この記事の要点
- AIは「質問に答える道具」から、継続して仕事を処理する仕組みへ変わりつつあります。
- 調査、整理、比較、定型処理はAIへ任せても、最終的な文章・構成・写真・デザインは人が仕上げた方がいいと私は考えています。
- AIで浮いた時間をさらに仕事で埋めるのではなく、考える時間や表現を詰める時間へ戻すことで、仕事全体の質を上げやすくなります。
どうも岩崎です。
AIを使うと仕事が速くなりますよね。情報を集めてもらう。長い資料を読んでもらう。数字を整理してもらう。今まで30分掛かっていた作業が5分で終わることもあります。
で、最近はさらに進んでいて、AIが質問された時だけ答えるのではなく、数時間、場合によっては数日単位で仕事を続ける方向へ進んでいます。
でも、ここで一つ考えた方がいいと思うんですね。
AIに仕事を任せる目的って、本当に「自分の仕事を減らすこと」なんでしょうか。
私は、AIに任せても品質が落ちないところを任せて、その分、自分がやった方が良いところへ時間を使う。その結果として、仕事全体のクオリティを上げる方がいいと思っています。
AIは「聞いたら答える道具」から「仕事を預けるもの」へ変わってきた
2026年9月25日、Microsoftは新しいCopilotとしてHome、Code、Autopilotを発表しました。
HomeではChatとCoworkがまとまり、簡単な質問だけではなく複雑な仕事をまとめて任せられるようになります。Codeは自然言語からアプリや自動化を作るための機能です。
そしてAutopilotは、名前、役割、目標を与えると、スレッドを確認したり、フォローアップしたり、定期的な仕事をしたり、数日後に同じ案件を再開したりする継続型のエージェントとして説明されています。
HomeとCodeは今後数週間でFrontierプログラムへ順次展開され、Autopilotも9月末からPrivate Previewを拡大する段階なので、日本の全ユーザーが今日から使えるという話ではありません。
ただ方向としては分かりやすいですよね。AIが「聞いたら答えるもの」から、「仕事の一部を預けておくもの」へ変わってきた。
しかもAIは「使った分だけ払う作業者」に近づいている
今回、機能そのものと同じくらい重要なのが料金の考え方です。
Microsoftでは、Coworkなど一部のAI処理でCopilot Creditsという利用量ベースの仕組みを使います。処理する仕事が複雑になるほど、AIモデルや参照する情報、実行する操作などによって消費量が変わります。
さらにMicrosoftは、利用量や支出を確認し、支出ポリシーや利用上限を設定するための管理機能も用意しています。
つまりAIが仕事をするようになるほど、こちらも「何をAIにお金を払ってやってもらうのか」を考える必要が出てくるんですね。
私は、最終的な資料は人が作った方がいいと思っています
例えば資料作成です。
今はAIに「この内容でプレゼン資料を作って」と頼めば、それなりの資料が出てきます。昔のようにPowerPointのテンプレートへ文章を流し込むだけと比べれば、かなりマシになっています。
でも現時点では、私は人へ見せる最終的な資料は人が作るべきだと思っています。
資料って、情報を正しく並べれば完成ではないからです。
- 何から話すか
- 何をあえて削るか
- どの言葉なら相手に入るか
- どの数字を大きく見せるか
- どこで余白を取るか
- どの写真を使うか
- 次のページを見たくなる流れになっているか
こういうところまで含めて資料です。
文章も同じですね。意味が通じればいいわけではない。相手がどこで引っ掛かるのか、どの言葉なら自分ごとになるのか、どの順番なら理解しやすいのか。こういう人の心を引く国語力は、まだAIへ丸ごと任せて安定して出てくる段階ではないと思います。
デザインも同じです。文字がきれいに並んでいることと、人の目線を誘導して「ここを見てほしい」が伝わることは別です。
