どうも岩崎です。
先日、いつも連絡を取り合っている方からメッセージが来ました。ストーリーが大事って聞いたので、プロフィールを書き直してみました。そう言いながら、原稿のデータを送ってくださったんですね。
と言いながら渡された原稿は、びっしり詰まったA4が3枚。
読み始めると、
私は幼少期を田舎で過ごし、家の前には小川が流れていて・・・
という感じで、少年時代の思い出から始まり、
学生時代の部活の話、社会人になってからの挫折と再起の話まで、
まさに自分史フルコースでした。
気持ちはすごく分かります。
私も人の話を聞くのは好きだし、人生のストーリーが面白い方もたくさんいます。
ただ、冷静に考えると、ホームページのファーストビューで
いきなり自分史3枚分を読まされるのは、なかなかハードです。
今日は、
ストーリーが大事と言われて、ちょっと方向を間違えやすいポイント
本当に伝わるストーリーはどんな設計になっているのか
このあたりを、私なりの視点でまとめてみたいと思います。

なぜ「ストーリーが大事」が一人歩きしやすいのか
ストーリーが大事という話は、ここ数年で一気に広まりました。
書店に並ぶ本を見ても、動画講座を見ても、だいたいこのフレーズは出てきます。
これは事実だと思います。
人の脳は、数字や理屈よりもストーリーのほうが記憶に残りやすい。
感情が動いた場面ほど、長く覚えていてくれる。
ただ、この一文だけが切り取られると、
- とにかく自分の話をたくさん書けばいい
- とりあえずエピソードを盛って感動っぽくすればいい
- 本題の前に長いストーリーを置いておけばいい
という方向に転びやすいんですね。
その結果、
- やたら長いのに、読み終わっても何が言いたいか分からない
- 美談としては悪くないけれど、商品やサービスと結びつかない
- 書いている本人だけが気持ちよくなっている
というストーリーが量産されてしまうわけです。
よくある「ストーリーの勘違い」3つ
少し整理して、よく見る勘違いを三つだけ挙げておきます。
1 自分の人生全部を語ろうとしてしまう
先ほどの自分史フルコースのように、
- 幼少期からの全歴史
- 学生時代の細かいエピソード
- 仕事の変遷を全部
を盛り込もうとするパターンです。
読む側からすると、
いや、今知りたいのは、 私の悩みに関係ある部分だけなんだけどな
という気持ちになることが多いです。
ストーリーは、
- 自分の人生を全部語るため
- 自分の頑張りを全部伝えるため
ではなく、
相手の変化を手伝うために、必要な部分だけを切り出して見せるもの
だと考えたほうが、ちょうど良いバランスになります。
2 きれいなエピソードだけ並べてしまう
二つ目は、
- 表彰された話
- 評価された話
- うまくいった話
だけを並べてしまうパターンです。
これも気持ちは分かるんですが、読み手からすると、
なんだか遠い世界の人の話を聞いている気分
になりがちです。
人が共感しやすいのは、
- うまくいかなかった時の迷い
- 踏ん切りがつかなかったタイミング
- 小さな一歩を踏み出した瞬間
だったりします。
きれいに整えすぎたストーリーは、むしろ距離を生みやすいんですね。
3 ストーリーと本題が切り離されている
三つ目は、
最初にストーリーがあって、そのあと急にセールスに切り替わる
という構造です。
よくあるのが、
子どもの頃、私はこんな経験をして…… だからこそ、今回この講座を用意しました
という流れですが、
途中の論理がすっぽり抜けていることが多い。
本来は、
- その経験から何を学んだのか
- なぜ今、このテーマで提供しようと思ったのか
- その学びが、読み手の悩みとどうつながるのか
ここがきちんと橋渡しされている必要があります。
ストーリーと本題が別々の島になっていると、
読み手は
いい話だったけど、この商品と何の関係があるんだろう
という気持ちになってしまうわけです。
本当に効くストーリーは「誰の」「どんな変化」を描いているか
では、どういうストーリーなら意味があるのか。
私はシンプルに、
誰が、どんな変化を通って、今ここにいるのか
が伝わるかどうかだと考えています。
ここで言う「誰」は、必ずしも自分とは限りません。
