この記事の要点
- 2026年9月の日本では消費意欲が弱まり、無駄な買物を避けようとする意識が強まっています。
- 一方で、お客さんは単に「安いか」だけでなく、容量や仕様など「見えないところで価値が減っていないか」にも敏感になっています。
- 値上げや仕様変更時は、価格だけでなく「何が変わり、何を維持したのか」を同じ画面で見せると判断材料になります。
どうも岩崎です。
最近、スーパーでもコンビニでも「また高くなったなー」と感じることが増えましたよね。価格そのものが上がっている商品もあれば、値段は同じだけど「あれ?前よりちょっと小さくない?」みたいな商品もあります。
こういう時って、売る側はつい「なるべく高く見えないようにしよう」と考えます。でも今は、それだけだと逆に不信感につながる可能性があります。
高くなったこと以上に、「見えないところで何か減っていない?」と見られている。
今日はそんな話です。
2026年9月は、かなり「使わない」方向に傾いている
博報堂生活総合研究所が発表した「来月の消費予報」によると、2026年9月の消費意欲指数は45.7点でした。
前月から3.4ポイント低下し、過去5年間の9月としては最低水準です。調査は20〜69歳の男女1,500人を対象に行われています。
自由回答を見ても、前月と比べてこんな回答が増えています。
- 「今月までに多く使ったのでセーブ」
- 「無駄な買物はしない」
- 「欲しいものがない・意欲がない」
なので、今の市場が節約寄りなのは確かだと思います。
ただ、ここで「じゃあ安くすれば売れるんですね」と考えると、少し話が違います。
9割のお客さんが「ステルス値上げ」を感じている
マクロミルが2026年9月17日に公表した全国調査では、90.2%がステルス値上げを実感していると回答しています。
さらに、容量減や仕様変更をきっかけに、購入する商品を変えたり、買うこと自体を控えたりした経験がある人は72.1%。企業イメージが悪化した人も64.7%でした。
面白いのは、ステルス値上げに気づくタイミングです。
最も多かったのが、「店頭で手に持ったとき」の55.0%なんですね。
つまり、お客さんは価格表だけを見ているわけではありません。
「前と比べて中身が減っていないか」「品質が変わっていないか」「知らない間に条件が悪くなっていないか」まで見ている。
安いかどうかより「価値が減っていないか」が気になる
ここは、かなり大事だと思います。
物価が上がっているなら、お客さんが価格に敏感になるのは当然です。でも同時に、価格を維持するために中身だけ変えたことにも気づき始めています。
例えば、
- 値段は同じだけど容量が減った
- 値段は同じだけど原材料が変わった
- 料金は同じだけどサービス範囲が狭くなった
- 撮影料金は同じだけど納品カット数が減った
- 月額は同じだけどサポート回数が減った
こういう変化ですね。
もちろん、変更すること自体が悪いわけではありません。原材料費も人件費も上がっていますから、どこかを調整しないと事業そのものが続かない場合もあります。
問題は、変わったことを見えにくくしたまま、「以前と同じ価値です」と見せてしまうことだと思うんですね。
値上げを隠そうとするほど、逆に値上げが目立つ
売る側からすると、「値上げしました」と大きく言うのは怖いですよね。
なので、なるべく触れない。価格だけ静かに変える。容量だけ少し減らす。サービス内容を少し狭める。
でも、お客さんが後から気づいた時には、単なる価格の問題ではなくなります。
「値上げされた」ではなく、「隠された」と感じる可能性がある。
マクロミルの調査で企業イメージの悪化が64.7%に達していることを考えると、この違いはけっこう大きいですよね。
だから「高くなりました」だけで終わらせない
では、値上げする時はどう見せたらいいのか。
私は、価格の変更だけを単独で見せるのではなく、「変わったもの」と「変えていないもの」を一緒に見せるのがいいと思います。
例えば食品なら、
- 価格は変更した
- 原材料は変えていない
- 製造方法も変えていない
- 品質基準も変えていない
という見せ方ができます。
サービスなら、
- 月額料金は上がった
- 担当者による対応は維持する
- 返信までの時間は変えない
- 月○回の打ち合わせは維持する
という説明もできます。
これなら、お客さんは「高くなった」という情報だけではなく、何に対してお金を払うのかまで判断できます。
