同じ写真でも「何を見るか」で評価は変わる。デザインを直す前に評価軸を決める

この記事の要点

  • 同じ画像でも、評価する観点によって瞳孔反応が異なりました。
  • 「どちらが良いか」の前に、判断基準を決めましょう。
  • 画像で最初に何を判断してほしいか、1つに絞りましょう。

どうも岩崎です。

写真やLPを作っていると、最後にA案とB案を並べて、「どっちがいいだろう?」と考えることがありますよね。

「こっちの方が好きかな」「なんとなくこっちの方が良いな」と選ぶこともあります。

でも、これってよく考えるとけっこう曖昧です。自分が何を基準に「良い」と判断しているのかが分からないからです。

高級感なのか。分かりやすさなのか。安心感なのか。商品の質感なのか。それとも単純に自分の好みなのか。同じ画像でも、何を見ようとしているかによって評価は変わります。

今日はそんな話です。

同じ画像でも「光沢を見る時」と「魅力を見る時」で反応が違った

2026年9月24日、豊橋技術科学大学が興味深い研究成果を発表しました。研究そのものは9月1日付の学術誌 Journal of Vision に掲載されています。

研究では24人の参加者に、日常的な物体60種類のグレースケール画像を見てもらいました。そして、まったく同じ画像群について、別々の課題で「どのくらい光沢があるか」と「どのくらい魅力的か」を7段階で評価してもらっています。

画像は1枚につき3秒間提示され、その間の瞳孔径を測定しています。さらに、単純に画像が明るいから瞳孔が縮んだという話にならないよう、画像の平均輝度やコントラストも統制されています。

つまり、見ている画像は同じで、変わるのは「何を評価するか」という実験ですね。

光沢では早く縮み、魅力度では遅れて広がる傾向があった

結果を見ると、光沢感を高く評価した画像では、画像を見せてからおよそ1秒を中心とする比較的早い時間帯で、瞳孔がより強く縮小しました。

一方、魅力度を高く評価した場合は、それより遅い時間帯で瞳孔が広がる傾向が確認されています。


ここで大事なのは、「瞳孔を見れば、その人が買うかどうか分かる」という話ではありません。

この研究が直接示しているのは、同じ画像を見ていても、評価する内容によって瞳孔反応の時間的な特徴が異なったというところまでです。研究者らは、光沢感と魅力度では求められる処理が異なる可能性を示しています。

これ、制作の確認でもよく起きていると思うんですね

広告やLPを作っていて、自分で「どっちがいいだろう?」と考えた時も同じです。

ある時は高級感を見ている。別の日には分かりやすさを見ている。さらに疲れている時は、単純に自分が好きな色で選んでいるかもしれない。

これだと、昨日はA案が良く見えたのに、今日はB案の方が良く見える、みたいなことが起きても不思議ではありません。

画像が変わったのではなく、自分が見ている基準が変わっている可能性があるんですね。

「どっちが好きだろう?」で選ぶと、自分の好みが混ざる

例えば浄水器の商品写真を2枚作ったとします。

そこで自分に、

「どっちが好きだろう?」

と聞いたら、当然自分の好みが入ります。明るい写真が好き、暗い写真が好き、青が好き、白が好き。これはこれで感覚としては間違っていません。

でも、広告としてどちらが役割を果たしているかとは別ですよね。

もし、この写真の役割が「水の安全性を伝えること」なら、自分への問いもそこに合わせた方がいい。

「この画像だけを見て、水が安全になりそうだと判断できる根拠が分かるだろうか?」

ここまで具体的にすれば、写真を何のために直せばいいのかも分かります。

広告やLPには、それぞれ役割がある

そもそも広告やLPの画像って、全部同じ役割ではありません。

  • 高級感を出す
  • 商品の質感を伝える
  • 安心感を作る
  • サイズ感を理解してもらう
  • 使用方法を理解してもらう
  • 他の商品との違いを伝える
  • CTAへ進む理由を作る

これだけ目的が違うのに、全部まとめて「この画像でいいだろうか?」と考えると、何を見ればいいのか分からなくなります。

一枚の写真に全部やらせようとするのも同じです。高級感も欲しい、使い方も分からせたい、安全性の根拠も見せたい、価格も安く感じさせたい、と全部入れたら、今度は見る側も何を見ていいのか分からなくなりますw

「良いだろうか?」ではなく、役割に合わせて自分に問う

なので制作確認では、自分への問いそのものを変えた方がいいと思います。

曖昧な見方評価軸を決めた見方
どっちがいいだろう?どっちが高品質に見えるだろう?
この写真どうだろう?商品の素材感は伝わっているだろうか?
分かりやすいだろうか?初めて見ても使い方が分かるだろうか?
信頼できそうだろうか?この主張の根拠が画像だけで確認できるだろうか?
このLPでいいだろうか?次に何をすればいいか迷わず分かるだろうか?

