商品動画は「広告素材」から「売場」へ。撮影時に残したい4つの事実カット

この記事の要点

  • TikTok Shopでは、動画を見て商品を発見し、そのまま購入まで進む「ディスカバリーEコマース」が広がっています。
  • 商品動画では、きれいに見せるだけでなく、サイズ感・質感・使い方・使用場面など「一瞬で商品を理解できる情報」が重要になります。
  • ショート動画を完成させる必要はなく、通常の物撮りと一緒に9:16で3〜5秒の説明素材を残しておくだけでも展開しやすくなります。

どうも岩崎です。

商品撮影というと、今までは「まず良い静止画を撮って、その写真を広告やLPで使う」という流れが中心でしたよね。メインカットを撮って、ディテールを撮って、使用イメージを撮る。必要なら、その素材から広告バナーやLPを作る。

もちろん、これからも商品写真は必要です。でも最近は、動画の役割が少し変わってきていると思うんですね。

広告を見るための動画ではなく、その動画自体が「商品を理解して、比較して、買う場所」に近づいている。

今日はそんな話です。

TikTok Shopでは「売る側」がかなり増えている

TikTok Shop分析サービスのKalodataが公表したデータによると、2026年9月7日〜13日の日本TikTok Shop市場は、GMVが21.39億円で前週比12.84%減でした。

これだけを見ると「売上が落ちた週」に見えます。ただ、その一方で稼働ショップ数は19,586店で過去最多、新商品数も20.76万件で前週比17.87%増となっています。

つまりこの週は、売上が一気に伸びたというより、売る側と商品投入の数が増えていたと見る方が分かりやすいですね。

なお、この数字はTikTok公式の市場統計ではなく、Kalodataによる独自集計です。なので日本のTikTok Shop市場全体の確定値としてではなく、今どういう方向へ動いているのかを見る材料として扱った方がいいと思います。

動画を見て、そのまま買うところまでつながってきた

一方で、TikTok Shop Japanが2026年6月に公表した1周年レポートでは、日本国内のTikTokとTikTok Liteを合わせた月間利用者数が4,950万人に達したとしています。

TikTok Shopでは、ショート動画やLIVE配信で商品を知り、そのままアプリ内で購入できます。TikTokはこの流れを「ディスカバリーEコマース」と呼んでいます。

これまでなら、

広告を見る → ECサイトへ移動する → 商品ページを見る → 買う

という流れでした。でも今は、動画の中で商品を発見し、特徴を理解して、そのまま購入まで進めるようになっています。

つまり動画は、ECへ人を送るためだけの入口ではなく、売場の一部になってきたということですね。

だから「きれいな商品動画」だけでは少し足りない

ここで商品撮影の考え方も少し変わります。

今まで商品動画を作る時って、静止画をそのまま動かしたような見せ方も多かったと思うんですね。商品をゆっくり回す。きれいな背景で撮る。光を当てて高級感を出す。

もちろん、それも大事です。でも動画そのものが売場になるなら、お客さんは「きれいだな」だけではなく、その場で商品を理解したいわけです。

例えばネットで商品を見た時、こんなことが気になりませんか?

  • 思っていたより大きくないか
  • 表面はツルツルなのか、ザラザラなのか
  • 実際にはどうやって使うのか
  • 家の中に置いたらどんな感じになるのか

こういうことって、文章でも説明できます。でも動画なら数秒で分かる場合があります。

商品を理解させるために撮っておきたい4つのカット

そこで商品撮影の時に、私は静止画とは別に「商品を理解させるためのカット」を最初から撮影リストへ入れておくといいと思います。

まずは4つだけで十分です。

1. サイズ感

商品単体を白背景で撮っても、実際の大きさって意外と分かりません。

手に持つ。バッグへ入れる。机の上へ置く。一般的な物と並べる。人との関係を少し入れるだけで、サイズ感はかなり伝わりやすくなります。

これは特にECでは大事ですね。写真で想像していた大きさと、届いた商品の大きさが違うというズレを減らす材料にもなります。

2. 質感

次が質感です。

表面に光を動かす。角度を少し変える。手で触る。布なら曲げる。透明な商品なら光を透過させる。

静止画でも質感は表現できますが、光や商品自体が動くことで、表面がどう反応するのかまで分かります。

3. 使い方

これも動画と相性がいいです。

  • 開ける
  • 閉める
  • 注ぐ
  • 装着する
  • 取り外す
  • 収納する

文章にすると何行も必要なことが、3〜5秒で分かったりします。

しかも「簡単に使える」というコピーを書くより、実際に簡単に使っているところを見せた方が早い場合もありますよね。

4. 使用場面

最後は、生活の中で使われている状態です。

キッチンで使う。デスクに置く。外へ持ち出す。洗面所へ置く。実際の生活空間へ商品を入れることで、商品単体では分からない情報が伝わります。

お客さんは商品そのものを買うというより、その商品を使った後の状態を想像して買っています。だから使用場面も、単なるイメージカットではなく商品説明の一部なんですね。

「商品をきれいに見せるカット」と「商品を理解させるカット」は違う

ここは分けて考えた方がいいと思います。

例えば高級感のあるライティングで商品をきれいに撮る。それは商品への興味を作るために必要です。

でも、それだけではサイズや使い方までは分からないことがあります。

逆に、手に持ってサイズを見せる動画は、必ずしも一番きれいな商品写真にはなりません。でも、お客さんが商品を判断するには役立ちます。

なので撮影では、最初から、

  • 欲しいと思わせる素材:商品を魅力的に見せる
  • 買える状態にする素材:商品を理解・比較できるようにする

この2種類を持っておくといいと思います。

TikTokでは「他で作った動画をそのまま流す」だけでは弱い

TikTok for Businessも、他のチャネル用に作った素材をそのまま持ってくるより、TikTok向けに作る「TikTokファースト」を推奨しています。

具体的には、縦型フレーム、キャプション、最初の数秒で内容が分かる構成などです。スマホを縦に持って見る場所なので、横長のブランドムービーを小さく表示するだけでは、やっぱり見づらいんですね。

