この記事の要点
- AIは商品を見つけてもらう入口になっていますが、そこで購入判断が完結するとは限りません。
- AIを使った買物経験者の多くは、公式サイト、検索、レビュー、口コミなど別の情報源でも内容を確認しています。
- これからのECでは、商品を良く見せるだけでなく、裏取りされた時にも確認できる一次情報・実写写真・検証データを整えることが重要になります。
どうも岩崎です。
AI検索の話になると、「どうしたらChatGPTやGeminiに商品を薦めてもらえるか」という話が多いですよね。もちろん、AIの回答に商品名が出てくることはこれからかなり重要になると思います。
でも、そこで一つ忘れちゃいけないことがあります。AIに薦められたから、そのまま買うとは限らない。
実際の国内調査を見ると、AIで商品を知った後に、検索したり、公式サイトを見たり、口コミを確認したりしてから判断する人がいます。
つまりこれからは、「AIに薦められるか」だけではなく、薦められた後に裏取りされても話が崩れないかまで考えた方がいいんですね。
今日はそんな話です。

商品選びでAIを使う人は、すでに3人に1人くらいいる
2026年9月24日、生成AI検索やLLMO関連サービスを手がける株式会社Iteraが、生成AIと買物についての調査結果を公表しました。
この調査では、まず全国18〜70歳の男女2,000名を対象に、直近1年以内の商品・サービス選びで生成AIやAI検索を使ったことがあるかを調べています。そのうえで、EC・通販で生成AIを使った経験がある300名に、商品発見や購入判断について詳しく聞いています。
2,000名への調査では、34.0%が直近1年以内の商品・サービス選びで生成AIやAI検索を使ったことがあると回答しました。
さらに、EC・通販で生成AIを使った300名では、45.7%が「自分では知らなかった商品・ブランド・ショップ」をAIから提案された経験があると答えています。
つまりAIは、「知っている商品について調べる場所」だけではなく、今まで知らなかった商品を見つける入口にもなっているわけです。
でもAIは、商品を候補から外す材料にもなっている
同じ300名への調査では、50.3%がAIの回答をきっかけに購入をやめた、または別の商品・ブランドへ変更した経験があると回答しています。
購入中止やブランド変更のきっかけとして挙げられた主な内容は、次の通りです。
- 42.4%:評判に関するネガティブな記述
- 39.1%:ネガティブなレビュー・口コミの引用
- 33.1%:他の商品との比較で不利な評価
AIに商品名が出れば終わりじゃないんですね。AIが「こんな商品があります」と候補へ入れてくれることもあれば、「こういう評価もあります」と比較材料まで一緒に出してくる。
見つけてもらう場所と、比較される場所が同じになってきた。
私はこっちの方が大きな変化だと思います。
AIの回答だけで決める人は17%。83%は別の情報源も確認している

じゃあ「AIに何と書かれるかですべて決まるのか」というと、そうでもありません。
IteraがEC・通販で生成AIを使った経験がある300名に聞いたところ、AIの回答だけを判断材料にした人は17.0%でした。逆に、83.0%はAI以外の情報源も確認しています。
さらに、AIの回答と公式サイトの情報が食い違った場合に「どちらを信用するか」を尋ねた結果では、主な回答として公式サイト42.0%、ECサイトのレビュー・口コミ26.3%、生成AI8.3%となっています。
ここを見ると、AIが使われるようになったからといって、AIそのものが最終的な信用先になっているわけではないことが分かります。
むしろAIで候補を知った後に、「本当にそうなの?」を確認する場所として公式情報や口コミが残っていると考えた方が自然です。
AIから薦められた後、49%は検索で詳しく調べている
この流れは、株式会社メンバーズが2026年9月に公表した別の国内調査でも見られます。
こちらは全国10,180名を対象に、SNSの利用状況や、生成AIから商品を薦められた後にどんな行動を取るのかを調べたインターネット調査です。
生成AIから商品を薦められた後の行動として、49%が検索エンジンで詳しく調べる、31%が実店舗で確認する、29%がSNSで一般ユーザーの口コミや使用感を確認すると回答しています。一方、AIの情報だけでそのまま購入すると回答したのは16%でした。
