良いものを作っても、見せなければ伝わらない。選ばれるための情報設計

この記事の要点

  • 良い写真や実績があっても、お客さんが見る場所に置かれていなければ判断材料になりません。
  • プロフィールやお客様の声など、一度作った素材はホームページ・SNS・名刺・店内など複数の接点で活用できます。
  • 何を作るかだけでなく「どこで使うか」を先に決めると、写真も文章も実際に使いやすい形になります。

どうも岩崎です。

撮影の仕事を始めたばかりの頃、けっこう痛い目にあったことがあります。丸1日かけて数百枚撮影して、その中から自分なりにかなり良い写真を選んで納品したんですね。光もいいし、表情もいい。自分としては会心の出来でした。

ところが、その写真がほとんど使われませんでした。

理由を聞いてみたら、写真そのものが悪かったわけではなかったんです。横位置ばかりなので縦長のSNSには使いづらい。人物を画面いっぱいに入れているので文字を置く余白がない。ホームページの横長スペースへ入れると上下が切れてしまう。

つまり、写真としては良い。でも「使える写真」になっていなかったんですね。

この時に思ったんです。

使われない写真って、撮っていないのとかなり近いなと。

データは存在しています。撮影にも編集にも時間を使っています。でも広告にもホームページにもSNSにも出なければ、お客さんの目には触れません。価値はあるのに、伝わる場所まで出ていないんですね。

それ以来、私は撮影前に「何を撮るか」だけではなく、「どこで使うか」をかなり細かく聞くようになりました。ホームページなのか、広告なのか、SNSなのか。縦なのか横なのか。文字を載せるのか。正方形に切られる可能性があるのか。

用途が分かれば、撮り方そのものが変わります。

良い写真を撮ることと、使える写真を撮ることは別なんですよね。

持っている価値と、伝わっている価値は別です

で、今日話したいのは写真そのものではありません。

商売でも、まったく同じことが起きています。

技術がある。丁寧に仕事をしている。お客さんから良い感想もたくさんもらっている。長年続けてきたこだわりもある。

でも、それがお客さんへ伝わる場所に出ていなければ、選ぶ時の判断材料にはなりません。

ここ、かなり厳しいところなんですが、「実際に良いかどうか」と「良さが伝わっているかどうか」は別なんですよね。

例えば10社の候補から1社を選ぶ人がいたとします。実際には一番丁寧な会社があったとしても、ホームページに何も書いていなければ、その丁寧さを比較材料にはできません。

「一度仕事をしてもらえば分かります」では、最初の依頼をもらう前には分からないんです。

だから、持っている価値は、お客さんが判断できる形まで出しておく必要があります。

実力がある人ほど「分かる人には分かる」と思いやすい

これ、むしろ実力がある人ほど陥りやすいと思っています。

長く仕事をしていると、自分と同業者の違いが感覚的に分かるようになります。写真なら光を見れば分かる。料理なら材料や火入れを見れば分かる。美容師さんなら仕上がりを見れば技術が分かる。

だから「見れば分かるでしょ」と思ってしまうんですね。

でも、お客さんは同業者ではありません。

プロ同士なら一瞬で分かる違いでも、初めて見る人には何が違うのか分からないことがあります。だからこそ「何が違うのか」「その違いによってお客さんにどんな良いことがあるのか」を説明する必要があります。

分かってもらう努力まで含めて、商売なんだと思うんですよね。

作ったのに、置いていないものが結構あります

相談を受けていると、実は「持っていない」より「持っているのに見せていない」ケースの方が多かったりします。

ちゃんとしたプロフィールを書いたことがある。お客さんから素晴らしい感想をもらっている。競合にはないこだわりも言葉にできている。

でも、それはどこにありますか?と聞くと、ホームページのかなり奥だったり、Instagramの2年前の投稿だったり、パソコンのフォルダに保存されたままだったりします。

作った本人からすると「もうやった」なんです。

でもお客さんからすると、見ていないので存在を知らない。

これが、最初に話した「使われない写真」と同じ状態です。

一度作ったものは、何度使ってもいい

そこで使いやすいのが、ひとつの素材を複数の場所で活用する考え方です。

例えば、1,000文字くらいのプロフィールを一度ちゃんと作ったとします。

それをプロフィールページに載せるだけで終わらせる必要はありません。

  • ホームページのプロフィールページには全文を載せる
  • トップページには200文字くらいに要約して載せる
  • SNSのプロフィールには一言まで短くする
  • 名刺には一番伝えたい部分だけ載せる
  • 予約サイトのスタッフ紹介にも使う
  • 営業資料や店内POPにも応用する