クライアントかもしれないし、過去の自分かもしれない。
大事なのは、
- 読み手が、自分を重ねられる人が出てくること
- 読み手が、今の自分の状況とリンクできる場面があること
- 読み手が、こうなれたらいいなと思える未来が描かれていること
この三つがそろうと、ストーリーは一気に立ち上がります。
つまり、本当に大事なのは
自分がどれだけ語るか ではなく 相手の中でどんな変化を起こしたいのか
ここを先に決めておくことなんですね。
中心軸と一貫性がないストーリーは、どれだけ泣けても響かない
ここで、最初のテーマに戻ります。
このシリーズ全体で書いてきた
人生の中心軸
自分のコアブランド
一貫性
という話です。
ストーリーの良し悪しを決めるのは、
文章のうまさだけではありません。
その話が、
- 自分が大事にしているもの
- 日々の選択
- 今やっている仕事
とつながっているかどうか。
ここに一貫性があると、読み手は
ああ、この人は本気でこの世界を作りたいんだな
と感じ取ってくれます。
逆に、
- プロフィールと普段の発信が全然違う
- 語っている理想と、実際にやっていることが噛み合っていない
- ストーリーだけやたらドラマチック
という状態だと、言葉の表面だけ整えても、どこかで違和感が出てきます。
つまり、
ストーリーの前に中心軸があり、 ストーリーの後ろに一貫した行動がある
この上下のつながりを、どう整えておくかが大事になるわけです。
ストーリーを組み立てるときのシンプルな設計図
ここからは、私がよく使っている簡単な設計図を一つだけ紹介します。
細かいフレームワーク名は一度忘れて、流れだけ見ると、
- 現状 今の悩みやモヤモヤ
- 違和感 このままではまずいかもしれないと感じたきっかけ
- 出会い 人や情報、出来事との出会い
- 試行錯誤 うまくいかなかったチャレンジや寄り道
- 気づき 転機になった考え方や出来事
- 今 どんな状態になったのか
- あなたへ 読み手に伝えたいメッセージと提案
だいたい、この流れに沿って書くと、
無理にテクニックを使わなくてもストーリーとして形になります。
特に、
- 違和感
- 試行錯誤
- 気づき
の部分は、読み手が自分を重ねやすいポイントなので、
少し丁寧に書いてあげるといいですね。
AI時代のストーリーとの付き合い方
最後に少しだけ、AIとの付き合い方の話も触れておきます。
正直なところ、テンプレートに沿って文章を並べるだけなら、
AIはかなり上手にやってくれます。
ただ、私が見ていて感じるのは、
- その人の人生からしか出てこない言葉
- その人の中心軸からしか生まれない矛盾と葛藤
- その人の現場でしか起こりえないディテール
ここは、まだ人間のほうが圧倒的に強いということです。
なので私は、
- 構成案や要約、整理にはAIを使う
- 体験と感情の部分はできるだけ自分で書く
という分け方を意識しています。
ストーリーが大事という言葉に振り回されるのではなく、
自分の中心軸と、読み手に起こしたい変化に合わせて、
必要な分だけストーリーを差し込む。
そのうえで、構造や言葉の整理をAIに手伝ってもらうくらいが、
ちょうどいい距離感かなと思うわけです。
P.S.
冒頭で登場した、自分史3枚分のストーリーを書いてきてくださった方。
一緒に原稿を見ながら、私がやったことはシンプルで、
- 今の読み手の悩みとつながる部分だけを残す
- それ以外はメモとして大切に取っておいてもらう
- 最後に、今のサービスにつながる一文を足す
これだけでした。
完成した原稿を見て、その方がぽつりと
半分以上削ったのに、こっちのほうが私らしく見えますね
と言ってくださって、ああ、やっぱりそうだよなと。
ストーリーが大事なのではなく、
何を大事にして生きている人のストーリーなのかが大事で、
その一貫性がにじむように、必要なところだけを残してあげる。
私自身も、ついあれこれ語りたくなるタイプなので、
書きながら「これは本当に相手の変化に必要な一行かどうか」を、
これからも自分に問い直していこうと思うわけです。
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