なぜ正論は人を動かさないのか?ストーリーが意思決定を動かす脳の仕組み

どうも岩崎です。

文章や資料を作っていて、毎回同じところで引っかかるんですね。
数字も根拠も揃っている。ロジックも破綻していない。
それなのに、なぜか人が動かない。
これ、能力や表現の問題じゃなくて、脳の使われ方がズレているだけだと思うわけです。

なぜストーリーが最強の武器になるのか

結論はシンプルです。
人は論理で納得し、感情で動くからです。
もっと正確に言うと、システム1で感じて、システム2で正当化するんですね。

人の脳には2つの思考モードがある

システム1:速い思考(直感)

システム1は、自動的・直感的・無意識的に働くモードです。
脳のエネルギーをほとんど使わず、瞬時に結論を出します。

  • 特徴:高速、努力不要、感情的、並列処理
  • 役割:生存本能に基づく判断や、慣れ親しんだ作業を処理する
  • 突然の大きな音に反応して振り向く
  • 相手の表情を見て「怒っている」と察知する
  • いつもの通勤路を運転する(無意識に操作できる)

システム2:遅い思考(論理)

システム2は、意識的・論理的・努力を要するモードです。
脳のエネルギーを大量に消費するため、普段は省エネで眠っていて、必要な時だけ起動します。

  • 特徴:低速、集中力が必要、計算・比較が得意、直列処理
  • 役割:複雑な計算、重要な意思決定、システム1の衝動を抑える
  • 17 × 24 を計算する
  • 確定申告の書類を作成する
  • 混雑した狭い駐車場に車をバックで入れる
  • 会議で論理的にプレゼンを行う

人が動くまでの本当の流れ

図:論理ルートはシステム2の検問で止まりやすく、ストーリールートはシステム1に直撃しやすい

正論やデータが「伝わらない」理由

スペックや数字や正論を並べると、相手の脳はシステム2(検討モード)を起動します。
すると、こうなります。

  • 本当かな?
  • 他社と比べる必要あるな
  • コストに見合うかな

さらに厄介なのは、システム2はエネルギーを使うので、長い・難しい・面倒な話はすぐに思考停止が起きやすい点です。
つまり、事実だけで説得しようとするのは、相手の脳に重労働をさせているのと同じなんですね。

ストーリーが「人を動かす」理由

ストーリーは、相手をいきなり検討モードに入れません。
先にシステム1(感情・直感)に触れるので、追体験が起きます。
その結果、相手は自分ごととして受け取りやすくなります。

比較例:カメラを売るなら

システム2へのアプローチ(スペック)

ISO感度が高い、ノイズが少ない、センサーがフルサイズ。
正しいです。けれど、脳は比較と検討のモードに入ります。

システム1へのアプローチ(ストーリー)

子どもの寝顔を撮りたいと思ったことはありませんか。
フラッシュを使えば起きてしまう。使わなければ暗くてザラザラになる。
でもこのカメラなら、豆電球だけの部屋でも、まつ毛一本一本まで静かに残せます。

売っているのはカメラですが、届いているのは体験なんですね。

ストーリーとは設計である

ストーリーは感動話ではありません。
システム2の負担を減らし、システム1に自然に届くように情報の通り道を設計する技術です。

もし今、説明はできるのに響かない商品やサービスがあるなら、
中身ではなく、順番と形式を疑った方がいいと思います。

ではまた。

P.S.
私自身、昔はロジックを積めば動くと思っていました。
でも実際は、動いたあとに理由を探している人の方が多かった。
この違いに気づいてから、文章も資料も、だいぶ変わりました。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。