認知症予防に役立つ療法として、近年注目を集めているのが「回想法」です。
回想法とは、写真や音楽、昔使っていた懐かしいものに触れて過去を振り返り、昔の経験や思い出を語り合う心理療法です。1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提唱し、認知症だけでなく、うつ病や終末期医療など様々な現場で活用されています。
なぜ過去を思い出すことが脳の健康維持に効果的なのか?
その理由は、以下の4つの科学的根拠に基づいています。
1. 脳の活性化
過去を思い出すことで、脳内の海馬や前頭前皮質などの領域が活性化されます。海馬は記憶の形成や保存に関わる重要な部位であり、前頭前皮質は思考や判断、計画などの高次機能に関与します。これらの領域を活性化することで、脳全体の機能を高め、認知症予防に効果が期待できます。
2. ドーパミンの分泌促進
懐かしさを感じると、脳幹の中脳にある中枢神経系からドーパミンが分泌されます。ドーパミンは、喜びや快感、意欲などの感情に関わる神経伝達物質であり、脳の活性化や精神的な安定に重要な役割を果たします。
3. ストレス解消
過去を振り返り、思い出を語ることで、過去のトラウマや負の感情を整理し、ストレスを解消することができます。また、懐かしい思い出は、安心感や幸福感をもたらし、精神的な安定に効果があります。
4. 自己肯定感の向上
過去の成功体験や自分自身の価値を再認識することで、自己肯定感が高まります。自己肯定感の向上は、自信や生きがいを与え、前向きな気持ちで生活を送るための重要な要素となります。
**回想法は、高齢者や認知症患者だけでなく、中高年の脳の健康維持にも効果があります。**仕事や人間関係で疲れた時は、帰宅後、家族と昔話をしたり、学生時代や子どもの写真、思い出の音楽に触れたりして、脳をリフレッシュしてみましょう。
回想法を実践する際のポイント
- 本人の興味や関心に合わせたテーマを選ぶ
- ゆったりとリラックスできる環境を作る
- 聞き役に徹し、本人の話を否定しない
- 昔の思い出を共有し、共感する
- 無理強いせず、本人のペースに合わせる
回想法は、誰でも簡単に始められる脳の健康維持法です。
上記のポイントを参考に、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
参考
- 回想法 – Wikipedia
- 懐かしさが脳に与える効果 | 脳科学 | NHK
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