この記事の要点
- 「自然にしてください」「本音を教えてください」と意識させるほど、相手が構えてしまうことがあります。
- お客様が何気なく話す予約時・待ち時間・会計・帰り際の言葉には、自分では気づいていない強みや不安が含まれていることがあります。
- アンケートをやめる必要はありませんが、質問への回答だけでなく、普段の会話で自然に出た言葉も記録すると顧客理解が深まります。
どうも岩崎です。
人物撮影をしていると、言わない方がいいなと思っている声かけがあります。
「はい、自然な感じでお願いします」
これを言うと、むしろ急に不自然になることがあるんですよね。
「自然にしなきゃ」と意識した瞬間に、肩に力が入る。笑顔を作ろうとする。手をどこへ置こうか考え始める。本人は頑張ってくれているんですけど、その頑張りが写真に出てしまいます。
で、こちらも「はい、いいですねー」なんて言いながら何十枚も撮って、ようやく撮影が終わる。
「お疲れさまでした。以上です」
すると、その直後にふっと肩の力が抜けて、いい表情になることがあります。
撮影中より、終わったと思った後の数秒の方が、その人らしい顔だったりするんですよ。
なので私は、撮影が一区切りついた後もしばらく様子を見ることがあります。
で、今日の話はお客さんの声です。
「本音を教えてください」で、本音が出るとは限らない
お客さんの声を集めようとすると、まず思いつくのがアンケートですよね。
「ご意見をお聞かせください」
と紙を渡す。
すると、よく返ってくるのが、
「よかったです」
「ありがとうございました」
「またお願いします」
という言葉です。
もちろん、ありがたい感想です。
ただ、これだけだと「何がよかったのか」が分かりません。
接客なのか、商品なのか、場所なのか、説明なのか、予約のしやすさなのか。
広告やホームページへ使おうとしても、具体的な材料にはしづらいんですね。
アンケートでは答えが無難になりやすい理由
アンケートがダメという話ではありません。
満足度を定点観測したり、同じ質問を多くの人へ聞いたりするには便利です。
ただ、アンケートには拾いにくい情報もあります。
例えば、お世話になった相手を目の前にして感想を書く時、わざわざ強い不満を書きにくい人もいます。名前を書く形式なら、なおさら遠慮する人もいるでしょう。
さらに「満足度を5段階で教えてください」と聞けば、返ってくるのは基本的に5段階の評価です。
こちらが質問した枠の外にあることは、当然ながら出てきにくいんですね。
そしてもう一つ。
お客さん自身が、選んだ理由を最初からきれいな文章にできるとは限りません。
「なんとなく良さそうだった」
という感覚の中に、距離、写真、雰囲気、料金、口コミ、安心感など、いくつもの要素が混ざっていることがあります。
だから「なぜ当店を選びましたか?」と正面から聞かれても、本人もすぐには説明できなかったりするんですね。
お客さんの言葉は「構えていない時」に出ることがある
じゃあ、どこを聞けばいいのか。
私は普段の会話をかなり大事にしています。
予約の電話で最初に言ったこと。
待っている時の雑談。
会計中の一言。
そして帰り際の、
「そういえば……」
です。
この「そういえば」の後って、意外と大事な話が出てくることがあります。
アンケートに答えているつもりではなく、ただ思い出して話しているので、本人が普段使っている言葉で出てきやすいんですよね。
例えば、
「ここ、駐車場が停めやすいですね」
「前のところは予約が取りづらくて」
「電話で聞いた時に説明してくれたから安心しました」
「子ども連れでも大丈夫だったので助かりました」
こういう何気ない一言です。
「どうでもよさそうな一言」に、選ばれた理由が隠れている
提供する側って、どうしても専門的な価値を強みだと思います。
技術が高い。
経験が長い。
良い材料を使っている。
もちろん、それも大切です。
でもお客さんが実際に選んだ理由は、こちらが重要だと思っていなかったところにあることがあります。
「駅から近かった」
「電話でちゃんと説明してくれた」
「写真を見たら怖そうじゃなかった」
「駐車場が広かった」
提供する側からすると、「そこ?」と思うようなことです。
でも、そこがお客さんの最後の決め手だったなら、めちゃくちゃ大事ですよね。
私も、お客さんに言われて初めて気づいたことがあります
私も撮影の現場で、似たようなことを言われたことがあります。
「岩崎さんは撮ってる時間より、待ってる時間に話しかけてくれるから緊張しない」
と言われたんですね。
これ、私としては特別なサービスをしているつもりはありませんでした。
待っている間に普通に話していただけです。
でも相手にとっては、その時間が「緊張しなくて済む」という価値になっていた。
私は撮影技術の方を価値だと思っていたので、けっこう意外でした。
こういうのって、自分で自分の強みを考えているだけでは出てきにくいんですよ。
自分にとっては普通だからです。
お客さんが何気なく口にした時に初めて、「あ、そこを評価してくれていたんだ」と分かります。
「よかったです」だけでは、広告の言葉になりにくい
お客さんの声を集めても、
「丁寧でした」
「よかったです」
「またお願いします」