なので私は、今のAIによる資料制作は「既成テンプレートで作るよりはマシなたたき台」くらいに考えています。
じゃあAIには何をやってもらうのか
資料をAIに完成させないなら、AIを使う意味がないという話ではありません。
むしろ資料を作る前に、AIへ任せられる仕事が山ほどあります。
- 必要な情報を集める
- 長い資料を読み込む
- 数字を整理する
- 複数の情報を比較する
- 会議内容を要約する
- 重複を整理する
- 抜け漏れを確認する
- 定型的な表へ変換する
こういうところはAIとかなり相性がいいです。
今まで自分が資料を作る前に1時間掛けていた調査や整理が、AIを使って15分になったとします。
そこで「45分仕事が減った」で終わらせない。
その45分を、資料をもっと良くするために使う。
AIに任せるところと、自分がやるところを分ける
私は、今のところこんな分け方が分かりやすいと思っています。
| AIに任せやすいところ | 自分がやった方がいいところ |
|---|---|
| 情報収集 | 何を伝えるか決める |
| 要約・整理 | 何を削るか決める |
| 数字の比較 | どの数字を見せるか決める |
| 文字起こし | 相手に届く言葉を選ぶ |
| 分類・定型処理 | 写真・構図・余白を決める |
| たたき台 | 最終的な文章・デザインを仕上げる |
| 抜け漏れ確認 | 最終判断と責任を持つ |
右側って、効率だけ考えるとAIへ渡したくなるところなんですけど、私は逆だと思っています。
自分がやった方が品質が上がるところを残すために、AIを使う。
この順番ですね。
例えば提案資料なら、AIには「材料作り」を任せる
例えばクライアントへの提案資料を作るとします。
最初にAIへ、過去の打ち合わせ内容、売上データ、競合情報、既存資料などを読ませる。
そしてAIには、こんなところまでやってもらいます。
- 現状の課題候補を整理する
- 数字を表にする
- 競合との違いを並べる
- 会議で出た要望を抜き出す
- 確認すべき不足情報を挙げる
ここまでは材料作りです。
そこから先は自分で考える。
- この会社の本当の問題は何だろう?
- 何から話せば一番伝わるだろう?
- 相手がまだ気づいていないことは何だろう?
- どの写真なら一瞬で理解できるだろう?
- どの言葉なら相手が自分ごととして考えられるだろう?
- 最後に何を提案するべきだろう?
ここを考えて、自分で資料にする。
私はこの方が、AIにPowerPointを全部作らせるより、ずっとAIを使えていると思うんですね。
AIで30分浮いたら、その30分でさらに仕事を詰め込まない
AIを使って30分短縮できたとします。
そこで「よし、もう1件仕事を入れられる」と考えることもできます。でも毎回それをやっていたら、結局ずっと忙しいままなんですよねw
せっかく30分浮いたなら、
- もう少し文章を考える
- この順番で本当に伝わるか見直す
- 写真をもう一度選び直す
- 余計な情報を削る
- お客さんの立場で最初から見直す
こういうところへ戻してもいいと思います。
AIで時間を作って、その時間で仕事を丁寧にする。
私はこっちの方がいいですね。
「何分短縮できたか」だけでは足りない
AIの効果を考える時も、「何分短縮できたか」だけだと少し足りません。
例えばAIで1時間短縮できても、完成した資料の質が下がったら意味がないですよね。
逆に20分しか短縮できなくても、その20分で文章やデザインを詰めて、以前より良いものになったなら価値があります。
なので見るなら、
- どのくらい時間が減ったか
- AI利用にいくら掛かったか
- 浮いた時間を何に使ったか
- 最終的な仕事の質は上がったか
ここまで見た方がいいと思います。
従量課金になるほど「何をAIに買うか」を考える
ここでMicrosoftの従量課金の話がつながります。
AIを使った分だけ費用が掛かるなら、「便利だから自動化する」だけでは弱いですよね。
この作業をAIにお金を払ってやってもらうことで、自分は何を良くできるだろう?
