たまたま当たった広告は、資産にならない。改善は「1つずつ変える」

この記事の要点

  • 広告を改善するときに複数の要素を同時に変えると、何が数字を動かしたのか分からなくなります。
  • まず「誰に何を言うか」という大きな仮説から確認し、その次に画像・動画、言葉、細かな見た目へ進むと原因を切り分けやすくなります。
  • 一度の当たりを喜ぶだけではなく、「なぜ良かったのか」を残せると、次の広告でも使える知識になります。

どうも岩崎です。

写真を始めたばかりの頃、思うように撮れないと、私は全部変えていました。

場所を変える。レンズを変える。設定を変える。時間帯を変える。光の向きも変える。それでもダメなら、また別の場所へ移動する。

うまくいかないんだから、何かを変えなきゃと思っていたんですね。

で、たまにめちゃくちゃ良い写真が撮れるんですよ。

「おお、これだ!」となる。

ところが次の現場で同じような写真を撮ろうとしても、まったく再現できません。

当たり前なんですよね。何を変えたから良くなったのか、自分でも分かっていないんですから。

良い写真は撮れている。でも上達している感じがしない。この状態にけっこう長く苦しみました。

で、ある時に教えてもらったのが、

「1回に1つだけ変える」

という考え方でした。

1つだけ変えると「なぜ良かったのか」が分かる

例えば光の向きだけ変える。

角度だけ変える。

カメラと被写体の距離だけ変える。

それ以外の条件は、なるべくそのままにします。

そうすると、「光をこっちから当てると立体感が出るな」とか、「この距離まで離れると形が自然に見えるな」とか、変化と結果がつながって見えるようになります。

これをやるようになってから、写真の覚え方がかなり変わりました。

たまたま良い写真が撮れるのではなく、「こうすると、こうなる」が少しずつ増えていくからです。

たまたま当たった1枚は嬉しいです。

でも、それだけではまだ資産とは言いにくい。

なぜ当たったのかが分かって、もう一度使えるようになって、初めて技術になるんですよね。

で、今日の話は広告です。

広告も全部変えると、何が効いたのか分からなくなる

広告の反応が悪くなると、同じことが起こります。

画像を変える。

キャッチコピーを変える。

ターゲットを変える。

予算を変える。

LPまで変える。

全部一気にやりたくなるんですよね。

それで数字が良くなったとします。

もちろん良くなったこと自体は嬉しいです。でも、次に困ります。

「何が良かったの?」

が分からないからです。

画像が良かったのか。言葉が良かったのか。配信する相手を変えたのが良かったのか。そもそも予算の使い方が変わったからなのか。

反対に数字が悪くなった場合はもっと分かりません。

どれが足を引っ張ったのか判断できないので、また全部変えることになります。

これを繰り返すと、広告を何回出しても経験が残りにくいんですね。

毎回、新しい運試しをしているような状態です。

今は機械が組み合わせを試してくれる。でも仮説は人が作る

ここで今の広告運用について、少し補足します。

Google、Meta、Yahoo!などの広告には、複数の画像や見出しなどを登録すると、配信結果を見ながら組み合わせや配信を最適化していく仕組みがあります。

なので昔のように、人間がすべての組み合わせを一つずつ手作業で比較する必要は減っています。

じゃあ、人間は何もしなくていいのか。

もちろん、そんなことはありません。

機械が試せるのは、基本的にはこちらが用意した素材や設定の範囲です。

「技術力を伝える広告」と「初めてでも安心だと伝える広告」のどちらを試すか。そもそも何に困っている人へ出すのか。何を価値として見せるのか。

こういう仮説まで、全部勝手に用意してくれるわけではありません。

だから人間の仕事は、「試す価値がありそうな違い」を作ることなんですね。

最初に変えるのは「誰に何を言うか」

広告を改善する時、私はまず大きいところから見ます。

一番最初は、

「誰に、何を言っているのか」

です。

例えば前回お話ししたように、まだ商品を探していない人へ「今すぐ予約してください」と言っているなら、ボタンの色を変える前に、話の入口を変えた方がいいですよね。

逆に、すでに3社を比較している人へ「こんなお悩みありませんか?」とずっと問題提起しているなら、必要なのは悩みの言い換えではなく「なぜここを選ぶのか」という判断材料です。

