、Yahoo!広告では2026年に複数回、入稿規定の更新が行われています。実際に広告を作る時は、必ずその時点の公式ヘルプを確認してください。 citeturn653242search11

昔の小さい画像だけを残しておくのは危ない

広告画像を作る時に、もう一つ意識してほしいのが元データの大きさです。

広告媒体の推奨サイズや最低サイズは変わることがあります。

3年前に作ったバナー画像しか残っていなくて、「これをまた使おう」と思ったらサイズが足りない、ということは普通に起こります。

なので完成した小さい広告画像だけでなく、元写真や大きなデータも残しておいた方がいいです。

大きい写真を小さくすることは簡単ですが、小さい画像から必要な情報を取り戻すのは難しいですからね。

比率を考えないと「反応が悪い」の原因を間違える

比率を考えずに1枚だけで広告を作ると、最初に話した私の失敗と同じことが起きます。

主役が切れる。

文字を置く場所がなくなる。

配信面によって何の写真か分かりにくくなる。

そこで厄介なのが、広告管理画面だけを見ると「反応が悪い」という結果に見えることです。

すると、キャッチコピーが悪いのかな、商品が悪いのかな、広告媒体が悪いのかな、と別のところを直し始めてしまいます。

でも実際には、単純に写真が配信面に合っていなかっただけかもしれない。

原因の場所を間違えると、頑張って直しているのに数字が変わらないという状態になります。

これは本当にもったいないです。

広告写真はトリミングして確認する

なので今日やってほしいのは、手持ちの写真を1枚選んで、実際に切ってみることです。

まず正方形。

次に縦長。

できれば横長にもしてください。

そして、それぞれで主役が切れていないか、何の写真か一瞬で分かるか、文字を置くならどこに置けるかを確認します。

元の写真では良かったのに、正方形にした瞬間に崩れるなら、広告素材としては使える範囲が狭いということです。

反対に横長、正方形、縦長のどれに切っても意味が残るなら、かなり使いやすい素材です。

最初から複数の形で使えるように撮る

広告撮影をするなら、後から何とかするより、撮影する時点で複数の比率を考えておいた方が楽です。

例えば1カット撮ったら、少し引いてもう1枚撮る。

横位置を撮ったら、縦位置も撮る。

商品を左へ寄せた構図を撮ったら、中央に置いた安全な構図も撮っておく。

これだけでも、後から広告を作る人はめちゃくちゃ楽になります。

撮影時間は数秒増えるだけですが、使える広告の種類はかなり増えます。

広告画像で全部を伝えようとしない

ということで、広告画像を作る時に一番意識してほしいのは、1枚の画像だけですべて説明しようとしないことです。

まず止まってもらう。

何の話か分かってもらう。

その後に見出しを読む。

興味があれば広告文を読む。

さらに詳しく知りたければLPへ進む。

役割を分ければいいんですね。

画像に全部背負わせようとすると、画像がどんどん複雑になります。

広告写真の最初の仕事は、説明することではなく「ちょっと見る」です。

そこまでできれば、次の文章へ仕事を渡せます。

まずは手持ちの広告写真を、正方形と縦長に切って確認してみてください。

それでは!

よくある質問

広告用の写真は、何種類の比率を用意すればいいですか?

使う媒体によりますが、横長、正方形、縦長の3種類を想定しておくと使いやすくなります。Metaでは縦型配信面があり、Googleでは横長・正方形・縦長の画像を登録できます。Yahoo!のレスポンシブ画像広告では横長と正方形が中心です。実際の入稿時には各媒体の最新規定を確認してください。

文字入りの広告画像は使わない方がいいですか?

文字を入れること自体が問題というわけではありません。ただし、文字量が増えるほど一瞬で理解しにくくなる場合があります。まず写真だけでも何を見せたいのか分かる状態を作り、そのうえで必要な短い言葉だけを加えるくらいから試すと使いやすいです。

手持ちの写真が各比率に合わない場合、撮り直した方がいいですか?

まずトリミングで成立するか試してみてください。少し寄る、背景を削る、余白を調整するだけで使える場合もあります。それでも主役が切れたり意味が分からなくなる場合は、次回の撮影で複数比率を前提に撮り直した方が使いやすくなります。

P.S.

正方形と縦型の両方で使いやすい写真を撮りたいなら、まず主役を端へ寄せすぎないことです。

特に広告で自動トリミングされる可能性があるなら、絶対に残したい商品や顔は、中央付近の安全な場所へ置いておいた方が失敗しにくいです。

そして撮影する時は、完成形ぴったりまで寄らず、少し広めに撮っておきます。上下左右に余裕があれば、後から横長、正方形、縦長へ切り分けられます。

さらに、1つのシーンで「少し引いた写真」と「主役へ寄った写真」を両方撮っておくと便利です。

引きはレイアウトの自由度が高く、寄りはスマホで一瞬見せた時に主役を認識してもらいやすい。

中央に主役、少し広めに撮る、引きと寄りを残す。

この3つだけでも、撮った後に「この広告枠には入らない」がかなり減ります。

写真は撮った瞬間に完成するんじゃなくて、実際に使われて初めて仕事をするんですよね。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。