AI広告は「任せるか」ではなく「どこまで任せるか」を決める段階へ

この記事の要点

  • Google広告のAI Maxは、AIに全部任せる仕組みではなく、人間側でブランド・URL・地域などの条件を設定できます。
  • 広告担当者の仕事は、キーワードを細かく操作することから「AIが探索してよい範囲を決めること」へ少しずつ変わっています。
  • 主力キャンペーンで「AIに任せること」と「任せないこと」を3つずつ決めるだけでも、運用方針がかなり明確になります。

どうも岩崎です。

AI広告って聞くと、「もうGoogleに全部任せればいいんでしょ?」みたいな印象を持つ人もいると思うんですね。逆に「AIに任せたら、変な検索語句に広告を出されたり、予算を無駄に使われたりするんじゃないの?」って不安になる人もいると思います。

なので、これまでは「AIに任せるか、それとも人間が管理するか」という二択で考えやすかったわけです。でもGoogle広告の変化を見ていると、そろそろこの考え方自体を変えた方がよさそうです。

これから重要になるのは、AIを使うか使わないかではなく、「どこまでAIに任せて、どこから先を人間が決めるのか」だと思うんですよね。

GoogleはAI Maxを「テストできるAI」に変え始めている

Googleは2026年8月20日、検索キャンペーン向けのAI Maxに、新しいテスト・プランニング機能を発表しました。9月から順次展開される機能では、複数の検索キャンペーンにまたがって、予算やROI目標を変えたA/Bテストができるようになります。

さらに面白いのが、ブランドや地域などの制御を維持したまま、AI Maxの効果をテストできるようになることです。

つまりGoogle側も、「とにかくAIをONにしてください」というだけではなく、条件を決めて、試して、結果を見て、広げるという運用をしやすくしているわけですね。

→ Google公式:AI Maxの新しいテスト・プランニング機能

AI Maxは何を自動化してくれるのか?

AI Maxでは、大きく見ると検索語句のマッチングを広げたり、検索内容に合わせて広告文を調整したり、より適切だと判断したLPへ誘導したりできます。

  • 検索語句の拡張:登録したキーワードだけでは拾えなかった検索にも範囲を広げる
  • テキストのカスタマイズ:LPや既存広告などをもとに、検索の文脈に合わせた広告文を生成する
  • 最終URLの拡張:検索内容に応じて、より関連性が高いと判断されたページを選ぶ

昔の検索広告って、広告担当者が「このキーワードなら、この広告文を出して、このLPへ飛ばす」と細かく決める感じだったじゃないですか。それに比べると、探索部分をAIへ任せる範囲がかなり広くなっています。

ただし、ここで勘違いしちゃいけないのが、何もかもGoogle任せにしなきゃいけないわけではないということです。

人間側には「ここから先には行かないで」という設定が残っている

AI Maxには、AIの探索範囲を人間側で制御する仕組みがあります。例えば、現在Googleが案内しているものには次のような設定があります。

  • ブランド包含:関連付けたいブランドを指定する
  • ブランド除外:関連付けたくないブランドを指定する
  • URL包含:使用するページの範囲を指定する
  • URL除外:広告の遷移先として使わせたくないページを除外する
  • 関心地域:キーワードレスのマッチでも、地域に関する検索意図を使って対象を絞る

つまりAIに「好きに探してきて」と言うだけではなく、「この範囲なら自由に探していい。でも、ここから外には出ないでね」という設計ができるわけです。

私はここが、これからのAI広告ではかなり重要になると思っています。

→ Google広告ヘルプ:AI Maxの設定方法

広告担当者の仕事は「操作」から「境界線を決める」に変わる

例えば今までは、検索広告を運用する時に「このキーワードを追加しよう」「このキーワードは除外しよう」「この広告文に変えよう」と、広告担当者が細かな操作をすることが仕事になりやすかったと思います。

もちろん、こうした仕事が全部なくなるわけではありません。ただAIが探索や組み合わせを担当する範囲が広がるほど、人間が細かく操作することよりも、AIが動いていい範囲を決めることの重要性が上がります。

例えば、こんな感じです。

  • どのブランドなら対象にしていいのか
  • どの地域までなら商圏として成立するのか
  • どの商品ページなら広告費をかけても採算が合うのか
  • どんな検索意図まで顧客候補として扱うのか
  • どこから先は広告を出さないのか

これって、Google広告の設定というより、ほとんど事業判断なんですよね。

「誰に売るか」より先に「誰には売らないか」を決める

ここで私は、AI広告ほど「誰には売らないか」を先に決めた方がいいと思っています。

なぜかというと、AIは人間では思いつかなかった検索語句や組み合わせまで探索してくれるからです。これはAI広告の大きなメリットなんですけど、探索範囲が広がれば、当然こちらが想定していなかったところまで行く可能性もあります。