ここがズレている状態で、フォントや色をいじっても、大きな問題は残ったままです。

次に画像や動画の「入口」を変える

誰に何を伝えるかが決まったら、次に見るのが画像や動画です。

前回までお話ししたように、広告はまず見てもらわないと始まりません。

商品が小さすぎて何の写真か分からない。動画の冒頭がロゴだけ。SNSなのに、見る人と関係のないイメージ写真から始まっている。

こういう場合は、見出しを細かく直すより、まず入口となる画像や1カット目を変えた方がいいかもしれません。

ここでも一度に全部を変えないことです。

例えば本文は同じままで画像だけ変える。

動画本編は同じままで、冒頭だけ変える。

そうすれば、その違いがどう数字へ影響したのかを見やすくなります。

言い回しや色は、その後でも遅くない

その次に、同じ内容をどう言うかを考えます。

短くする。具体的にする。数字を入れる。お客さんが普段使っている言葉へ変える。

そしてさらに細かい段階で、色、フォント、配置などを見ていきます。

もちろん、細かい見た目が結果へ影響することもあります。

でも「誰に何を言っているのか」がズレている状態で、ボタンを赤にするか緑にするか悩んでもしょうがないんですよね。

ところが、ここが一番触りやすいんです。

色を変えると仕事した感じがしますからw

だからこそ、触りやすいところからではなく、影響が大きそうなところから確認する。

この順番を決めておくだけでも、ムダな修正はかなり減ります。

数字が少なすぎる段階では、良し悪しを決められない

もう一つ、広告改善でめちゃくちゃ起きやすいのが、判断が早すぎることです。

広告を1日出した。

クリックが3回。

申し込みゼロ。

「この広告、ダメですね」

いや、まだ分からないんですよね。

例えば、もともと100回クリックされて1件問い合わせが入るようなサービスだったら、3クリックで申し込みがないのは不思議でも何でもありません。

コインを3回投げて表が出なかったから、「このコインは裏しか出ない」と決めるようなものです。

広告は毎回同じ条件でもありませんし、必要なデータ量も商材や予算、目的によって違います。

なので「何日待てば正解」という決まった数字があるわけではありません。

ただ、少ない数字を見て感情的に翌日また変更する、というのは避けた方がいいです。

頻繁に変更すると「何が起きたのか」がさらに分からなくなる

GoogleやMetaなどでは、配信結果を見ながら誰にどの広告を出すかを調整していく仕組みがあります。

そのため、設定を頻繁に大きく変更すると、配信の状態が変わり、変更前と変更後を単純に比較しにくくなることがあります。

「何かしなきゃ」と思って毎日触っているのに、そのせいで何が良かったのか余計に分からなくなる。

これはけっこうあります。

だから広告運用では、変えることだけではなく「しばらく触らず観察すること」も作業の一つです。

触らないって、意外と難しいんですけどねw

最初に見る数字は「広告の入口」と「最終結果」

広告管理画面を開くと、数字が山ほど並んでいます。

表示回数、クリック数、クリック率、クリック単価、コンバージョン率、コンバージョン単価……。

全部を一度に見ると分からなくなるので、最初は大きく2段階に分けて見ると理解しやすいです。

一つ目は、広告を見た人が次へ進んだか。

検索広告ならクリック率、SNS広告ならクリック率や動画の視聴状況などを見ながら、「入口で興味を持ってもらえているか」を確認します。

二つ目は、その先で本当に欲しい行動につながったか。

問い合わせ、予約、購入などですね。

そして最終的には、1件の問い合わせや購入を得るために、いくらかかったのかを見ます。

ここで大事なのは、「クリック率が悪い=画像だけが悪い」と決めつけないことです。

画像だけではなく、見出し、配信相手、広告の掲載場所など、複数の要素が数字へ影響します。

ただ、入口の数字と最終結果を分けて見ると、「そもそも広告で止まっていないのか」「広告には反応するけど、その先で離れているのか」という大まかな場所は見つけやすくなります。

