どうも、岩崎です。
前回は「感情を添えるキャプション」の話をしましたが、
今回はもうひとつ大切な要素―“視点”を言葉にすることについて話していきます。
これ、実はすごく大事で。
同じ場所で、同じ時間に、同じ風景を撮ったとしても、
「何をどう切り取ったか」で写真の意味はまったく変わってきますよね?
それってつまり、「自分がどんな目線で世界を見ているか」が作品に出るということ。
そしてそれを、きちんと言葉に落とし込めたとき、
見る人との距離はグッと縮まります。

なぜ“視点”を言葉にする必要があるのか?
① 共感は“同じ見方”から生まれる
人は、自分と似たものの見方をする人に安心感を抱きます。
だから、
「あ、私もそう感じたことある」
と思ってもらえるキャプションは、それだけで信頼につながる。
「何を見たか」よりも、「どう見たか」を伝えることが、
写真に“あなたらしさ”を宿す第一歩なんです。
② 写真の意図が伝わると、作品の意味が変わる
たとえば、こんな写真があったとします。
- 雨の降る窓辺をぼんやりと写した1枚。
これだけなら「雰囲気のある写真」かもしれません。
でも、そこにこんなキャプションを添えたらどうでしょう?
「この日は、大切な人と連絡が取れなかった」
…一気に、写真の背景がドラマになる。
視点を言葉にすることで、“物語”が立ち上がるんです。
③ 視点はブランディングにもなる
「この人の写真、なんか好きだな」って思ってもらえる理由って、
実は写真の上手さよりも「どんなふうに世界を見ているか」だったりします。
つまり、あなたの視点そのものが“ブランド”になっていくんです。
だから、視点をちゃんとキャプションで伝えることは、
世界観の発信であり、ファンをつくる行為でもあるんですね。
【実践】視点を言葉にする3ステップ
じゃあ、実際にどうやって視点を言葉にすればいいのか?
シンプルな流れを紹介します。
ステップ① 写真をじっと見る(撮った自分の感覚に戻る)
- そのとき、何に惹かれたのか?
- なぜ、この角度、この距離、この明るさにしたのか?
- 心がどこに動いて、シャッターを押したのか?
まずは「なぜこの一枚を残したのか?」を掘り起こすことから始めます。
ステップ② その視点に名前をつけてみる
言葉にする前に、まず“タグ”のような一言を自分に返してみましょう。
たとえば:「光を探してる視点」「孤独を肯定する目線」「空気を感じるまなざし」
曖昧でOKです。
この段階で「なんとなく自分がどんな目で世界を見ているのか」が見えてくると、
言葉は自然と形になります。
ステップ③ その視点を一行のキャプションにしてみる
いよいよ言葉にしてみましょう。説明ではなく、“見方”を表す言葉で。
例文
- 「この光は、誰にも見つからなかった気がした」
- 「この背中に、自分の記憶を重ねてたのかもしれない」
- 「静けさって、こんなに重たかったっけ?」
こういう一行があるだけで、見る人が“あなたの視点”を通して写真を見るようになるんです。
視点の言語化は、写真を“あなたの言葉”にすること
写真は、見たものを記録するだけじゃなく、
あなたという人の“見方”を届けるツールでもあります。
だから、視点をちゃんとキャプションにのせることで、
ただの風景も、「あなたが切り取った意味のある一枚」になる。
そしてその積み重ねが、あなたの作品を「好き」と言ってもらえるきっかけになります。
ではまた。
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