問いが具体的になると、修正も具体的になります。

「なんとなく違う」では、直してもまた「なんとなく違う」です。でも「素材感が分からない」なら、光の当て方や寄りのカットを変えればいい。「使い方が分からない」なら、手を入れたり手順を見せればいい。

評価軸が決まると、修正する場所まで見えてくる。

自分で作って、自分で確認する時ほど基準が必要になる

一人で制作をしていると、ここはかなり大事だと思います。

作る人と確認する人が同じなので、「なんかこっちの方がいいな」でそのまま決められてしまいます。でも、その「いい」が何なのか自分でも説明できないまま進むことがあります。

しかも長時間作業していると、その画面を何十回、何百回と見ています。初めて見るお客さんとは、もう見え方が違いますよね。

だからセルフレビューほど、先に「何を見るか」を決めておいた方がいい。

制作前に「この画面で何を判断してほしいか」を決める

私は、画像を作った後に評価基準を考えるより、作る前に決めておく方がいいと思います。

例えば商品ページのファーストビューなら、次のような目的があります。

  • 何の商品なのか理解してほしい
  • 自分に必要な商品だと思ってほしい
  • 品質が高そうだと判断してほしい

この中から、まず1つ決める。

全部を捨てる必要はありません。でも「この画面で最初に何を判断してほしいのか」は決めた方がいいです。

それが決まれば、写真の構図も、コピーも、見出しも、情報量も変わってきます。

A/Bテストでも「何を比べているのか」を先に決める

これは広告のA/Bテストでも同じです。

A案は高級感のある写真、B案は使い方が分かる写真。それを比較して「Bの方がCTRが高かった」としても、単純にBのデザインが優れているとは限りません。見せている価値そのものが違うからです。

なのでテストする時も、自分にこう問いかけた方がいい。

  • 高級感を伝えるなら、どちらの表現がいいだろう?
  • 質感を伝えるなら、どちらの表現がいいだろう?
  • 使い方を伝えるなら、どちらの表現がいいだろう?

何を比べているのかが分かれば、結果も読みやすくなります。

今回の研究を広告効果の研究として扱わない

ここは大事なので、一応書いておきます。

今回の研究は24人を対象に、60種類のグレースケール物体画像を見てもらった実験室研究です。光沢感と魅力度を評価している時の瞳孔反応を調べたもので、広告のクリック率や購入率を測った研究ではありません。

なので、「質問を変えれば広告効果が上がる」とこの研究から言うことはできません。

直接分かっているのは、同じ画像を見ていても、何を評価するかによって瞳孔反応の時間的なパターンが異なったということです。

そこから仕事に持ってくるなら、「画像だけを見るのではなく、自分が何を基準に見ているのかも確認する」くらいがちょうどいいと思います。

今日のチェックリスト

最後に、現在制作中か最近制作した広告、LP、商品写真を1つだけ開いて、自分に次の質問をしてみてください。

  • このビジュアルで、最初に何を判断してほしいのかを1文で言えるだろうか?
  • 「良い・悪い」「好き・嫌い」ではなく、具体的な評価軸を決めているだろうか?
  • その評価軸と、写真・コピー・レイアウトの方向は合っているだろうか?
  • 1枚の画像に役割を詰め込みすぎていないだろうか?
  • 明日もう一度見ても、同じ基準で判断できるだろうか?

5つ全部を直す必要はありません。今日は一番気になったところを1つだけ確認すれば十分です。

デザインを見る前に、何を評価するのかを決める。

これだけでも「なんとなく良い」「なんとなく違う」という判断はかなり減ると思います。

それでは!

よくある質問

同じ画像でも、評価する内容によって反応は変わるのでしょうか?

今回の研究では、まったく同じ画像群を見ながら光沢感を評価した場合と魅力度を評価した場合で、瞳孔反応の時間的パターンに違いが確認されました。ただし、これは広告効果や購買行動が変わることを直接示した研究ではありません。

商品写真を自分で確認する時は、何を見ればいいですか?

その写真の役割に合わせて見ます。「商品の質感は伝わっているだろうか」「サイズ感は分かるだろうか」「初めて見ても使い方が分かるだろうか」「主張の根拠が確認できるだろうか」など、判断してほしい内容を自分への問いにすると確認しやすくなります。

1枚の画像に複数の役割を持たせてはいけませんか?

複数の役割を持たせること自体は問題ありません。ただし「最初に何を判断してほしいのか」を決めておくと、情報を詰め込みすぎず、制作後の評価もしやすくなります。

P.S.

「どっちがいいだろう?」と思った時に、「そもそも何を基準に比べてるんだろう?」と一回だけ戻る。それだけでも判断はかなり変わると思います。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。

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