広告改善は「仮説→変更→確認」で残していく

広告運用で本当に残したいのは、当たった広告そのものだけではありません。

「なぜ当たったと思うのか」という知識です。

例えば、

「技術力を訴求していた広告を、初めての人向けの不安解消へ変えたら問い合わせが増えた」

という結果が残ったとします。

これは次回も使える可能性があります。

でも画像、価格、ターゲット、LPまで同時に変えていたら、何を次へ持っていけばいいのか分かりません。

だから、広告改善は「作品を完成させる」というより、仮説を一つずつ確かめていく作業に近いんですね。

次に変える「1か所」を決めておく

ということで、今日やってほしいことです。

今出している広告、もしくはこれから出す広告について、

「次に変えるのはどこか」

を一つだけ決めてください。

例えば、

「ターゲットは変えず、画像だけ変える」

「画像はそのままで、訴求を技術力から安心感へ変える」

「本編は同じで、動画の冒頭だけ変える」

という感じです。

そして、もう一つ。

「どの数字を見て、いつ判断するか」も先に決めてください。

ここを決めておかないと、翌日管理画面を開いて「なんか不安だから変えよう」となります。

私もやりますw

変更する場所と、判断する条件を先に決めておく。

そうすると、広告を出すたびに「分かったこと」が残ります。

たまたま当たった広告は、その瞬間は嬉しいです。

でも、本当に価値があるのは「次も同じ考え方を使える状態」にすることだと思うんですね。

まぐれを当てるより、なぜ当たったのかを残す。

広告も写真も、そこからようやく資産になっていきます。

それでは!

よくある質問

広告を改善するときは、本当に1つずつ変えた方がいいですか?

何が結果へ影響したのかを知りたい場合は、できるだけ変更点を絞った方が判断しやすくなります。ただし広告媒体側が複数素材を自動で組み合わせる運用もあるため、必ず1要素だけしか変更してはいけないという意味ではありません。重要なのは「何を確かめるための変更なのか」を明確にすることです。

広告は何日くらい様子を見れば判断できますか?

一律に「○日」とは決められません。予算、商材、クリック数、問い合わせが発生する頻度などによって必要なデータ量が違うためです。日数だけではなく、「どの程度データが集まったら何を判断するか」を先に決めておく方が実践的です。

広告の数字が悪い場合、最初に何を見直せばいいですか?

まず「誰に何を伝えているか」が合っているかを確認します。その次に画像や動画の入口、見出しや文章、細かなデザインという順番で見ていくと原因を整理しやすくなります。クリックされているのに購入や問い合わせにつながらない場合は、広告だけでなくクリック後のページや商品条件も確認します。

P.S.

写真でも、同じ「1つだけ変える」をやってみると面白いです。

同じ被写体を置いて、まず1枚撮ります。

次は光の向きだけ変える。

窓から横向きに光が入る状態で1枚。そこから被写体の向きだけ少し変えて、斜め後ろから光が入る状態でもう1枚。

カメラの高さや距離、レンズなどはそのままです。

すると2枚を並べた時に、光だけで立体感や質感がどう変わったのかが分かります。

角度を比べるなら、今度は光を変えずにカメラの高さだけ変える。

距離を比べるなら、光と角度をそのままにして、撮影距離だけ変える。

そして、できれば何を変えたのかをメモしておいてください。

撮影直後は覚えているんですけど、後から見ると本当に分からなくなりますw

スマホのメモでもいいですし、撮影前に「光・横」「光・斜め後ろ」と書いた紙を1枚撮っておく方法でもいいです。

そうすると良い写真が撮れた時に、「なんか良かった」で終わりません。

「この光だったから良かった」「この距離だったから自然に見えた」という情報まで残ります。

広告も写真も、1回当てるだけなら運でもできます。

でも、もう一度できるようになったところから技術になる。

1つだけ変えて、結果を見る。

地味ですけど、これが一番あとに残るやり方だと思いますよ。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。