写真と動画を「別の撮影」にしない。1回の撮影から使える素材を増やす

この記事の要点

  • 商品写真、動画、SNS素材を別々に撮るより、1回の撮影から複数用途の素材を残す方が少人数では効率的です。
  • 写真は一瞬で商品を認識・印象形成しやすく、動画は大きさ、動き、使い方、光による質感の変化などを理解させやすいという違いがあります。
  • 動画を完成させる必要はなく、写真を撮った直後に同じセットで5〜10秒の動画素材を残しておくだけでも、広告・LP・EC・SNSへ展開しやすくなります。

どうも岩崎です。

商品撮影って、「今日は写真撮影」「動画はまた別の日」「SNS用は必要になったら追加で撮ろう」みたいに分けることがありますよね。

でもこれ、少人数でやっている会社ほどけっこう大変です。商品を用意して、移動して、背景を作って、ライティングして、モデルが必要なら手配して、位置を合わせて・・・。動画のために後日もう一度やると、同じ準備をまた最初からやることになります。

だったら最初から、「1回の撮影から写真と動画の両方を取る」と考えておいた方がいい。

今日はそんな話です。

写真と映像を一緒に作る流れが広がっている

昨日9月29日、東京で映像・写真クリエイター向けイベント「CREATORS EDGE 2026」が開催されました。

ニコンの出展では、縦型の企業プロモーション映像を少人数で制作するワークフローが紹介されたほか、別のセミナーではフォトグラファーと映像家が登壇し、写真と映像をハイブリッドに使う制作スタイルが取り上げられています。

ここで私が気になったのは、新しいカメラそのものというより、写真と映像を別々の仕事として考えなくなってきているところです。

特に少人数の制作では、この考え方の方が現実的だと思うんですね。

「写真を撮る→後で動画を撮る」だと、準備まで2回になる

例えば商品写真を撮るとします。

  • 商品を準備する
  • 背景を決める
  • ライティングを作る
  • 商品の向きを調整する
  • 必要ならモデルや小物を用意する
  • 色や反射を確認する

ここまで準備した状態で静止画だけ撮って終わり、数週間後に「ショート動画も欲しい」となったら、また同じ準備が必要になります。

撮影そのものより、こういう準備の方に時間が掛かることって多いですよね。

なので最初から、「このセットで写真を撮った後、何を5秒だけ動かしておくか」まで決めておく。

この方が撮影時間を大きく増やさず、後から使える素材を増やせます。

リコーも「1回撮って、あとから複数用途へ使う」方向へ進んでいる

この考え方につながる別の例が、9月28日にリコーが発表した不動産向けの機能です。

RICOH THETA Xで1回360度撮影すると、カメラ内のAIが空間や設備を認識し、ポータルサイト、自社サイト、SNS、チラシなどへ使える通常の写真を複数生成します。リコーは先行して、同じ360度画像から物件紹介動画を生成する仕組みも提供しています。

もちろん不動産と商品撮影では用途が違います。

でも考え方は同じです。

撮影回数を増やすのではなく、一度取得した視覚情報の利用範囲を広げる。

少人数でやるなら、この発想はかなり使いやすいと思います。

ただし「写真と動画は同じもの」ではない

ここで一つ注意したいのは、「じゃあ写真をそのまま動画にすればいい」という話ではないことです。

写真と動画では、伝えやすいものが違います。

素材得意なこと例えば何を見せるか
写真一瞬で認知・印象形成する商品の形、質感、世界観、デザイン、第一印象
動画時間の流れの中で理解させる大きさ、動き、使い方、操作、光による質感変化
コピー意味づけ・納得・販売を進める必要性、違い、ベネフィット、価格、選ぶ理由

例えば商品の正面写真なら、形やデザインは一瞬で分かります。

でも、その商品を手に持った時にどのくらいの大きさなのか、フタがどう開くのか、素材へ光が当たるとどう反射するのかは、動画の方が分かりやすい場合があります。

そして「なぜこの構造なのか」「他と何が違うのか」「なぜこの価格なのか」まで説明するのはコピーの仕事です。

写真か動画かを選ぶのではなく、それぞれ得意な仕事をさせる。

ここですね。

写真で止めて、動画で理解を深めて、コピーで意味を付ける

昨日は、写真は認知、コピーは販売という話をしました。

今日の動画まで入れるなら、私はこんな流れで考えると分かりやすいと思います。

  • 写真:まず目を止めてもらい、商品を認識してもらう
  • 動画:動きや使い方を見せて、理解を深める
  • コピー:その商品を選ぶ意味や理由を言葉にする
  • LP・EC:情報をまとめて購入へつなげる

こうすると、「写真と動画どっちを作ればいい?」という話ではなくなります。

同じ商品の中で、それぞれ何を担当させるかの話になります。

1枚撮ったら「この場面を動かすなら?」と考える

撮影現場では、難しく考えなくていいと思います。

写真を1カット撮ったら、その直後に、

「この場面を5〜10秒だけ動かすなら、何を撮ればいいだろう?」

と考える。

例えば、こんな感じです。

写真で撮るものそのまま残せる短い動画
商品の正面商品へゆっくり寄る、少し角度を変える
質感の寄り光を少し動かして表面の反射を見る
手に持った写真持ち上げる、置く、向きを変える
使用イメージ実際の操作を3〜5秒行う
パッケージ開封する、商品を取り出す