なお、これらは「49%の人が検索した後、そのうち31%が実店舗へ行った」という順番を表す数字ではありません。それぞれの行動について尋ねた割合なので、一本の購入ファネルとして読むのは違います。
さらに別の設問では、SNS上に一般ユーザーの口コミが見当たらない場合、57%が購入をためらう、または見送る可能性が高いと回答しています。
Iteraとメンバーズは別の会社で、対象者も質問内容も同じではありません。それでも、AIで商品を知った後に、別の場所で確認する行動があるという方向は重なっています。
ECの信頼は「商品ページの中」だけでは作り切れない
ここまでを見ると、ECの信頼って商品ページだけをきれいに作れば終わりではなくなっていると思うんですね。
例えば公式サイトでは「A」という説明をしている。でも検索すると古い「B」という情報が出てくる。ECのレビューでは「C」と書かれていて、AIに聞いたら「Bです」と回答する。
これ、お客さんからすると「結局どれが正しいの?」となりますよね。
レビューの感想が人によって違うのは当然ですし、AIが誤った情報を出すこともあります。でも、商品仕様、価格、容量、交換時期、使用方法のような事実まで場所によって違うと、不安になります。
だからこれからは、商品ページの中だけを見るのではなく、
- 公式サイトでは何と説明しているか
- 検索すると何が出てくるか
- ECのレビューでは何が言われているか
- AIはどう説明しているか
まで一度見た方がいいんですね。
「良く見せる写真」だけでは足りなくなる
今まで商品写真というと、商品を魅力的に見せることが中心でした。高級感を出す。質感をきれいに見せる。生活の中で使われているところを魅力的に見せる。
もちろん、これはこれからも必要です。
でもAIや口コミを見た後に公式サイトへ確認しに来る人がいるなら、もう一種類の写真も持っておいた方がいい。
「本当にそうなのか」を確認するための写真です。
- 手に持った時のサイズ感
- 実際に使っている状態
- 商品の構造
- 素材や表面のアップ
- 比較対象と同じ条件で撮った写真
- 検査や測定をしている状態
こういう写真ですね。
広告として一番派手な写真ではないかもしれません。でも、お客さんが「本当かな?」と確認しに来た時には、こっちの方が役立つ場合があります。
「売る写真」と「確認する写真」を分けて持っておく
なので商品撮影も、私は大きく2種類に分けて考えておくといいと思います。
- 売るための写真:魅力、世界観、欲しさを作る
- 確認するための写真:サイズ、構造、使い方、素材、比較条件などの事実を見せる
この二つは役割が違います。
きれいなイメージ写真を見て「欲しい」と思ってもらい、詳しく確認した時には実写やデータで「なるほど、本当にこういう商品なんだ」と分かる。
欲しさを作るものと、安心して判断するためのものを両方持つ。
AI検索が増えるほど、こういう設計の価値は上がると思います。
全部の口コミを管理することはできない
一人や小さな会社で事業をしていると、ネット上にあるすべての口コミを管理するなんて無理ですよね。
AIが毎回どう答えるかを完全にコントロールすることもできません。
だったら、自分たちが管理できるところをしっかりやる。
つまり、公式サイトに置く一次情報です。
- 現在の商品仕様
- 現在の価格
- サイズや容量
- 使用方法
- 交換時期
- 比較条件
- 検査・測定データ
- 実写写真や動画
こういう情報を、検索してきた人が確認しやすい形で置いておく。
そうすれば、AIが参照する時にも、口コミを見たお客さんが確認しに来た時にも、戻る場所があります。
AIにどう紹介されるかだけを追いかけない
AI検索対策の話になると、「ChatGPTで自社を出したい」「AIにおすすめブランドとして紹介されたい」と考えますよね。
もちろん、それを確認することには意味があります。
でもAIの回答だけをきれいにしようとしても、その後公式サイトへ来て情報が古かったり、ECの商品情報と話が違ったり、根拠を確認できなかったりすれば、そこで不安になります。
AIに薦められることより、薦められた後に確認されても矛盾しないこと。
私はこっちの方が長く使えると思います。
