「広告→LP→購入」の一本道では、もう顧客の動きが見えにくい

この記事の要点

  • 今の購買行動は「広告→LP→購入」の一直線ではなく、検索・AI・EC・SNS・レビューなど複数の接点を行き来します。
  • 大事なのは順番を固定することではなく、どこから見ても商品価値・価格・根拠・写真・オファーが食い違わない状態を作ることです。
  • 広告のROASだけではなく、粗利・再購入・アップセルまで含めたLTVで収益構造を見る必要があります。

どうも岩崎です。

昔のWebマーケティングって、今よりかなり分かりやすかったんですよね。広告を出して、LPへ飛ばして、そのまま問い合わせや購入につなげる。なので「広告→LP→CV」という一本の導線を磨けば、かなり説明しやすかったわけです。

ところが今は、そう単純じゃなくなってきました。

Amazon Adsは2026年8月、現在の購買行動について、もはや単一の「Path-to-Purchase」で捉えるのが難しいと説明しています。検索だけでなく、AIエージェント、Reddit、SNS、ECなどを横断しながら、商品を知って、調べて、比べて、また戻ってきて購入する人が増えているからです。

さらに、AIに慣れた消費者を対象にした2026年3月の調査では、82%がショッピングのリサーチや比較にAIを利用しているとされています。

これ、DRMで考えるとけっこう大きな変化なんですよ。

お客さんは、こちらが作った順番では動いてくれない

例えば、こちらとしてはこんな流れを想定しているとします。

  1. 広告を見る
  2. LPを読む
  3. 商品を理解する
  4. 購入する

すごくきれいですよね。

でも実際のお客さんは、そんなにこちらの設計通りには動いてくれませんw

広告を見て気になったけど、その場では買わない。商品名をコピーしてGoogleで検索するかもしれないし、AIに「これってどうなの?」と聞くかもしれない。Amazonへ行ってレビューを読んで、それから公式サイトへ戻ってくるかもしれません。

例えば、こんな動きですね。

  1. Instagram広告で商品を知る
  2. AIで商品の評判や違いを確認する
  3. Google検索で会社名を調べる
  4. Amazonや楽天でレビューを見る
  5. YouTubeやSNSで使用感を確認する
  6. 公式サイトへ戻って購入する

これ、ぜんぜん珍しい動きじゃないですよね。

なので「LPをどう改善するか」だけを考えていると、お客さんが途中で何を見ているのかが抜け落ちてしまうんです。

一本道を作るより「どこへ行っても話がつながる状態」を作る

じゃあ、これからは導線を作らなくていいのかというと、そうではありません。

変わるのは、導線の考え方です。

「この順番で見てもらう」ことだけを考えるのではなく、どこから入って、どこへ移動しても、判断を続けられる状態を作ることが重要になってきます。

例えば、広告では「高性能です」と言っているのに、Amazonの商品ページへ行くと何が高性能なのか分からない。公式サイトでは30日保証と書いてあるのに、ECではその説明が見つからない。SNSでは高級感を出しているのに、LPの写真はまったく違う印象になっている。

こうなると、お客さんは移動するたびに「ん?」となるんですよね。

逆に、どこへ行っても、

  • 何の商品なのか
  • 誰向けなのか
  • 何が違うのか
  • 価格はいくらなのか
  • その根拠は何なのか
  • どんな条件で買えるのか

がほぼ同じように理解できれば、お客さんは別チャネルへ移動しても判断を続けられます。

私はこれからの導線設計って、「道順を決める仕事」というより「どこへ行っても迷子にならないようにする仕事」に近くなると思っています。

写真も「広告の1枚だけ良ければいい」ではなくなる

これ、ビジュアルマーケティングでも同じです。

広告写真だけめちゃくちゃ頑張って、その写真では「お、良さそう」と思ってもらえた。でもAmazonへ行ったら商品画像が暗い。公式サイトへ行ったら別の商品みたいな写真が出てくる。Instagramを見ると、また違う世界観になっている。

せっかく広告で作った期待が、比較する途中で少しずつ落ちてしまいます。

昔なら広告は広告、ECはEC、SNSはSNSと、それぞれ別に考えてもなんとかなったのかもしれません。でも、お客さん自身が全部を横断して見るようになると、こちらも横断して考えなきゃいけなくなります。

