この記事の要点
- AI活用は「毎回うまいプロンプトを書く」段階から、「仕事のやり方そのものを保存する」段階へ進みつつあります。
- 一人事務所では、文章の書き方、確認順序、禁止事項などが頭の中にあるため、ここを明文化できるかが重要になります。
- まずは毎週繰り返している仕事を1つだけ選び、目的・入力・参照資料・出力形式・禁止事項・最終確認の6項目を1ページにまとめるだけで十分です。
どうも岩崎です。
AIを仕事で使う時って、これまで「いいプロンプトを作りましょう」という話がかなり多かったですよね。
私もそうでしたけど、毎回「こういう文章で」「この順番で」「これはやらないで」「最後はこう確認して」と、AIに仕事のやり方を説明するわけです。
でも、そろそろこの使い方から一段変わってきそうです。
プロンプトを保存するのではなく、「仕事の型」を保存する。
今日はそんな話です。
Googleが「仕事のやり方」をSkillとして保存できるようにした
2026年9月16日、GoogleはGoogle WorkspaceのSkillsを拡張しました。
Skillsという名前だけ見ると「定型プロンプトを保存する機能かな?」と思いますが、もう少し広いです。
Googleの説明では、Skillには次のようなものを含められます。
- チームや会社のルール
- 文章や資料のテンプレート
- 参照するファイル
- 仕事を進めるための指示
つまり「この文章を書いて」という命令だけではなく、「うちではこういう基準で、この資料を見ながら、この形式で仕上げる」という仕事のやり方そのものを再利用できるわけです。
Docsで作って、Studioで試して、そのまま仕事で使える
今回の仕組みで面白いのは、SkillをGoogle Docs上で作れるところです。
Docsで内容を作って、必要なら他の人と共同編集する。その後Workspace Studioでテストし、調整したSkillをGmail、Docs、Slides、Drive、Google Chatなどから呼び出せます。
Googleが例として挙げているのも、かなり仕事っぽいものです。
- ブランドトーンを揃える
- 提案書や契約書を決めた形式で作る
- 進捗報告を同じフォーマットでまとめる
- 請求書を過去データと照合する
要するに、毎回ゼロからAIへ説明していたことを、最初から仕事の部品として持っておけるようになってきたんですね。
小さな会社ほど、実は「頭の中のルール」が多い
これ、一人で仕事をしている人にはかなり重要だと思います。
会社ならマニュアルや社内ルールがあります。でも小さな会社って、意外と全部自分の頭の中にありますよね。
- 文章はこのくらいの長さにする
- 納品時はこのファイル形式にする
- 確認はこの順番で行う
- このクライアントでは、この表現を使わない
- この数字は必ず一次情報を確認する
- ここだけは最後に人間が見る
こういう小さなルールが山ほどあります。
でも本人にとっては当たり前なので、わざわざ文章にしていないんですね。
AIを使うたびに、同じ説明をしていませんか?
AIを使い始めると、その頭の中のルールを毎回プロンプトで説明することになります。
例えばブログを書くたびに、
- この口調で書いてください
- 見出しはこうしてください
- 参考情報を最後に入れてください
- この言葉は使わないでください
- 数字は一次情報を確認してください
と毎回書いていたら、プロンプトはどんどん長くなります。
しかも少し書き忘れると、出力も変わる。
これってAIが悪いというより、仕事のやり方がプロンプトの中に埋まっている状態なんですね。
これから差が出るのは「プロンプト力」より「明文化力」かもしれない
Skillsのような仕組みが一般的になってくると、AI活用の差も少し変わってくると思います。
今までは、
「良いプロンプトを書ける人」
が有利でした。
でもこれからは、
「自分の仕事を、AIでも再現できるくらい明文化できる人」
の方が強くなってくるかもしれません。
例えば「いい感じの提案書を作って」ではSkillにはしにくいですよね。
でも、
- 最初に課題を書く
- 次に現状の数字を出す
- 改善案は3つ以内にする
- 料金は最後に出す
- 断定できない数字は書かない
まで言葉にできれば、再利用できます。
つまりAI活用の前に、自分がどう判断して仕事をしているのかを言葉にできるかが必要になるんですね。
しかも「型」と「実行」がつながり始めている
さらにGoogleは9月15日、Gemini in Workspaceから外部ツールを扱えるMCP連携も発表しています。
現在案内されているのは、例えば次のサービスです。