だけだと、どのお店にも使える言葉になります。
でも、
「他のお店では子どもを連れて行きづらかったけど、ここは大丈夫だった」
なら、急に具体的になります。
「予約の電話で料金を先に説明してくれたので安心した」
なら、不安を減らしているポイントが分かります。
「駅から近いから仕事帰りに寄れる」
なら、誰に向いているサービスなのかまで見えてきます。
こういう具体的な言葉が集まると、広告、ホームページ、FAQ、接客改善まで全部につながっていくんですね。
不満も「言われないから無い」とは限らない
これは良い話だけではありません。
不満についても同じです。
アンケートに何も書かれていないから、不満がないとは限りません。
わざわざ言うほどではない。
言っても仕方ないと思っている。
面倒だから何も言わない。
そういう人もいます。
そして次回、別のお店へ行く。
なので「クレームがない=全部うまくいっている」とは考えない方がいいと思っています。
例えば雑談の中で、
「入口ちょっと分かりづらかったです」
と言われたら、かなり価値のある情報ですよね。
本人は苦情として言っていなくても、次のお客さんも同じところで迷うかもしれません。
お客さんの言葉を「聞き出す」のではなく「残す」
ここで私が大事だと思っているのは、無理に本音を引き出そうとしないことです。
「もっと本音を言ってください」
と聞けば、また相手は考え始めます。
それより、普段の会話で自然に出た言葉を残しておく。
そのくらいでいいと思います。
ただし、お客さんの言葉を広告やホームページへそのまま掲載する場合は別です。
雑談で聞いた内容を勝手に「お客様の声」として公開するのではなく、掲載する場合は本人の了承を取る。
社内で顧客理解の材料として使うことと、外へ公開することは分けて考えてください。
今日から「1日1個」だけメモしてみる
ということで、今日やってほしいことです。
お客さんと話す機会があったら、何気なく出た言葉を一つだけメモしてください。
褒め言葉じゃなくてもいいです。
「駐車場が停めやすいですね」
「思っていたより早かったです」
「前の店では○○だったんですよ」
「ここなら仕事帰りに来られるので」
そういう一言です。
1日1個なら大した作業じゃありません。
でも1か月続ければ、それなりの数になります。
そこに同じ言葉が何度も出てきたら、かなり面白いですよ。
自分では「うちの強みは技術です」と思っていたのに、何人も「説明が分かりやすかった」と言っている。
だったら、そこは一度ちゃんと見た方がいい。
自分の強みを、自分だけで決めない。
お客さんが何気なく使った言葉の中から拾ってみる。
撮影で、力が抜けた瞬間にその人らしい表情が出ることがあるように、お客さんの言葉も、構えていない時の方が面白いものが出てくることがあります。
聞き出すより、聞き逃さない。
そのくらいの感覚がちょうどいいと思いますよ。
それでは!
よくある質問
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お客様アンケートはやめた方がいいですか?
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やめる必要はありません。満足度の変化を追ったり、同じ質問で比較したりするにはアンケートが役立ちます。ただしアンケートだけでは拾いにくい情報もあるため、普段の会話で自然に出た具体的な言葉も一緒に記録すると、より立体的にお客さんを理解できます。
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お客様の本音を聞くには、どんな質問をすればいいですか?
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「本音を教えてください」と抽象的に聞くより、「来る前は何に困っていましたか?」「他と迷いましたか?」「最初に不安だったことはありましたか?」のように、具体的な出来事を聞く方が答えやすくなります。一方で、質問していない時の雑談にも価値があるので、両方を見ることをおすすめします。
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雑談で聞いた言葉を、そのまま「お客様の声」として使ってもいいですか?
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社内で強みや改善点を考える材料として記録することと、広告やホームページへ公開することは分けて考えた方が安全です。個人が分かる形や本人の発言として掲載する場合は、内容を確認してもらい、掲載の了承を得てから使うことをおすすめします。
P.S.
人物撮影で自然な表情を撮りたいなら、「自然にしてください」とお願いするより、普通に会話しながら撮る方がうまくいくことがあります。
撮られることだけに意識が向くと、人はどうしても構えます。なので、どうでもいい話をしながら撮る。そのくらいの方が、その人らしい表情が出やすいんですね。
お客さんの本音も同じで、聞き出そうとするより、何気なく出た一言を聞き逃さないことの方が大事だったりします。
