この記事の要点
- ECでは、AIが商品を探すだけでなく「比較する・選ぶ」ところまで入り始めています。
- これからの商品ページは、人に魅力を伝えるだけでなく、AIが他商品との違いを正しく理解できる情報設計が重要になります。
- 主力商品を1つ選び、「競合3商品と比較された時に、強みを説明できる材料があるか」を確認してみてください。
どうも岩崎です。
ECの商品ページって、今までは基本的に「人にどう売るか」を考えて作ってきたと思うんですね。写真を良くして、タイトルを考えて、商品の特徴を書いて、レビューを増やして、最後に購入してもらう。
もちろん、これはこれからも必要です。
ただ、ここにもう1人、かなり重要な「読者」が加わってきました。
AIです。
2026年9月2日、Yahoo!ショッピングは生成AIを使った「AIおまかせコーディネート」の先行提供を始めました。
これ、単に「似合いそうな服をAIが教えてくれますよ」って機能じゃないんですよ。
- コーディネートを提案する
- 着用イメージを生成する
- 過去に購入した商品とサイズを比較する
- 商品のサイズや素材などの情報を要約する
- 購入者レビューから参考情報を抽出・要約する
つまりAIが、商品を「探す」だけじゃなく、「理解して、比較して、選ぶ」という購入判断のかなり深いところまで入ってきているわけです。
AI経由の売上が、すでに無視できない規模になっている
さらに面白いのが、Yahoo!ショッピングでは2026年7月時点で、AI経由の取扱高が全体の約2割を占めていると発表していることです。
2割ですよ。
なので「そのうちAIで買い物する人が増えるんでしょうね」という未来の話では、もうなくなってきています。
すでにAIを使って商品を探したり、比べたり、選んだりする人がいて、そのまま売上につながり始めている。
ここでECをやっている側として考えなきゃいけないのが、「AIは何を見て、その商品を薦めるんだろう?」ということなんですよね。
AIは「なんとなく良さそう」では比較できない
人間だったら、写真を見て「なんとなく良さそう」と感じて買うことがあります。
デザインが好きとか、写真の雰囲気がいいとか、なんとなく高級そうとか。そういう感覚的な情報も、もちろん購入には影響します。
でもAIが複数の商品を比較して、「この人ならこちらが合っています」と説明しようと思ったら、それだけでは足りません。
例えばA商品とB商品を比べるなら、AIには比較する材料が必要です。
- 何の商品なのか
- サイズや容量はいくつなのか
- 何の素材や成分を使っているのか
- どんな用途に向いているのか
- 他の商品と何が違うのか
- その違いを裏付ける根拠があるのか
- 実際に購入した人は何と言っているのか
ここが曖昧だったら、AIも説明できないんですよね。
「こだわりの商品です」
「高品質な素材を使用しています」
「多くのお客様に選ばれています」
人間が読む広告コピーとしては使えるかもしれません。でも「競合と何が違うの?」と聞かれた時には、ほとんど比較材料になっていません。
商品ページの競争が「説明できる材料の量と質」へ変わる
私はここが、これからかなり重要になると思っています。
今まではECに商品を出す時、まず「商品ページを作る」ことが重要でした。商品名を書いて、写真を載せて、説明文を書けば、とりあえず販売はできます。
ところがAIが商品の比較に入ってくると、商品が掲載されているだけでは足りなくなります。
AIが他の商品と比較した時に、説明できる情報を持っているか。
ここが競争になってくると思うんですね。
例えば同じ価格帯の商品が3つあったとして、1つだけ詳しい仕様、素材、用途、検査結果、レビュー、FAQまで整理されている。他の2つは「高品質です」「おすすめです」くらいしか書いていない。
どの商品をAIが説明しやすいかって考えると、分かりやすいですよね。
写真も「きれい」だけでは足りなくなる
これはビジュアルマーケティングでも同じです。
ECの商品写真というと、きれいに撮ることばかり考えがちなんですけど、本当は写真も情報なんですよ。
例えばバッグだったら、白背景のきれいな写真だけではサイズ感が分かりません。でも人が持っている写真があれば、「このくらいの大きさなんだな」が分かる。中身を入れた写真があれば、収納量が分かります。
つまり写真にも、それぞれ役割があるわけです。
- 形やデザインを伝える写真
- サイズ感を伝える写真
- 使用方法を伝える写真
- 素材や細部を見せる写真
- 使用後のイメージを伝える写真
「映える写真を何枚作るか」ではなく、「購入判断に必要な情報を、写真で何個説明できるか」という見方も必要になってくると思います。
レビューも、単なる星の数ではなくなる
そして今回のYahoo!ショッピングの機能でもうひとつ気になるのが、AIがレビューの内容を抽出・要約することです。
これまでレビューって、「星4.5あります」「レビュー500件あります」という見せ方が中心でした。でもAIが中身を読むようになると、件数だけじゃなくて「何について評価されているか」も重要になります。
例えば公式ページでは「軽さ」を強みとしているのに、レビューでは軽さについてほとんど触れられていない。一方で、こちらがあまり訴求していなかった「手入れが簡単」という話が何度も出てくる。