- Asana
- HubSpot
- Mailchimp
- QuickBooks
- Monday
- Salesforce
つまり、AIに「うちの仕事はこうやる」と覚えさせるだけではなく、そのルールを使って実際の業務ツールまで動かす方向へ進んでいるわけです。
仕事の型を保存する仕組みと、実際に処理する仕組みがつながり始めている。
ここはかなり大きいと思います。
でも、今日すぐSkillsを導入する必要はない
ただし、今すぐGoogle Workspaceの設定を変えましょうという話ではありません。
Skillsは現時点で、管理者がGemini Betaを有効にしている組織で利用できる機能です。Workspace Studio自体はBusiness Starter、Business Standard、Business Plusなど複数のWorkspaceエディションが対象ですが、実際の利用可否は管理者設定やベータの参加状況によって変わります。
なので機能を追いかけるより、先にやっておいた方がいいことがあります。
AIへ渡せる「仕事の型」を作っておく。
「仕事の型」は6項目あれば十分
難しいマニュアルを作る必要はありません。
毎週やっている仕事を1つ選んで、まず次の6項目だけ書けば十分です。
- 目的:何のためにやる仕事なのか
- 入力:最初に何を受け取るのか
- 参照資料:何を見ながら判断するのか
- 出力形式:最終的に何を作るのか
- 禁止事項:何をしてはいけないのか
- 人間が最後に確認する点:AIに任せきらない場所はどこか
これだけでも、かなり違います。
例えば「毎週広告レポートを作る」仕事なら、何の数字を見るのか、どこから取得するのか、どんな形式でまとめるのか、何を断定してはいけないのか、最後に何を人間が見るのか。
そこまで書けば、もう単なるプロンプトではなく、小さな業務マニュアルになっています。
一度作れば、使うAIが変わっても残る
ここが私は一番大事だと思っています。
Google Workspace Skillsを使うかもしれない。ChatGPTのエージェントを使うかもしれない。別の自動化サービスを使うかもしれない。
ツールはこれからも変わります。
でも、「自分の仕事はどう進めるのか」という型は、そのまま残ります。
だからプロンプトだけを何百個も貯めるより、自分の仕事の判断基準や手順を1ページずつ残しておいた方が、長く使える可能性が高いんですね。
今日の実務調整は、毎週やっている仕事を1つだけ書き出す
ということで、今日は毎週繰り返している仕事を1つだけ選んでください。
例えば、
- ブログを書く
- 広告レポートを作る
- 商品写真を納品する
- クライアントへの進捗報告を書く
- 請求書を確認する
なんでも構いません。
そして1ページに、次の6項目だけまとめます。
- 目的
- 入力
- 参照資料
- 出力形式
- 禁止事項
- 人間が最後に確認する点
今日は自動化までしなくていいです。
まず、自分の頭の中にある仕事のやり方を外へ出す。
プロンプトを貯めるのではなく、仕事の型を貯める。
一人で仕事をしている人ほど、こっちの方が長く使える資産になっていくと思います。
それでは!
よくある質問
-
Google WorkspaceのSkillsとは何ですか?
-
Geminiに繰り返し使わせるための指示を、ルール、テンプレート、参照ファイルなどと一緒に保存できる仕組みです。Google Docsで作成し、Workspace Studioでテスト・管理して、Gmail、Docs、Slides、Drive、Chatなどから利用できます。
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良いプロンプトを保存しておくのと何が違いますか?
-
プロンプトがその場の指示になりやすいのに対し、仕事の型として残す場合は、目的、参照資料、判断基準、禁止事項、出力形式、人間が確認する箇所まで含めて再利用できます。AIが変わっても使い回しやすいのが違いです。
-
Google Workspace Skillsは誰でも使えますか?
-
2026年9月時点では、管理者がGemini Betaを有効にした組織で利用できます。Workspace StudioはBusiness Starter、Business Standard、Business Plusなど複数の対象エディションがありますが、実際の利用可否は管理者設定やベータ利用条件によって変わります。
参考情報
P.S.
AIに「どうやるか」を毎回説明している仕事があれば、そこが最初に型へ変えられる仕事かもしれません。