これは値上げの「言い訳」をする話ではない
ここは少し誤解されやすいところです。
「原材料費が上がりました」「人件費が上がりました」と長々説明して、値上げを納得させようという話ではありません。
もちろん変更理由を伝える必要はありますが、それ以上に大事なのは、お客さんが以前との違いを比較できる状態にすることです。
例えば、
- 価格はいくら変わったのか
- 量やサービス範囲は変わったのか
- 品質は維持されているのか
- なぜ変更したのか
これが一目で分かれば、お客さん自身が判断できます。
納得させるのではなく、判断材料を出す。
この方が自然ですよね。
Visual Sellingなら「維持した価値」も見えるようにする
これはVisual Sellingにもそのままつながります。
値上げの案内って、どうしても数字だけになります。
「2,980円 → 3,280円」みたいな感じですね。
でも数字だけを大きく見せると、お客さんの頭には「300円上がった」しか残りません。
だったら同じ画面で、変えていないものも見せた方がいい。
- 価格:変更
- 内容量:維持
- 原材料:維持
- 品質基準:維持
あるいはサービスなら、
- 料金:変更
- 撮影品質:維持
- 納品点数:変更
- レタッチ基準:維持
こういう比較です。
「高くなった」を隠すのではなく、「何を守ったのか」を一緒に見せる。
この方が、お客さんにとっても比較しやすいと思います。
小規模事業では、価格だけで勝負しない方がいい
特に小さな会社や一人事務所では、価格勝負を続けるのはかなり大変です。
原価も人件費も上がっているのに、「周りより安く見せよう」とすると、どこかを削るしかありません。
その結果、
- 納期が伸びる
- 品質が下がる
- 対応範囲が狭くなる
- サポートが減る
となったら、本末転倒です。
だったら価格を変える代わりに、「ここは削らずに残しました」と見せた方が、自分たちの価値も守りやすいですよね。
ただし、今回の数字をBtoBへそのまま当てはめない
一点だけ注意があります。
今回のマクロミル調査は全国18〜79歳を対象とした生活者調査で、食品・日用品などの身近な商品を想定した内容が中心です。
なので、撮影、広告運用、コンサルティングなどのBtoBサービスに「72.1%が買い控える」と、そのまま当てはめることはできません。
ただ、お客さんが価格差だけでなく「価値がどこで減ったのか」にも敏感になっているという市場を見る材料にはなります。
今日の実務調整は4項目を並べるだけ
ということで、今日は価格や容量、サービス範囲を変更した商品、もしくは今後変更する可能性がある商品・サービスを1つだけ選んでください。
そして、次の4項目を1画面、もしくは1ブロックにまとめます。
- 価格:以前と現在でどう変わったか
- 量・提供範囲:何が変わったか
- 維持した価値:何を変えずに守ったか
- 変更理由:なぜ見直したのか
今日は値下げを考える必要はありません。
「高くなったこと」だけではなく、「何が変わり、何を守ったのか」を見えるようにする。
節約意識が強い時ほど、安さだけを強調するより、こっちの方がお客さんの判断を助けると思います。
それでは!
よくある質問
ステルス値上げとは何ですか?
一般的に、価格を据え置いたまま内容量を減らしたり、サイズや仕様などを変更したりすることで、実質的な値上げとなるケースを指します。今回のマクロミル調査では、サイズ・厚みの縮小や具材の減少なども、生活者からステルス値上げと捉えられていました。
値上げする時は、理由を詳しく説明した方がいいですか?
理由を伝えることは大切ですが、長い説明で納得させることだけが目的ではありません。価格、量や提供範囲、維持した価値、変更理由を整理し、お客さんが以前との違いを比較できる状態にする方が分かりやすいです。
BtoBサービスでも「何を維持したか」を見せた方がいいですか?
今回の調査結果の割合をBtoBへそのまま当てはめることはできません。ただし、料金変更時に対応範囲、品質、納期、サポートなど「変わったもの」と「維持したもの」を明示することは、お客さんがサービス内容を比較する材料になります。
P.S.
値上げ案内を見る時、お客さんが知りたいのは新しい価格だけではありません。「前と比べて何が変わった?」まで答えられると、かなり見え方が変わります。