これ、けっこう面白いですよね。
自分たちが売りだと思っていることと、お客さんが実際に評価していることが違う可能性があるからです。
なのでこれからレビューは「信用を作るために集めるもの」だけではなく、AIにも人にも商品の特徴を説明してもらう材料として見た方がいいと思います。
公式情報とレビューが食い違っていないかを見る
ここで気をつけたいのが、公式の商品説明とレビューがバラバラになっているケースです。
もちろんレビューはこちらではコントロールできませんし、無理に揃えるものでもありません。
ただ、公式では「初心者向け」と書いているのにレビューでは「使い方が難しかった」という声が多いなら、説明が足りていないのかもしれない。公式では「コンパクト」と言っているけど、レビューでは「思ったより大きい」が多いなら、サイズ感の伝え方に問題があるかもしれません。
AIがレビューまでまとめてくれるなら、こちらに都合のいい情報だけを見せることは、ますます難しくなります。
でも私は、その方がいいと思うんですよ。
本当に良いところは具体的に書く。注意点もちゃんと書く。実際のお客さんが感じていることと大きくズレないようにする。
その方が、最終的には買った後の「思ってたのと違った」も減りますからね。
AIが販促そのものに入り始めている
もうひとつ、この流れが一時的な機能追加ではないと感じる理由があります。
Yahoo!ショッピングでは現在、「AIお買い物メモ」という機能も提供されています。欲しいものをメモしておくと、AIエージェント「Agent i」が内容を解析して、商品候補を提案してくれる仕組みです。
さらに2026年9月11日からの大型販促では、このAIお買い物メモを利用した人向けのクーポン施策まで組み込まれています。
つまりAIは、単なる検索補助機能じゃなくなっているんですね。
商品を探す → 比較する → 選ぶ → 販促につなげる。
購買のかなり広い部分へ入り始めています。
ECで強いページは「売り文句が上手なページ」だけではなくなる
なので、これからの商品ページを見る時に、「文章がうまいか」「写真がおしゃれか」だけで評価しない方がいいと思います。
それよりも、AIが競合と比べようとした時に、ちゃんと材料が揃っているかを見る。
例えば、最低限このあたりです。
- 仕様:性能・機能・数値などが明確か
- サイズ・容量:具体的な寸法や量が分かるか
- 素材・成分:何からできているのか分かるか
- 用途:誰が、どんな場面で使うものか分かるか
- 違い:競合商品との違いを具体的に説明できるか
- 根拠:検査・実績・第三者評価など、主張を裏付けるものがあるか
- レビュー:実際の購入者がどんな点を評価しているか
この7つが全部必要という意味ではありません。商品によって必要な情報は違います。
ただ「競合3商品と比べて説明してください」とAIに言われた時に、自社の商品だけ比較材料が少ない状態にはしない方がいいですよね。
今日やることは、競合3商品と比べるだけ
ということで、今日やっていただきたいことです。
主力商品を1つだけ選んでください。
そして、こう考えてみてください。
「AIがこの商品を競合3商品と比較するとしたら、うちの商品を説明する材料は揃っているか?」
さっきの7項目を順番に見ればいいです。
- 仕様
- サイズ・容量
- 素材・成分
- 用途
- 違い
- 根拠
- レビュー
全部直す必要はありません。
抜けているものを1つだけ足してください。
「高品質です」しか書いていなかったら、素材を書いてみる。「おすすめです」しかなかったら、誰に向いているのかを書く。商品の違いを主張しているなら、その根拠を追加する。
そのくらいからで十分です。
ECって、今までは商品を載せる場所だったじゃないですか。
でもこれからは、商品そのものに加えて、AIが他の商品と比較して説明できるだけの情報を載せる場所になっていくんだと思います。
しかも、そのために情報を整理すると、人にも分かりやすくなる。
結局、AI対策って人間を無視してAI向けの文章を書くことじゃないんですよね。
商品のことを、誰が読んでもちゃんと説明できる状態にする。
まずはそこからでいいと思います。
それでは!
よくある質問
-
AI向けに商品説明を書き直す必要がありますか?
-
AI専用の不自然な文章を書く必要はありません。仕様、サイズ、素材、用途、違い、根拠など、人が商品を比較する時にも必要な情報を具体的に整理することが基本です。
-
レビューもAIの商品比較に影響しますか?
-
Yahoo!ショッピングの「AIおまかせコーディネート」では、商品情報だけでなくユーザーレビューからも参考情報を抽出・要約すると案内されています。少なくとも同機能では、レビューの中身も商品理解の材料になります。
-
小規模ECでは何から直せばいいですか?
-
まず主力商品を1つだけ選び、競合商品と比較した時に説明が足りない項目を探してみてください。全部を一度に修正するのではなく、例えば「サイズが分からない」「根拠がない」など、1項目ずつ補う方が取り組みやすいです。
P.S.
商品写真も同じで、「きれいな1枚」だけより、サイズ感・使い方・素材など判断材料になる写真がある方が役に立ちます。写真もコピーも、これからは”比較するための情報”として考えると作りやすいですね。