ブランドの信頼は「調べても同じ事実へ戻ってくること」
ブランドの信頼って、ロゴがきれいとか、写真がおしゃれとか、レビューが星4.8とか、それだけじゃないんですね。
公式サイトに書いてあること。ECの商品情報。レビューで語られていること。AIが説明する内容。
全部が完全に同じになる必要はありません。口コミは感想なので、人によって違って当然です。
でも、商品仕様、価格、容量、使い方のような事実の部分が大きく食い違っていないことは大事です。
公式サイトを見ても、検索しても、AIに聞いても、事実の部分はだいたい同じところへ戻ってくる。
調べても調べても、同じ事実へ戻ってくる。
こういう状態も、これからのブランドの信頼を作る一つの要素になると思います。
ただし、今回の数字を日本全体の買物行動とは考えない
一点だけ注意があります。
今回紹介したIteraとメンバーズの調査は、どちらも企業が実施したインターネット調査です。実際の購入履歴を追跡したデータではなく、回答者自身の記憶や意識をもとにした回答です。
またIteraは生成AI検索やLLMO関連サービスを手がける企業なので、この調査だけを根拠に「日本のお客さんは全員こうなっている」と考えるのは違います。
一方で、対象者や設問の異なる別々の調査で、AIで知った後に検索・公式情報・口コミなどを確認する行動が見えている。今回はその傾向を見る材料として使うのが適切だと思います。
今日の実務調整は「3つを横に並べる」だけ
ということで、今日は主力商品を1つだけ選んでください。
そして次の3つを横に並べて確認します。
- 公式商品ページ:自社が現在説明している内容
- レビュー・口コミ:検索やECで上位に出てくる内容
- 生成AIの回答:商品について質問した時にどう説明されるか
そして、まず次の3点だけ確認します。
- 内容が食い違っていないか
- 古い情報が残っていないか
- 根拠を確認できない主張がないか
全部直す必要はありません。
今日は、その中で一番大きなものを1つだけ公式ページ側で修正する。
口コミを増やす施策も、AI検索の順位を調べる作業も今日は不要です。
売るページを整えるだけではなく、お客さんが裏取りした時にも矛盾しない状態を作る。
AIが商品を見つけてくれるようになるほど、最後はこういう地味なところで信頼に差が出てくるんじゃないかなと思います。
それでは!
よくある質問
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AIに商品を薦められた人は、そのまま購入するのでしょうか?
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必ずしもそのまま購入するわけではありません。IteraがEC・通販で生成AIを使った経験がある300名に行った調査では、83.0%がAI以外の情報源も確認しています。また、メンバーズの全国10,180名調査では、AIから商品を薦められた後に49%が検索エンジンで詳しく調べると回答しています。
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AI検索対策では、何から整えるべきですか?
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まず公式サイトの商品仕様、価格、サイズ、使用方法、比較条件などの一次情報を最新の状態にします。そのうえで、実写写真や検証データなど外部から確認できる根拠を追加すると、AIやお客さんが裏取りしやすくなります。
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口コミと公式サイトの内容が違う場合はどうすればいいですか?
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感想や評価が違うこと自体は自然です。ただし商品仕様、価格、容量、交換時期など事実として確認できる情報に食い違いがある場合は、まず公式ページの情報が最新か確認します。条件や例外がある場合も明記しておくと、確認する側が判断しやすくなります。
P.S.
AIにどう紹介されるかも大事ですが、そのあと公式サイトへ来た時に「ちゃんと確認できた」と思ってもらえる状態の方が、もっと大事なのかもしれません。
