この記事の要点
- 同じお客さんでも、買物をする時に重視するポイントは時期や状況によって変わります。
- 「どんな人に売るか」だけでなく、「今そのお客さんは何を気にしているか」まで考えると、広告やLPの見せ方を変えやすくなります。
- すべてを作り直す必要はなく、「いつも見せるもの」と「その時に合わせて変えるもの」に分けるだけでも運用しやすくなります。
どうも岩崎です。
マーケティングを勉強すると、かなり早い段階で「ペルソナを決めましょう」って出てきますよね。40代女性、会社員、子どもがいて、こんな悩みがあって、休日はこう過ごして……みたいなやつです。
もちろん、どんなお客さんに買ってもらいたいのかを考えるのは大事です。でも最近は、「その人がどんな人なのか」だけで考えると、ちょっと足りないんじゃないかなと思っています。
同じお客さんでも、昨日と今日で気になることは変わります。今日は価格が気になるけど、別の日には見た目が気になる。急いでいる日は、価格より「すぐ届くか」の方が大事だったりします。
つまり、どんな人なのかだけではなく、「今、そのお客さんが何を気にしているのか」まで見た方がいいんじゃないかって話です。

同じお客さんでも、気にすることはその時によって変わる
例えば、同じお客さんが同じ商品を見ていても、毎回同じ基準で選ぶとは限りません。
- 今日はとにかく安いものが欲しい
- 今日は少しくらい高くても見た目がいいものが欲しい
- 急いでいるから、すぐ届くことを優先したい
- 人に渡すものだから、パッケージを重視したい
- 今回は失敗したくないから、品質や根拠を重視したい
こんなふうに、同じお客さんでも、その時の状況によって気になることは変わります。価格を気にする時もあれば、見た目や納期を気にする時もあるわけです。
だから「40代女性だからこの訴求」と一度決めて、そのままずっと同じ見せ方をするだけでは、今そのお客さんが気にしていることを取りこぼす可能性があるんですね。
実際に、買う時に気にするポイントはかなり入れ替わっていた
2026年9月15日、博報堂とBrazeが、この話につながる調査結果を発表しました。
全国15〜69歳の生活者3,590名を対象に、同じ人へ時期をずらして3回調査し、買物をする時に何を重視するのかを追跡したものです。
その結果、企業から届く案内や広告について、「欲しいタイミングで届く」と感じている人は21.5%、「自分向きのものが届くことが多い」と感じる人は26.9%にとどまりました。
さらに、同じ人、同じ商品カテゴリであっても、買う時に重視するポイントについて3〜4割の人が「重視する・しない」を入れ替えていたそうです。3回の追跡では、1人あたり平均6〜7項目で重視するポイントが変わっていました。
つまり、お客さんそのものが変わっているのではなく、その時に気にすることが動いているということですね。
だからといって、ペルソナがいらないわけではない
ここで「じゃあペルソナなんて意味ないじゃん」という話ではありません。
どんなお客さんに買ってもらいたいのかを考えずに広告やLPを作れば、当然メッセージはぼやけます。年齢や生活環境、悩み、知識量、予算などを考えることには意味があります。
ただ、その人を一度決めたら、いつ見ても同じことを気にして、同じ理由で買う人として扱わない方がいいということです。
例えば、いつも水の安全性を気にしているお客さんだからといって、毎回「安全性」だけで浄水器を選ぶとは限りません。
- 引っ越した直後なら、設置の簡単さが気になる
- 夏なら、使用量や交換頻度が気になる
- 子どもが生まれたタイミングなら、安全性が気になる
- 買い替え時なら、価格や維持費が気になる
同じお客さんでも、その時によって前に出てくる「気になること」が変わるんですね。
だから1枚のヒーロー画像に全部背負わせなくていい
これをクリエイティブに置き換えると、けっこう重要です。
広告やLPを作る時って、「一番強い訴求は何だろう?」と考えて、それをヒーロー画像やファーストビューに置きますよね。でも、その1つの訴求が一年中、すべてのお客さんに、すべてのタイミングで一番強いとは限りません。
例えばある商品に、こんな価値があったとします。
- 品質
- 価格
- 見た目
- 使いやすさ
- 限定性
- ギフト用途
これを全部ファーストビューに詰め込んだら、今度は何の商品なのか分からなくなりますw
だから、全部をいつも同じ強さで見せる必要はないんですね。
「いつも見せるもの」と「その時に見せるもの」を分ける
私は、商品やサービスの見せ方を大きく2つに分けると分かりやすいと思います。
1つ目は「いつも見せるもの」。これはタイミングに関係なく、お客さんが買う時に知っておいた方がいい基本情報です。
- 商品の基本性能
- 品質
- 根拠や検査結果
- 価格に納得できる理由
- その商品が大切にしている価値
ここは大きく変えない。
2つ目が「その時に見せるもの」。こちらは、時期や広告の入口、お客さんの状態に合わせて前に出したり下げたりします。
- 季節
- 限定商品
- ギフト用途
- 持ち運びやすさ
- デザイン
- キャンペーン
この2つを最初から分けておけば、毎回LP全部を作り直さなくても済みます。