元になっている内容は一つです。

でも、お客さんとの接触点は一気に増えます。

これ、別に同じことを何度も言っているからダメという話ではないんです。全部の媒体を最初から最後まで見ている人なんて、ほとんどいませんからね。

むしろ、どこで見ても「この人はこういう人なんだ」と同じ印象が残る方が、覚えてもらいやすくなります。

お客様の声も、一度載せて終わりにしない

昨日、お客様の声の話をしました。

例えば、すごく良いお客様の声が1本取れたとします。来る前に何で悩んでいたのか、なぜ申し込んだのか、その後どう変わったのかまで分かる、かなり良い内容です。

それを「お客様の声ページ」に1回載せて終わりでは、やっぱりもったいないんですよ。

トップページにも一部分を載せる。サービスページにも関連するところを載せる。SNSでは1エピソードずつ分けて紹介する。店内に置く。営業資料にも使う。

同じ一人の体験談でも、使える場所はたくさんあります。

せっかく時間をかけて集めた証拠なんですから、ちゃんと働いてもらった方がいいですよね。

どこで使うかを先に決めると、作り方も変わる

ここで、写真の話に戻ります。

私が撮影前に用途を聞くようになったのは、出口を先に決めると、作るもの自体が変わるからです。

「ホームページのトップで使います。右側に文字を載せます」と分かっていれば、人物を少し左に置いて、右側に余白を残して撮れます。

「Instagramでも使いたい」と分かっていれば、横位置だけではなく縦位置も一緒に撮っておけます。

「正方形にも切ります」と分かっていれば、トリミングしても重要な部分が消えない構図にできます。

文章も同じです。

ホームページだけでなく名刺でも使うと最初から決めていれば、1,000文字のプロフィールと一緒に、100文字版、30文字版まで作っておけばいい。

SNSにも使うなら、最初の一文だけでも意味が分かる形にしておく。

出口が決まると、必要な素材の形も見えてくるんですね。

「作る」より「置く」方が簡単です

新しく価値を作ろうとすると大変です。

新しいサービスを作る。資格を取る。設備を入れる。撮影し直す。長い文章を書く。

でも、すでに持っている良い素材を別の場所へ置くなら、かなり簡単です。

コピーして、少し長さを調整して、貼るだけです。

なのに、なぜか私たちは新しいものを作ることばかり考えて、すでに持っているものをあまり使いません。

これ、すごくもったいないと思うんですよね。

ホームページの記事を100本増やす前に、すでにある一番良いお客様の声をトップページへ出した方が反応が変わるかもしれない。

SNSを毎日投稿する前に、ちゃんと作ったプロフィールを目立つ場所へ置いた方がいいかもしれない。

足りないものを探す前に、今持っているものがちゃんと働いているかを見るんです。

お客さんの動線上に置いてあるか

もう一つ大事なのが、「どこでもいいから置けばいい」というわけではないことです。

例えば、お客様の声をホームページの一番奥に100件置いても、ほとんどの人がそこまで行かなければ見てもらえません。

サービス内容を読んで、「本当に大丈夫かな」と不安になったタイミングでお客様の声が出てくる方が自然ですよね。

料金を見た後で、「なぜこの価格なのか」が分かるこだわりを見せてもいい。

プロフィールを読む前に、「この人は何をしてくれる人なのか」が分かる説明を置く。

つまり素材だけでなく、置く位置にも役割があります。

良い写真でも、使う場所と形が合っていなければ使われない。

良い情報でも、お客さんが必要とする場所に置いていなければ読まれない。

構造は同じなんですね。

今日、すでに持っているものを一つ動かす

ということで、今日は新しく何か作らなくて大丈夫です。

すでに持っている良い素材を一つ思い出してみてください。

プロフィールでも、お客様の声でも、写真でも、過去に書いたブログでも構いません。

そして、その素材をまだ使っていない場所を3つ書き出してみてください。

ホームページのトップ。サービスページ。Instagram。名刺。店内。営業資料。予約サイト。メール。

そのうち、一番簡単なところへ今日一つ置く。

これだけです。

新しく作るより、たぶんずっと早いです。

良いものを持っているのに、それが人の目に触れない場所で眠っているのは本当にもったいないです。

作った価値は、ちゃんと使われるところまで持っていく。

写真でも文章でも、そこまでやって初めて仕事をしてくれるんだと思っています。

それでは!

よくある質問

同じプロフィールやお客様の声を、複数の場所で使ってもいいですか?

問題ありません。ただし、媒体に合わせて長さや見せ方を調整すると使いやすくなります。ホームページでは詳しく、SNSでは要点だけ、名刺では一言にするなど、中心となる内容を変えずに形を変えて活用します。

どの情報から複数の場所へ展開すればいいですか?

まず、お客さんが選ぶ時の判断材料になりやすいものを優先します。具体的なお客様の声、他との違いが分かるこだわり、実績の背景、プロフィールなどです。特に「すでに良い内容なのに見られていないもの」から始めると効率的です。

ホームページでは、重要な情報をどこに置けばいいですか?

お客さんがその情報を必要とするタイミングに置くのが基本です。サービスの信頼性を補いたいなら説明の近くにお客様の声を置く、価格の理由を伝えたいなら料金周辺にこだわりや違いを置くなど、読む流れに合わせて配置します。

P.S.

撮影する写真を実際に使いやすくしたいなら、一つのシーンで縦と横を両方撮っておくとかなり便利です。同じ場所でカメラを持ち替えて数枚撮るだけなので、ほとんど手間は増えません。

もう一つは、被写体を画面いっぱいに入れすぎないこと。上や左右のどこかに余白を作っておくと、あとからキャッチコピーやボタンを重ねやすくなります。

さらに複数の比率へ切り抜いて使うなら、顔や商品など絶対に残したい部分は、端へ寄せすぎない方が安全です。

縦横を撮る。文字用の余白を残す。切られて困るものを端へ置かない。この3つを意識するだけでも、撮った写真が実際に使われる確率はかなり変わります。

写真って、撮った瞬間が完成じゃないんですよね。実際に広告やホームページへ載って、人の目に触れて初めて役割を果たします。文章やお客様の声も、たぶん同じだと思っています。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。