少なくとも、次のような部分は揃っていた方がいいですよね。

  • 商品の見た目や色
  • 写真のトーン
  • 主な訴求
  • 価格
  • 根拠となる情報
  • オファーや購入条件

全部同じデザインにする必要はありません。InstagramとAmazonでは役割が違いますから。

でも、「同じ商品について話している」と分かる一貫性は必要です。

DRMも「1本の導線」から「複数接点の設計」へ

DRMって、基本的には相手の反応を取りながら次へ進んでもらう考え方ですよね。

なので昔は、広告→LP→資料請求→メール→購入みたいに、順番をかなり細かく設計できました。

もちろん今でも、この考え方自体は重要です。

ただ、途中でお客さんがGoogleへ行ったり、AIへ聞いたり、Amazonへ行ったりする以上、こちらが用意した導線だけで完結するとは限らないんですよね。

だったら、途中で外へ出ることを止めようとするより、出ても戻ってこられる状態を作った方がいい。

例えば公式LPで書いている根拠をAmazonでも確認できる。広告で言っているメリットが、検索結果を見ても矛盾しない。AIが会社について調べても、公式サイトと大きく違う説明にならない。

こういう接点同士のつながりの方が、かなり重要になってくると思います。

広告のROASだけ見ていると、収益構造を見誤ることがある

そして、ここから収益設計の話です。

広告運用をしていると、どうしてもROASを見ますよね。広告費10万円で売上30万円ならROAS300%、みたいな話です。

もちろん大事な数字です。でも、それだけで「この広告は良い」「これはダメ」と判断すると、ちょっと危ないことがあります。

例えば初回購入では利益がほとんど残らなくても、その後に交換品や消耗品を定期的に買ってもらえる商品なら、顧客単位では十分利益が出ることがあります。

逆に、広告のCVRがすごく高くて売上も出ている。でも値引きが大きく、粗利が低く、再購入もほとんどない。これだと売上の数字ほど利益は残りません。

なので広告だけじゃなく、少なくとも次の数字はつながりで見た方がいいです。

  • 広告費
  • 顧客獲得単価(CPA)
  • 初回購入の粗利
  • 再購入率
  • アップセル・クロスセル
  • 顧客生涯価値(LTV)

広告は入口なので、入口だけ見て商売全体を判断しないってことですね。

売上より「どこで判断が止まっているか」を見た方がいい

ここまで考えると、「広告の反応が悪いから広告を直そう」だけでは足りないことも分かります。

広告では興味を持ってもらえているかもしれない。でもAmazonのレビューで止まっているのかもしれない。公式サイトの価格説明で迷っているのかもしれない。AIで調べた時に根拠が見つからなくて候補から外れているのかもしれません。

つまり、売れない原因が広告の中にあるとは限らないんですよね。

私は広告を見る時も、広告だけを見ない方がいいと思っています。

その広告を見た人が次に何を見るのか。その次に何を見る可能性があるのか。そこまで並べてみる。

すると「ここ、写真が弱いな」とか「こっちだけ価格が違うな」とか、「広告で言っている根拠が公式サイトに書いてないな」みたいなことが見えてきます。

今日やることは「購入前に見る場所」を横に並べるだけ

ということで、今日やっていただきたいことです。

主力商品を1つ選んで、お客さんが購入前に見る可能性がある場所を横に並べてみてください。

  • 広告
  • Google検索
  • AI検索
  • 公式LP・ホームページ
  • Amazon・楽天などのEC
  • レビュー
  • SNS・YouTube

で、それぞれを開いて、次の項目だけ確認してみてください。

  • 商品価値は同じように伝わっているか
  • 価格や条件に食い違いはないか
  • 根拠になる情報が確認できるか
  • 写真の印象が大きくズレていないか
  • オファーやCTAが矛盾していないか

今日は直さなくていいです。

まず並べて見るだけ。

たぶん、1ページずつ見ていた時には気づかなかったズレが見えると思います。

「広告→LP→購入」という一本の線で考えるのをやめて、お客さんが行き来する複数の接点として見る。

そうすると広告の話だけじゃなく、写真、コピー、レビュー、価格、リピート、LTVまでつながって見えてくるんですよね。

これからの導線設計って、一本道をきれいに作るというより、どこを通っても迷わないように整える仕事なのかもしれません。

それでは!

よくある質問

カスタマージャーニーは、もう作る意味がないのでしょうか?

意味がなくなったわけではありません。ただし「全員がこの順番で動く」と固定的に考えるより、検索・AI・EC・SNS・レビューなど複数の接点を行き来する前提で設計した方が、現在の購買行動を捉えやすくなります。

複数のチャネルでは、同じ写真や文章を使った方がいいですか?

すべて同じにする必要はありません。広告、Amazon、公式サイト、SNSでは役割が違うため、見せ方は変えて構いません。ただし、商品価値・価格・根拠・ブランドの印象など、判断に関わる基本情報は食い違わないようにします。

広告のROASが良ければ、広告は成功と考えていいですか?

ROASは重要ですが、それだけでは収益性を判断できません。粗利、顧客獲得単価、再購入率、アップセルやクロスセル、LTVまで合わせて見ると、広告が事業全体の利益につながっているか判断しやすくなります。

P.S.

導線って「入口から出口までの一本線」だと思うと複雑になります。まずはお客さんが見そうな場所を横に並べるだけで十分です。並べると、意外なところで写真や価格のズレが見つかります。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。

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