全部なくなってもやり直せる人へ 「じりき」(自力と地力)の話をしよう

この記事の結論

  • 店や肩書きやプラットフォームは一瞬で失うことがあっても、「じりき」(自力と地力)があれば何度でも立て直せる。
  • 自力は「自分で考えて動く力」、地力は「どの業種でも応用できる普遍的なビジネスの基礎体力」で、この2つが不安の大きさを決めている。
  • 今の売上額だけで一喜一憂するのではなく、「もし全部ゼロになっても、これさえあればやり直せる」というじりきを意識して育てておくことが大事。

どうも岩崎です。

たまに、自分へのちょっと意地悪な問いかけをします。「今の仕事も、サイトも、機材も、口座残高も、ぜんぶ一回リセットされたとして、それでももう1回ここまで持ってこられるか?」というやつです。

正直、笑えない妄想です。私もそこまでメンタル鋼ではないので、少しヒヤッとします。でも、そのあとで「まぁ、時間はかかるけど何とかはするだろうな」とも思うんですよね。

そのときに頭に浮かぶのは、売上の数字でもなく、フォロワー数でもなく、「ここまで積み上げてきた考え方と手の動かし方」です。今日はその部分を「じりき」という言葉で整理してみます。

全部なくなったときに残るのは「じりき」だけ

ビジネスをやっていると、どうしても目に入りやすいのは「今持っているもの」です。店舗、サイト、機材、顧客リスト、売上、肩書き、アカウント。もちろん、どれも大事な資産です。

でも、冷静に考えると、これらは外側の条件にかなり左右されます。テナント契約の終了、プラットフォームの仕様変更、大口クライアントの終了、アルゴリズムのアップデート。自分ではコントロールしきれない要素が多いわけです。

一方で、本当に最後まで残るのは、「どうやってお客さんを見つけるか」「どんな言葉とビジュアルで伝えるか」「どういう順番で関係性を育てるか」といった、自分の中の設計図です。私はこれをまとめて「じりき」と呼んでいます。

じりきは、漢字で書くと自力と地力の2つです。

自力とは「自分で考えて動くエンジン」

まず、自力の方から。自力は、場所や肩書きに関係なく、「今ある条件の中で、どう動くか」を決めるエンジンのようなものです。少し分解すると、こんな要素が入っています。

  • 問題が起きたときに、感情の前に「状況の整理」ができる。
  • 分からないことに当たったら、「誰に聞くか」「どう調べるか」のパターンを持っている。
  • 学んだことを、小さく試すところまで持っていくクセがある。
  • 時間の使い方を、自分でデザインしようとする意識がある。

例えば、撮影案件が急に減ったとき。自力が弱い状態だと、「景気が悪い」「周りの人はうまくいっているのに」と、原因が全部外側に行きがちです。対策としても、「とりあえずSNSを毎日更新する」「とりあえず値下げする」といった、その場しのぎになりやすい。

一方で、自力が強くなってくると、こんな順番で考えられるようになります。

  • そもそも、どの経路からの依頼が減っているのかを分解してみる。
  • 既存のお客さんに、「最近どうですか?」と近況を聞きに行く。
  • 小さいテストとして、1つだけLPやプロフィールの見せ方を変えて反応を見る。

どれも派手なテクニックではありませんが、「考え方と手の動かし方」がパターン化されているかどうかで、その後の差が大きく変わります。これが自力です。

地力とは「どの業種でも通用する基礎体力」

次に、地力の方。地力は、業種やツールが変わっても使い回せる、本質的な基礎体力です。具体的には、こんなものが入っています。

  • 誰に・何を・どう届けるのか、というマーケティングの基本設計。
  • 人が動きたくなる文章の組み立て方。
  • LTVやCPAなど、最低限の数字の見方。
  • 人間の心理や行動のクセについての理解。
  • ビジュアルで印象を設計する感覚(光・構図・色・余白など)。

例えば、今は写真の仕事をしている人が、数年後にオンライン講座をやるかもしれないし、物販を始めるかもしれません。そのときに、「カメラの知識」だけに頼っていると、新しい領域ごとに毎回ゼロからになります。

でも、「どうやって見込み客と接点をつくるか」「興味を持ってもらった人に対して、どんな順番で情報を渡すか」「写真1枚でどんな世界観を伝えるか」といった地力があれば、形が変わってもやることの芯はあまり変わりません。

プラットフォームは数年単位で変わりますが、地力は10年以上使えます。ここに投資しておくと、「もし今使っている場所がダメになっても、別の場所で組み直せる」という感覚が、少しずつ育っていきます。

じりきがある人ほど「まぁ、なんとかなる」と言える

私の周りを見ていても、「じりきが強いな」と感じる人ほど、状況のアップダウンに対しての反応が穏やかです。売上が上がったからといって浮かれすぎないし、下がったからといって「人生終わった」とまでは思っていない。

それは、今の数字だけで自分の価値を測っていないからだと思います。もちろん焦ることもあるし、落ち込む日もありますが、その裏側に「最悪、このパターンでまた積み上げればいいか」という自分なりの再起動ルートを持っているんですよね。

逆に、じりきが弱い状態だと、「今ある形」がすべてになってしまいます。今の店舗、今の仕事、今のプラットフォーム。だから、それが揺らぎそうになると、必要以上に恐怖が大きくなります。

今日のテーマで一番伝えたいのは、「今の売上をどうにかする前に、自力と地力という土台を意識してみませんか」という提案です。ここに目を向けると、不安の質が少し変わってきます。

今日やってみてほしい「じりきの棚卸し」

とはいえ、いきなり全部を書き出そうとすると、それだけで1日終わってしまいます。なので、初日はかなりざっくりで大丈夫です。よければ、ノートでもメモアプリでも良いので、次の6つだけ書いてみてください。

自力について、今の自分にあるものを3つ。

  • トラブルが起きたとき、自分のどんな対応は「悪くないな」と思えるか。
  • 学んだことを、実際の仕事に持ち込めている習慣は何か。
  • 時間の使い方で、ちょっとだけ工夫できているポイントはどこか。

地力について、これから鍛えたいものを3つ。

  • マーケティングの中で、どの部分の理解を深めたいか。
  • 文章とビジュアルのどちらを強化したいか、もしくはその両方か。
  • 数字のどの指標を、今年中に「なんとなくではなく説明できる」レベルにしたいか。

ここで大事なのは、きれいな答えを書くことではなく、「今の自分はこう見えているな」と一度出してみることです。明日以降は、この棚卸しを少しずつ具体的にしていきます。

今日は、「全部なくなったらどうする?」というちょっと怖い問いをきっかけに、自力と地力という視点で自分のビジネスを見てみる日、ということで締めたいと思います。

ではまた。

P.S.

ちなみにこの「全部なくなったらどうする?」という問いを、夜中にやるのはあまりおすすめしません。私は一度やってしまい、布団の中で勝手にセルフ廃業ごっこが始まり、なかなか寝つけなくなりました。朝起きて冷蔵庫を開けたら、いつも通り卵と牛乳が並んでいて、「あ、まだ大丈夫だ」と妙な安心感だけ得たので、やるなら朝のコーヒーを飲みながらくらいがちょうど良いと思います。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。