ここまで考える。
情報を100件整理してもらうなら、かなり価値があるかもしれません。そのおかげで自分が比較や判断へ集中できるからです。
反対にAIへ最終資料まで作らせて、そのあと文章も構成もデザインも全部直し直しているなら、「ここまでAIにやらせる必要あるかな?」と考えていい。
AIに任せられるかではなく、AIに任せた方が最終的な仕事が良くなるか。
私は、この基準の方が使いやすいと思います。
自動化するほど「止める判断」も必要になる
もうひとつ、AIが自動で仕事を続けるようになるほど気をつけたいことがあります。
人間なら面倒になって自然とやめる作業でも、AIは何も言わずに続けます。
- 毎朝作っているけど、もう読んでいないレポート
- 毎週調べているけど、判断に使っていない情報
- 終わった案件なのに残っている定期チェック
- 似た内容を複数のAIで調べている処理
こういうものですね。
従量課金なら、使われない成果物を作っている間にも原価は積み上がります。
なので「何を自動化するか」と同じくらい、「これはもう止めてもいいだろうか?」も定期的に見た方がいいと思います。
11月2日から一部の新規契約では従量課金が既定になる
Microsoft Learnでは、2026年11月2日から、CSP経由で新規購入するMicrosoft 365 Copilot Businessについて、Usage-Based Billingを既定で有効にすると案内しています。
対象となる利用量ベースの機能には、Copilot CoworkやWork IQ APIsなどが含まれます。
ただし、ここは範囲を間違えない方がいいです。既存のMicrosoft 365 Copilot利用者がすべて11月2日から従量課金へ変わるという話ではありません。
CSP経由のMicrosoft 365 Copilot Businessの新規購入が対象で、実際の料金や利用条件も契約によって異なります。
AIを使う部分と使わない部分を決めることが、AI活用だと思う
AIの話をしていると、「全部AIでできるようになる」という方向へ行きがちです。
でも私は、全部AIでできる必要はないと思っています。
調査はAI。整理もAI。比較もAI。でも、何を伝えるかは自分で考える。文章も最後は自分で見る。写真も選ぶ。デザインも自分で詰める。
AIを使わないところを決めることも、AI活用なんですね。
AIで自分の仕事をなくすのではなく、自分が本当にやるべき仕事へ時間を戻す。
その結果として、昨日より少し良いものを作れるようになる。
私は、AIはそういう使い方の方がいいと思います。
今日のチェックリスト
最後に、今週AIを使った仕事を1つだけ思い出して、自分に次の質問をしてみてください。
- この仕事の中で、AIに任せても品質が落ちない部分はどこだろう?
- 逆に、自分がやった方が品質が上がる部分はどこだろう?
- AIを使ったことで、本当に自分の時間は増えただろうか?
- その時間を、文章・構成・写真・デザインなど仕事の質を上げることへ使えているだろうか?
- AIを使う前より、最終的な仕事は良くなっただろうか?
全部を見直す必要はありません。
まず一つの仕事だけ、AIに渡すところと、自分が残すところを分けてみれば十分です。
AIをどれだけ使ったかではなく、AIを使った結果、自分の仕事が良くなったか。
私はここを基準にしたいと思います。
それでは!
よくある質問
-
AIに資料作成を任せない方がいいのでしょうか?
-
たたき台や情報整理には使えます。ただ、何を伝えるか、どんな順番で見せるか、どの言葉や写真を使うか、どこに余白を作るかといった最終的な構成やデザインは、人が仕上げた方がいいと私は考えています。
-
AIに任せやすい仕事は何ですか?
-
情報収集、要約、分類、文字起こし、数字の比較、定型的な整理、抜け漏れ確認などは任せやすい仕事です。一方、相手に何を伝えるかという判断や、最終的な文章・写真・デザインは、人が担う方が品質を管理しやすいと考えています。
-
AI活用の効果は何を見ればいいですか?
-
短縮できた時間やAI費用だけでなく、その時間を何に使ったか、最終的な仕事の質が上がったかまで確認すると分かりやすいです。速くなっただけで完成物の質が下がっているなら、AIへ任せる範囲を見直した方がいい場合があります。
参考情報
P.S.
AIで30分浮いたなら、その30分でさらに仕事を詰め込むだけじゃなく、もう少し良いものを作る時間にする。私はその使い方の方が好きです。