「誰に見せる?」だけでなく「今、何を気にしている?」を見る
DRMでも、これはかなり大事だと思います。
一般的には「誰に何を言うか」を考えます。でも今回の調査を見ると、そこにもうひとつ、「いつ言うか」が入ってきます。
同じ商品でも、お客さんがその時に気にすることが変わるなら、最初に見せるものも変わっていいわけです。
例えば同じ商品ページへ誘導するとしても、広告側の見せ方なら比較的簡単に変えられます。
- 通常時は品質を見せる
- 夏は使いやすさを見せる
- 年末はギフト用途を見せる
- セール時は価格を見せる
商品そのものは同じ。でも入口だけ少し変える。これなら、小規模な事業でも十分できますよね。
お客さん一人ひとりに広告を作る必要はない
こういう話をすると、「じゃあ、お客さん一人ひとりに広告を作らなきゃいけないの?」となりそうですが、そこまでやる必要はないと思います。
特に一人や少人数で制作や広告運用をしているなら、パターンを増やしすぎると今度は管理できなくなります。なので、お客さんを10種類、20種類に細かく分けるより、まず「今どんな状態なのか」を2〜3種類くらい考える方が現実的です。
- まだ何となく見ている:まず見た目や特徴が気になる
- 比較している:価格、性能、他との違いが気になる
- 買おうとしている:送料、納期、返品条件、支払い方法が気になる
同じお客さんでも、この3つなら必要な情報はぜんぜん違いますよね。
昨日の「買う直前の摩擦」ともつながっています
昨日は、ECで「買う直前の摩擦を減らす」という話をしました。
これも考え方は同じです。商品を知ったばかりのお客さんには、まず魅力を伝える必要があります。でも、すでに「買おう」と思っているお客さんに、同じように商品の魅力を延々と説明しても仕方ないんですね。
その人が知りたいのは、例えばこんなことです。
- 送料はいくらか
- いつ届くか
- 返品できるか
- どんな支払方法が使えるか
お客さんが変わったのではなく、買おうとしている段階が変わったから、必要な情報が変わった。
こう考えると、ペルソナだけを見るより導線設計もかなり分かりやすくなります。
ただし、今回の数字をすべての商品へ当てはめない
一点だけ注意があります。
今回の博報堂とBrazeの調査は、ファッション、外食・テイクアウト、食品・日用品という、比較的日常的な消費カテゴリが対象です。
なので、住宅や高額設備、BtoBサービスのように何カ月も検討する商品へ、今回の割合をそのまま当てはめることはできません。
ただ、「同じお客さんだからといって、いつも同じことを気にして選ぶわけではない」という視点は、広告やLPを見直す材料にはなると思います。
今日の実務調整は「固定」と「差し替え」を分けるだけ
ということで、今日は主力の商品かサービスを1つだけ選んでください。
今使っている広告やLPの内容を、次の2つに分けます。
- いつも見せるもの:品質、基本性能、根拠、価格に納得できる理由など
- その時に合わせて変えるもの:季節、用途、限定性、見た目、キャンペーンなど
そして、変える側の「画像+見出し」だけを1パターン作る。
今日は広告全部を変える必要も、LPを作り直す必要もありません。
変えないものと、変えるものを分ける。
ペルソナをもう1人増やすより、まずこっちをやってみた方がいいかもしれません。
それでは!
よくある質問
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ペルソナはもう作らなくていいのでしょうか?
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必要ないという話ではありません。どんなお客さんに買ってもらいたいのかを考えることは大切です。ただし、同じお客さんでも時期や状況によって気にするポイントが変わるため、「どんな人か」に加えて「今、何を気にしているか」も考えると見せ方を作りやすくなります。
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「いつも見せるもの」とは何ですか?
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時期や広告の入口が変わっても、お客さんが商品を判断するために必要な基本情報です。品質、基本性能、根拠、価格に納得できる理由などが該当します。一方で、季節性、限定性、用途などは、その時に合わせて強く見せたり弱めたりできます。
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小規模な事業でも見せ方を変える必要がありますか?
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何十種類も作る必要はありません。まずは商品の基本となる見せ方を固定し、季節や用途に応じて画像と見出しを1パターンだけ変える程度から始めれば十分です。
P.S.
「この商品は誰向け?」だけでなく、「このお客さんは今、何を気にしている?」まで考える。見せ方を変える時は、この質問の方が使いやすいかもしれません。
