CPMが高い・安いには必ず理由がある ブルーオーシャン幻想と配信先の質の話

この記事の結論

  • CPMが高い・安いの背景には「どんなユーザー層か」「どれだけ多くの広告主が狙っているか」という文脈があり、値段だけを見ても意味がない。
  • 「CPMが安い=お得」「競合が少ない=ブルーオーシャン」という発想で配信先を広げると、ターゲットの質が落ちてフロントエンドやバックエンドで苦しくなりやすい。
  • CPMは「安さを競う数字」ではなく、「今どこに出しているのか」「他社はそこをどう評価しているのか」を読むためのレーダーとして使う方が実務的である。

どうも岩崎です。

前回は「CPMという数字を、インプレッションより先に見ておくと配信の状態がつかみやすいですよ」という話をしました。今日はその続きで、CPMが高いとき・安いときに裏側で何が起きているのか、もう少し踏み込んで整理してみます。

特にややこしいのが、「CPMが安い=おいしい場所を見つけた」と思い込みやすいところです。私も昔はそう感じていましたし、今でも初めて広告に触れる方から同じ相談を受けます。でも、実際に数字と向き合っていくと、現場の感覚は少し違います。

CPMは「人気の度合い」と「質の期待値」のセット

Meta広告の配信はオークションで決まります。同じユーザーに広告を出したい広告主同士が、裏側で自動的に入札し合っている状態です。なので、CPMが高いということは「そこを本気で取りに来ている広告主が多い」ということでもあります。

なぜ多くの広告主が取りに来るのか。単純に、そのユーザー層から売上や見込み顧客が生まれやすいと判断されているからです。言い換えると「高くても出す価値がある」と考えているプレイヤーが多いゾーンということですね。

一方で、CPMが極端に安い場所はどうかというと、多くの広告主が「あえてそこを狙わなくてもいい」と判断している可能性が高くなります。反応が薄かったり、継続的な売上につながりにくかったり、ターゲットがぼやけていたり。理由はいくつかありますが、少なくとも「みんなが気づいていないお宝ゾーン」とは限りません。

ブルーオーシャンは本当に「誰もいない良い海」なのか

ビジネスの世界では「ブルーオーシャン」という言葉がよく使われます。競合が少なくて、自分だけが自由に泳げる場所というイメージですね。広告の世界でも「競合が少ない配信先を探そう」となりがちです。

ただ、実務的な感覚で言うと、純粋な意味のブルーオーシャンはほとんど存在しません。もし本当に価値のあるターゲットがいて、そこに広告を出せばちゃんと売上が上がるのであれば、多くの広告主がすぐに見つけて取りに来ます。結果として、そのゾーンのCPMは自然と上がっていきます。

それでもCPMがずっと安いままということは、「広告を出せば出すほどおいしい場所」というよりも、「出してもあまり成果が出ないから、みんな徐々に離れていった場所」である可能性の方が高いと感じています。もちろん例外はありますが、少なくとも「安いからラッキー」と手放しで喜べるものではありません。

安いCPMを追いかけて失敗するよくあるパターン

例えば、最初はある程度CPMが高い状態で広告を運用していて、フロントエンドやバックエンドまでの数字も悪くなかったとします。その後、もっと効率を良くしたいと思って、ターゲットを広げたり、興味関心を増やしたりして、CPMを下げにいくケースはよくあります。

すると、一見すると良いことが起きます。CPMが下がるので、同じ広告費でもインプレッションが増え、クリック数も増えます。ここだけを見ると「よし、改善できた」と感じやすいです。

ところが、しばらく運用してみると、個別相談やフロント商品の申し込みが減っていることに気づきます。問い合わせの質も下がっているように感じるかもしれません。つまり、広告に反応してくれた人たちの中身が変わってしまっているわけです。

このときにCPMの推移を見てみると、「うまくいっていた頃よりも、今の方が明らかに安くなっている」ということがよくあります。表面的にはコストダウンに見えても、実態としては「ドンピシャのターゲットから外れて、広く浅い層に出し始めている」状態ですね。

高いCPMも、安いCPMも「なぜそうなっているか」を見る

じゃあCPMは高い方がいいのかというと、もちろんそう単純でもありません。単価が高くなりすぎると、そもそもビジネスとして回収できないケースも出てきます。商品単価やLTVに対して、払い続けられる上限は必ずあります。

大事なのは、金額そのものではなく「なぜこのCPMになっているのか」を考えることだと思っています。

  • ターゲット設定を変えた結果なのか。
  • クリエイティブを変えた結果なのか。
  • 季節要因やキャンペーンなど、外部環境の影響なのか。

例えば、クリエイティブを変えたタイミングでCPMが下がり、CPAが悪化しているなら、「今のクリエイティブは、これまで狙えていた層とは違う人たちに刺さっているのかもしれない」という仮説が立てられます。一方で、CPMが多少高くなってもCPAが安定しているなら、「多少高いけれど、このゾーンは踏ん張った方がいい」と判断できるかもしれません。

次回は、CPMとCPAの関係をもう少し具体的な数字の変化で見ながら、「一見良くなったように見えるのに、実は逆の結果になっているケース」について書いてみます。

ではまた。

P.S.

いまだに私は「お、今日はCPM下がってる。いい感じかも」と一瞬だけニヤッとしてしまいます。

ひどいときは、夜中に管理画面を開いてCPMのグラフだけ見て満足し、そのままタブを閉じて寝てしまい、翌朝になってから「そういえばCPAも売上も見てないじゃん」と気づくこともあります。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。