これなら、別日に「動画撮影の日」を作らなくても素材を残せます。

しかも同じセット、同じライティング、同じ商品なので、写真と動画のトーンも揃いやすいです。

動画を完成させる必要はない

こういう話をすると、「撮影案件ごとに動画まで納品したら大変じゃない?」となりますよね。

私も、毎回ショート動画まで完成させる必要はないと思います。

撮影時には素材だけ残しておけばいい。

  • 3秒の商品アップ
  • 5秒の使用シーン
  • 光を動かした質感カット
  • 手に持ったサイズ感
  • 開封や操作の短い動き

こういうものがあれば、後から広告やLPへ使ったり、数本をつないでショート動画にしたりできます。

完成品を増やすのではなく、後から使える材料を増やす。

このくらいの感覚でいいと思います。

縦型も撮影時点で押さえておく

特にSNSへ展開する可能性があるなら、縦型は撮影時点で押さえておいた方がいいです。

横長で撮った素材を後から9:16に切り抜くこともできますが、商品の左右が切れたり、手元が入らなかったり、余白が不自然になったりします。

同じ場面で、横を撮った後にカメラを縦へして5秒だけ撮る。

それだけなら、それほど時間は増えません。

あとからTikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsなどへ使う時に、この5秒がかなり効いてきます。

「撮影枚数」ではなく「使える用途」を増やす

ここは考え方として大事だと思います。

商品撮影で「100カット撮りました」と言っても、その100枚が似た写真だったら、使える用途はそんなに増えません。

それより、

  • ECの商品一覧で使える
  • LPのファーストビューで使える
  • 広告で使える
  • SNSで使える
  • 縦型動画へ使える
  • 商品の使い方説明に使える

と、用途が増える方が価値は高いですよね。

撮影量を増やすより、1回の撮影から使える範囲を広げる。

少人数の会社では、この考え方の方が合っていると思います。

ただし、何でも「ついで撮り」にすればいいわけではない

もちろん、ちゃんとしたブランドムービーやCMを作るなら話は別です。

構成、演出、音、カメラワーク、編集まで考えるなら、静止画のついでだけでは作れません。

今回の話は、あくまで商品撮影の現場で、

「このセットを崩す前に、後で使えそうな動きも残しておこう」

という話です。

作り込む動画と、素材として残す動画を分けて考えればいいと思います。

今日のチェックリスト

最後に、次に予定している撮影案件を1件だけ思い浮かべて、自分に次の質問をしてみてください。

  • この写真を撮った直後に、5〜10秒だけ動画を残せる場面はないだろうか?
  • 写真だけでは伝わりにくい「大きさ・動き・使い方・質感」はないだろうか?
  • 横位置だけでなく、9:16の縦型素材も残しておいた方がいいだろうか?
  • 同じセット・照明・商品を使ったまま撮れる動画はないだろうか?
  • この撮影素材は、広告・LP・EC・SNSのうち何カ所で使えるだろうか?

全部撮る必要はありません。

まず次の撮影リストに、「この写真を5秒動かすなら何を撮る?」を1項目追加するだけで十分です。

写真と動画を別々の仕事として考えるのではなく、同じ撮影からどこまで使える素材を残せるか考える。

撮影時間を大きく増やさず、使える素材を増やすなら、この設計の方がいいと思います。

それでは!

よくある質問

商品撮影では、写真と動画を同じ日に撮った方がいいですか?

すべての案件で必要というわけではありません。ただ、同じ商品・セット・照明を使える短い動画素材なら、写真の直後に残しておくことで、後日の再撮影を減らせる場合があります。

短い動画素材は何秒くらいあれば使えますか?

素材として残すなら、3〜10秒程度でも使える場面があります。完成動画の長さを先に決めるより、サイズ感、質感、使用動作など、あとから組み合わせられる短い素材を残しておくと展開しやすくなります。

写真と動画は同じ役割ではないのでしょうか?

重なる部分はありますが、得意な表現が違います。写真は形や質感、世界観を一瞬で伝えやすく、動画は動き、使い方、サイズ感、光による変化など、時間の流れを使った説明に向いています。

P.S.

写真を撮り終えてセットを崩す前に「これ、5秒だけ動かしておく?」と考える。この小さな習慣だけでも、後から使える素材はかなり増えると思います。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。

この記事を、自社ではどう活かせばいいだろう?

読んで気づいたことはあっても、実際にどこを変えるかは迷うものです。一人で抱えず、今のページをお送りください。私、岩崎が確認し、気になった点とその理由、最初に見直す候補をメールでお返しします。

どこから見直すか、相談する

あなたなら、どこから変えてみますか?

読んで気づいたことはあっても、実際にどこを変えるかは迷うものです。一人で抱えず、相談したい内容が載っている、あなたのホームページや商品・サービスの紹介ページのURLをお送りください。私、岩崎が確認し、気になった点とその理由、最初に見直す候補をメールでお返しします。

どこから見直すか、相談する