数字が悪いのに、売上が上がる?ROASの本当の意味を理解していますか?

どうも岩崎です。

この前、広告の分析をしていたとき、ちょっと不思議な現象がありました。

ROASが悪化しているのに、売上が上がっていたんです。

なんで?と思いますよね。

これがまさに、ROASという数字の勘違いされやすさなんです。

今日は、数字が良い・悪いで判断を誤る人に向けて、ROASの正しい見方について話します。

ROASは通信簿じゃなく地図

まず、ROASは結果の点数ではありません。むしろ道しるべです。

ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費1円あたりの売上を表す指標です。

たとえば、ROASが400%なら「100円使って400円売れた」という意味。

一見わかりやすいですが、これを高ければ正義、低ければ失敗と考えるのが危険なんです。

なぜなら、ROASはタイミングと目的でまったく意味が変わるから。

たとえば、今月のROASが悪くても、見込み客リストが大量に増えているなら、 来月の売上は上がる可能性があります。

逆に、ROASが良くても、リピート導線が弱ければ翌月はゼロになる。

つまりROASは、今の広告がどんな未来を作っているかを読むための地図なんです。

ROASが悪くてもOKな3つのケース

では、どんなときにROASが悪くても気にしなくていいのか?

私がクライアントに伝えるのは、次の3つのケースです。

  1. リスト獲得目的の広告
    今は見込み客を集めるフェーズ。売上ではなく母数を増やすための投資。
  2. テスト中の広告
    ROASは検証の途中経過。勝ちパターンを探すための学習コストとして必要。
  3. バックエンド誘導型の広告
    フロント商品は赤字でも、LTV(顧客生涯価値)で黒字化できるモデル。

この3つのどれかに当てはまるなら、ROASが低い=失敗ではありません。

ROASは現在地を示してくれるだけで、目的地までは教えてくれない。

数字の前に目的を決める

多くの人は、ROASを結果として眺めます。

でも、本当に見るべきなのは「ROASをどんな目的で見ているか?」です。

たとえば、同じROAS300%でも意味が違います。

  • テスト段階での300% → かなり良いスタート
  • リスト広告での300% → リスト単価の評価に切り替えるべき
  • メイン販促での300% → 改善余地あり(CPAとLTVのバランス確認)

つまり、何を測るためのROASかを明確にしないと、 数字はただの飾りになってしまうんです。

広告で大事なのは数字を眺めることではなく、数字を使って意思決定をすること。

ROASを上げることが目的ではなく、 ROASを使って次に何をすべきかが見える状態をつくることが目的です。

黒字広告は足し算ではなく掛け算

ROASを上げようとすると、多くの人がCPC(クリック単価)を下げようとします。

でも、黒字広告をつくる人は違います。

クリック単価 × 成約率 × LTV(顧客単価)

この3つの掛け算で、ROASを設計します。

どれか1つを下げても、全体が下がる。 逆に、どれか1つを上げるだけでも、ROASは一気に跳ね上がる。

だから、広告改善はどこを上げるかを選ぶゲームなんです。

ROASを見て高い・低いで終わる人と、 どこを触れば伸びるかを見極める人。

この違いが、結果を分けます。

数字を評価として見るか、未来設計として見るか。

その差が、黒字か赤字かを決めてしまうんです。

ではまた。

P.S.

この前、娘のテスト結果が少し下がっていたんですが、本人は「でもミスの場所わかった!」とニコニコしてました。 それを聞いて、あ、これROASの話と同じだなと。 結果よりも、次にどう改善できるかがわかる人が、やっぱり伸びるんですよね。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。