どうも岩崎です。
「うわ、もったいない…」って思った出来事が、つい先日ありました。
近所のパン屋さんが、ちょっと前にチラシをリニューアルしたんですね。 前は、あったかい雰囲気の手書きっぽいチラシで、なんか親しみがあったんです。
それが今回は、プロっぽい洗練されたデザインに変わっていて。 すごく綺麗なんですけど……なぜか印象に残らない。
何が変わったんだろう?と思ってよく見てみたら、 色味もフォントも全部整いすぎていて、あのパン屋さんらしさがなくなってたんですよね。
こういうケース、実はすごく多いです。
そしてこの「印象に残らない」というのは、ただの感想じゃなくて、ちゃんと理由があります。
それは、記憶に残すには、認知の摩擦が必要ということ。

私たちは「スムーズに読めるもの」よりも、 「ちょっとだけ違和感があるもの」の方が、記憶に残りやすいんです。
たとえば、少し崩れた手書きの文字や、写真の中の人の笑顔、あるいはちょっとした余白や、意図的なズレ。
そういうノイズっぽさが、脳に「ひっかかり」をつくってくれるんですよね。
あまりに整ったデザインは、情報としては読みやすくても、印象としては通り過ぎてしまいやすい。
だからこそ、「ちょっとだけ崩す」「意図的に揺らぎを加える」という視点が大切だったりします。
これ、商品パッケージでも広告でも同じで、
- あえて1文字だけフォントを変える
- 余白の左右バランスをあえて揃えすぎない
- 画質が荒めの写真を1枚だけ混ぜる
みたいなことをすると、「なんだろう?」と立ち止まってもらえることがある。
もちろんやりすぎは逆効果ですが、 「記憶に残してもらうには、完璧である必要はない」っていうのは、知っておくと役立ちます。
この話、実はコピーライティングでも同じことが言えるんですよね。
たとえば、「No Music No Life」みたいなイメージコピー。 たしかにカッコいいけど、それを読んだからといって行動したくなるかというと、そうでもない。
私たちが日常で必要としているのは、一人の人の心を動かすためのコピーです。
つまり、共感できること。 ちょっとだけ自分ごとに感じられること。 そして、「ん?これ、私のことかも」と思わせるひっかかり。
これって、さっきの見せ方の話とまったく同じなんです。
整っていても、完璧でも、それだけじゃ動かない。 少しのズレや、ゆらぎや、人っぽさが、相手の感情や記憶に引っかかる。
そういう視点でコピーもデザインも考えていくと、 「魅力的に見せる」ことと「記憶に残すこと」が繋がってくるんじゃないかと思います。
そしてもう一つ大事なのは、主観的に愛着が持てるかどうかです。
見る人にとって、「なんかこのお店、好きかも」と思えるかどうか。
それを左右するのは、情報の正確さではなく、「情緒」なんですよね。
これは特に、リピーターを増やしたい人にとっては大事な視点だと思っています。
初回の反応率を上げる見せ方と、記憶に残って再来店につながる見せ方は、実は少し違う。
前者はわかりやすさ、後者はなんとなくの好印象。
このなんとなくの正体を丁寧に拾っていくことが、結果としてブランドや関係性に繋がるんじゃないかなと感じています。
それでは。
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