同じように見えて、まったく違う。ドラッグストア業界が教えてくれる差別化の正体

どうも岩崎です。

この前、打ち合わせ帰りに寄ったドラッグストアで、つい陳列棚をじーっと眺めてしまいました。
「どこに行っても同じように見えるのに、なんでここだけ人が多いんだろう?」って。

で、帰り道にスマホで調べてみたら、なるほど納得。
ウエルシアとツルハが経営統合する予定で、マツキヨとココカラファインはすでに一緒になっていたんですね。

もはや「薬屋さん」ではなく、「生活インフラ」としての戦いになっている。
そして、その戦い方が見事にビジネスそのものを映していました。

同じドラッグストアでも、まったく違う「売り物」

たとえば、マツキヨ&ココカラは完全な都市型。

ターゲットは女性、売り物は薬と化粧品。
つまり「キレイと健康」の領域で利益を作っているわけです。

一方のウエルシアとツルハは郊外型。
薬だけでなく、食品や日用品まで。
「ついで買い」を生む構造で、客単価を上げています。

要するに、同じドラッグストアでも、
マツキヨは「外見を整える店」、
ウエルシアは「生活を支える店」。

この差が、経営統合しても埋まらない根っこの違いなんですよね。

差別化の本質は「売るモノ」じゃなく「売る構造」

多くの人は「商品」で差別化しようとします。
でも本当に違いを生むのは「構造」です。

たとえばコスモス薬品。
彼らは調剤併設率3%。ほぼ薬を売ってません。
代わりに、食品が売上の6割を占めています。

じゃあ、それドラッグストアなの?と思うかもしれませんが、
消費者の頭の中では「安く食料を買える店」という認識でOKなんです。

つまり、定義より認知。
業態より感情。

この構造転換こそが、コスモスの強み。
単なる「価格競争」ではなく、「使われ方の再設計」をやっているわけです。

ウエルシアの戦略は「食品で集客、薬で儲ける」

一方で、ウエルシアやツルハのモデルも美しい。
食品は粗利が低いけれど、客を呼び込む力がある。
薬や化粧品は高利益だけど、買う頻度が低い。

だから、「食品で集客して、薬で儲ける」。
これが彼らの基本構造です。

つまり目的と導線が明確。
広告でいえば、LPとバックエンドのような関係です。

最初から全部で儲けようとせず、
「入口」と「出口」を分けて設計している。

これ、マーケティングにも完全に通じますよね。

売れるブランドは、「軸を増やさない」

今、ドラッグストア業界は再編ラッシュ。
でも結局、生き残るのは何屋かブレてない会社です。

マツキヨは化粧品と都市型女性。
ウエルシアは生活支援と郊外。
コスモスは食と低価格。
それぞれが軸を持って、勝負する場所を間違えていません。

「なんでも売る」は、誰にも選ばれない。
「誰に、どんな瞬間に、どんな理由で選ばれるか」
この視点を持っている会社が、最後に残ります。

業界がどれだけ統合されても、らしさを失った瞬間に終わりです。

それは、個人ビジネスも同じ。
小さくても「この人といえばコレ」というブランド軸を持っているか。

差別化の本質は、派手な演出ではなく「構造の明確化」です。

ではまた。

P.S.

ちなみに、娘がこの前コンビニで「ドラッグストアのジュースの方が安いのはなんで?」って言ってて笑いました。 子どもでも価値の見え方を感じ取ってる。 価格じゃなく「納得感」。 ビジネスも、最後はそこですよね。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。