例えば全国へ広告を出せば問い合わせは増える。でも遠方は出張費がかかりすぎて利益が残らない。ある商品ページはCVRが高いけど粗利が低すぎる。競合ブランド名から流入は取れるけど、成約率が低くてCPAが合わない。

こういう事情って、広告システムの外側にありますよね。

AIは設定された目標に対して探索・最適化してくれますが、あなたの会社の事情を何も設定せずに全部理解して、「この客は取らない方が会社として儲かりますよ」と判断してくれるわけではありません。

だから人間側が、先に境界線を引いておく必要があります。

AIが何をしたのかも、以前より確認しやすくなっている

もうひとつ重要なのがレポートです。AIに任せる範囲が増えても、「何をやったか分からない」では困りますよね。

AI Maxの検索語句レポートでは、実際に広告表示につながった検索語句だけでなく、その時に使われた見出しやランディングページを組み合わせて確認できます。また、ランディングページレポートでは、AI Maxによって選択されたURLなのかも確認できます。

つまり、

  • どんな検索語句を拾ったのか
  • どんな見出しを使ったのか
  • どのLPへ送ったのか

を見ながら、「これは任せていい」「ここは除外した方がいい」と調整できるわけです。

→ Google広告ヘルプ:AI Maxのレポートについて

「AIに任せる→見る→境界線を直す」という運用になる

こう考えると、AI広告って「自動運転だから放置する」という話ではないんですよね。むしろ人間とAIの役割分担が、かなり明確になってきます。

  • 人間:目的、採算、対象顧客、ブランド、地域、除外条件を決める
  • AI:決められた範囲の中で検索語句や広告表現、LPなどを探索する
  • 人間:結果を確認して、任せる範囲と任せない範囲を修正する

この繰り返しです。

全部手動で操作するわけでもない。全部AIに任せるわけでもない。人間がルールを決めて、その中でAIに探索させる。

広告運用って、だんだんこっちに変わってきていると思います。

DSAの自動移行は2027年2月へ延期されています

ちなみにAI Maxについては、ひとつ注意しておきたい変更があります。

Googleは当初、動的検索広告(DSA)を含む旧機能のAI Maxへの自動アップグレードを2026年9月から始める予定でした。しかし2026年6月11日の更新で、DSAについては移行期間を延長し、自動アップグレードの開始を2027年2月へ延期しています。

一方で、自動作成アセット(ACA)とキャンペーン単位の部分一致設定については、予定通り2026年9月からAI Maxへの自動アップグレードが進められます。

このあたりは変更が続いているので、「9月からDSAが全部AI Maxになる」と思っている方は注意してください。

→ Google公式:DSAからAI Maxへの移行スケジュール

今日やることは「AIに任せること・任せないこと」を3つずつ書く

ということで、今日やっていただきたいことです。Google広告を使っているなら、主力の検索キャンペーンを1つだけ選んでください。

そして、広告管理画面を触る前に、紙でもメモでもいいので「AIに任せること」と「AIに任せないこと」を3つずつ書いてみます。

例えば、任せること。

  • 検索語句の探索・拡張
  • 広告文のバリエーション
  • 適切なLPの選択

反対に、任せないこと。

  • 対象にしたくない競合ブランド
  • 商圏外・採算が合わない地域
  • 広告費をかけたくない商品ページ

実際にどこまで制御できるかはAI Maxの設定やキャンペーン構成によって違いますが、まず経営側の条件として「ここまでは任せる」「ここから先は任せない」を決める。

特に、誰に売るかを考える前に「誰には売らないか」を決めておく。探索が得意なAIを使うほど、私はこの境界線が重要になると思います。

今日は広告を細かく触らなくていいです。

AIが動いていい範囲を決める。

まずはそこからで十分です。

それでは!

よくある質問

Google広告のAI Maxは、すべてAIに任せる機能ですか?

いいえ。検索語句のマッチング、テキストのカスタマイズ、最終URLの拡張などを利用できますが、ブランド包含・除外、URL包含・除外、地域に関する検索意図など、人間側で探索範囲を制御する設定も用意されています。

AI Maxがどんな検索語句やLPを使ったか確認できますか?

確認できます。AI Max向けの検索語句レポートでは、検索語句と使用された見出し、ランディングページの組み合わせを確認できます。ランディングページレポートでは、AI Maxが選択したURLかどうかも確認できます。

動的検索広告(DSA)は2026年9月にAI Maxへ自動移行しますか?

DSAの自動アップグレードは延期され、2027年2月開始予定です。一方、自動作成アセット(ACA)とキャンペーン単位の部分一致設定については、2026年9月からAI Maxへの自動アップグレードが進められます。

参考情報

P.S.

AI広告になるほど「何をやらせるか」より「何をやらせないか」が大事になります。自由に探索してもらうためにも、先に柵を作っておくってことですね。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。

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