記憶に残るストーリーの作り方 人の脳が「物語」で情報を保存する理由

この記事の結論

  • 人は事実そのものではなく「いつ・誰が・どうなったか」というストーリー構造で記憶している。
  • 単発のノウハウや箇条書きだけでは忘れやすく、ビフォーアフターと感情が入った物語ほど長く残る。
  • ストーリーを一つ資産として作っておくと、ブログ、メルマガ、動画、セミナーなど、あらゆる発信に再利用できて記憶にも残りやすい。

どうも岩崎です。

これまで、ストーリーが読みやすさと分かりやすさを上げる話を、没頭と臨場感の話、直感システム1と論理システム2の話をしました。今日はこの流れの中で、もう一つ外せないテーマ、記憶について整理してみます。

結論から言うと、人の記憶は最初からストーリー構造になっています。

私たちは、単独の情報をバラバラに覚えているのではなく、時間の流れや感情とセットになった物語として保存しています。

だからこそ、こちらが届ける側に回ったときも、ストーリーの形にしておく方が、圧倒的に残りやすいわけです。

人は出来事を「時間の流れ」で覚えている

例えば、去年の誕生日に何を食べたかだけを突然聞かれると、パッとは出てこないかもしれません。でも「その日の朝から何をしていたか」「誰と会っていたか」など、時間の流れに沿って思い出していくと、途中で記憶がつながってきたりします。

これは、脳の中で出来事がタイムラインのようにつながって保存されているからです。朝こういうことがあって、昼にこうなって、夜にこうなった。この流れの中に、会話や匂い、音や感情がひも付いています。いわゆるストーリーの流れそのものです。

逆に、単発の数字や情報だけを覚えようとすると、かなり意識して何度も復習する必要があります。学生時代の年号暗記がまさにそれでしたが、物語とセットになっていない情報は、残念ながらすぐに上書きされていきます。

単発のノウハウより「物語のつながり」が残る

これはビジネスの発信でも同じです。例えば、次の二つを比べてみます。

  • 文章を書くときのコツが十個並んでいるチェックリスト。
  • 昔、まったく読まれないメルマガを書いていた人が、あるきっかけで書き方を変えていったストーリー。

チェックリストは役に立ちますが、数日後に全部を正確に覚えているかと言われると、正直あやしいと思います。

一方で、ストーリー側は細部までは忘れても、「最初はこういう状態だった人が、こんなきっかけで視点を変えて、こういう変化が起きた」という流れ自体はけっこう残り続けます。

私自身、セミナーや講座に参加したときのことを思い返すと、細かいスライドの中身よりも、講師の人がぽろっと話したエピソードの方をよく覚えています。失敗談や、ちょっと恥ずかしい話や、感情が揺れた場面。そこから先のノウハウの部分も、そのストーリーを起点にして芋づる式に思い出せることが多いです。

つまり、記憶に残るのは、単独のテクニックではなく、テクニックが出てきた背景も含めた物語のつながりだということです。

記憶に残るストーリーの三つのポイント

では、こちらが発信する側に回ったとき、どんなストーリーにすると記憶に残りやすいのか。私は細かくやりすぎると続かないので、次の三つだけを意識しています。

  • ビフォーとアフターがはっきりしているか。
  • 誰の視点のストーリーかが明確か。
  • そのとき何を感じていたかの感情ラベルが入っているか。

ビフォーとアフターがぼんやりしていると、「けっきょく何が変わったのか」が曖昧になります。最初はこうだった、今はこうなった。この二つの点の差が大きいほど、記憶にも残りやすいです。

次に、誰視点なのか。自分なのか、クライアントなのか、架空のペルソナなのか。ここが混ざると、読み手も混乱します。私はなるべく「私はこうだった」「あるクライアントさんはこうだった」と、視点をはっきりさせるようにしています。

そして、感情ラベルです。楽しかったのか、怖かったのか、悔しかったのか、ホッとしたのか。この一言があるだけで、同じ出来事でも記憶への残り方が変わります。感情は、脳にとって「これは大事かどうか」を判断するラベルなので、できるだけ言葉にして添えておくと、ストーリーごと保存されやすくなります。

ストーリーは一つ作っておくと「資産」になる

ここまで読むと「毎回そんなストーリーを考えるのは大変そう」と感じるかもしれませんが、実はそんなに数はいりません。むしろ、いいストーリーは何度も繰り返し使った方が良いとさえ思っています。

例えば、自分のコアやブランドを象徴するようなストーリーを一つ作っておく。そのストーリーを、ブログでも、メルマガでも、セミナーでも、プロフィールでも、少しずつ切り口を変えながら使い回します。聞く側からすると、「あ、この話また出てきた」という安心感と、「この人は本当にここを大事にしているんだな」という一貫性の両方が伝わります。

もちろん、新しいストーリーも追加していきますが、土台になるコアストーリーは何度使っても良いと思っています。一回きりのネタにしてしまうのは、正直もったいないです。人の記憶は、繰り返し触れたものほど残りやすいので、同じ軸のストーリーを角度を変えながら何度も見せていく方が合理的です。

そして、このコアストーリーをきちんと整えておくと、AI時代にも強いです。文章で発信しても、音声で話しても、動画で話しても、ベースの物語構造が同じなので、ツール側が意味を理解しやすくなります。結果として、単なる情報の断片ではなく、その人らしい物語として認識されやすくなるわけです。

ではまた。

P.S.

とは言っても、私はいまだに買い物メモをよく忘れます。

スーパーに着いた瞬間に「何を買いに来たんだっけ?」と固まり、店内をうろうろしながら、さっき家でしていた会話を必死に思い出すことがよくあります。

不思議なもので、メモの内容そのものは思い出せなくても、「冷蔵庫を開けて、空っぽの野菜室を見て、ちょっとため息をついた自分」の光景はやたらリアルに浮かんできます。これもある意味、ストーリーとして記憶しているということなんでしょうね。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。