だから撮影時点から9:16で使う前提を持っておく意味があります。

あとから横動画を無理やり縦に切ると、商品の大事な部分が切れたり、余白がおかしくなったりします。それなら撮影時に数秒だけ縦でも押さえておいた方がラクです。

AIで作れる時代ほど「実際の商品」が分かる素材も価値になる

もうひとつ、今後の商品撮影ではここも大事だと思います。

生成AIを使えば、背景も変えられるし、商品を違う場所へ置いたイメージも作れます。静止画から動画へ展開することもできるようになっています。

でもAIで表現できる範囲が広がるほど、「実際の商品はどうなのか」が分かる素材の価値も上がります。

TikTokも2026年のAd Awards Japanで、生成AIが広がる中だからこそ、実際の体験や声に基づく「Authenticity=信じられるリアルさ」を重視しています。

商品撮影で言えば、サイズ感、素材の反応、使い方といったものは、まさに実物を撮る意味があるところですよね。

動画を大量に納品する必要はない

こういう話をすると、「じゃあ商品撮影のたびにショート動画も何本も作らなきゃいけないの?」となりそうですが、私はそこまでやる必要はないと思います。

特に一人や少人数で制作しているなら、納品物を増やしすぎると編集だけでかなり時間を取られます。

なので完成動画まで作らなくていいんですね。

撮影のついでに「後で使える動画素材」を残しておく。

ここだけでもかなり違います。

3〜5秒の素材でも、あとからかなり使える

例えば通常の商品撮影をしている途中に、スマホや動画カメラを縦にして3〜5秒だけ撮ります。

  • 手に持つ
  • 表面に光を動かす
  • 実際に使う
  • 生活空間へ置く

これだけなら、それほど撮影時間も増えません。

でも後から、

  • TikTok
  • Instagram Reels
  • YouTube Shorts
  • LPの商品説明
  • 広告
  • ECの商品ページ

などへ組み合わせて使えます。

編集方法や媒体が変わっても、元となる説明素材があれば展開しやすいんですね。

今日の実務調整は「4カットを追加する」だけ

ということで、今日は次に予定している主力商品の撮影を1件だけ選んでください。

いつもの撮影リストへ、次の4つを追加します。

  • サイズ感:手に持つ、他の物と比較する
  • 質感:光や角度を動かして表面を見せる
  • 使い方:開ける、注ぐ、装着するなどの動作
  • 使用場面:実際の生活空間の中で使う

すべて9:16で3〜5秒あれば十分です。

今日はショート動画を完成させなくて構いません。BGMもテロップも編集も不要です。

まず撮影時点で、商品を説明できる素材を残しておく。

商品動画が広告素材から売場へ近づいているなら、撮影の段階から「どう見せるか」だけではなく、「何を理解してもらうか」まで考えておく方がいいと思います。

それでは!

よくある質問

商品撮影では、静止画と動画を両方撮った方がいいですか?

必ず完成動画まで制作する必要はありません。ただ、通常の静止画撮影と一緒にサイズ感、質感、使い方、使用場面を数秒ずつ動画で残しておくと、TikTok、Instagram、YouTube Shorts、LPなどへ後から展開しやすくなります。

商品動画は何秒くらい撮ればいいですか?

素材として残すのであれば、1カット3〜5秒程度でも使えます。完成したショート動画の尺を先に決めるより、編集時に組み合わせられる短い事実カットを複数残しておく方が使いやすい場合があります。

TikTok向けの商品動画は横動画を切り抜いても使えますか?

使える場合もありますが、TikTok for Businessは縦型フレームやキャプションなどを前提にしたTikTokファーストの制作を推奨しています。後から無理に切り抜くより、撮影時に9:16でも素材を残しておく方が構図を作りやすくなります。

P.S.

撮影現場で「これ、3秒だけ縦でも撮っておこう」を増やすだけで、あとから使える素材はかなり変わります。完成動画より先に、説明できる素材を残す感じですね。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。

この記事を、自社ではどう活かせばいいだろう?

読んで気づいたことはあっても、実際にどこを変えるかは迷うものです。一人で抱えず、今のページをお送りください。私、岩崎が確認し、気になった点とその理由、最初に見直す候補をメールでお返しします。

どこから見直すか、相談する

あなたなら、どこから変えてみますか?

読んで気づいたことはあっても、実際にどこを変えるかは迷うものです。一人で抱えず、相談したい内容が載っている、あなたのホームページや商品・サービスの紹介ページのURLをお送りください。私、岩崎が確認し、気になった点とその理由、最初に見直す候補をメールでお返しします。

どこから見直すか、相談する