孫子が最初に警告したこと 兵とは国の大事という話

この記事の結論

  • 孫子は戦い方のテクニックより先に「そもそも戦いは国の命運を左右する大事だ」と重さを宣言している。
  • 仕事やビジネスでも、軽く始めた勝負ほど撤退コストが大きくなりやすく、最初の判断が一番の戦略になる。
  • 手段やノウハウを考える前に「これは本当にやるべき戦いなのか」を自分に問うことが、負けを減らす近道になる。

どうも岩崎です。

孫子の兵法というと、戦略とか心理戦とか、テクニックのイメージが強いかもしれません。ただ、原文を読み直してみると、いきなり戦い方の話には入らないんですよね。最初に出てくるのが、この一文です。

兵者 國之大事 死生之地 存亡之道 不可不察也

現代の言葉にざっくりすると「戦というのは国家にとっての大事であり、生きるか死ぬか、存続するか滅びるかの分かれ道だから、絶対に軽く見てはいけない」という意味合いです。

いきなり物騒ですが、ここで孫子が何をやりたかったかを考えると、仕事やビジネスにもそのまま持ち込めるなと感じています。

戦い方の前に「そもそも戦うのか」を決めろ

戦い方の前に「そもそも戦うのか」を決めろ

多くの人が孫子からイメージするのは、奇襲とか情報戦とか、いわゆる具体的な戦い方だと思います。ただ、作者本人は最初に「兵は国の命運を左右するレベルの話だから、本当に慎重に扱え」と釘を刺しているわけです。

これをビジネスに置き換えると、「やり方の前に、本当にこの勝負を始めていいのかを先に決めろ」というメッセージに近いと感じています。新しい事業、広告の大きな投下、提携、店舗展開など、あとから引き返しづらい決断ほど、本来はここを一番丁寧にやる必要があるはずです。

でも現実には、つい「とりあえずやってみるか」「みんなやっているし、うちも参戦しておこう」と、気持ちのノリで決めてしまいがちです。私も何度もやらかしました。

軽く始めた勝負ほど、あとで重くのしかかる

軽い気持ちで始めたことほど、あとから重くのしかかる。これも、仕事をしていると何度も見るパターンです。例えば、周りがみんなやっているからと、深く考えずにサブスク型のサービスを始めてしまうケース。

最初は「月額ならお客さんも入りやすいし、こっちも安定しそうだな」と見えますが、実際に回し始めると、毎月コンテンツを出し続けるプレッシャー、解約防止のための施策、サポートの時間など、想定していなかったコストがじわじわと積もっていきます。

最初に「これは本当に自分が続けたい形なのか」「やめる時にどうやってやめるのか」という目線で見ていないと、気づいた時にはやめることすら難しい状態になります。孫子が言う「死生之地 存亡之道」は、現代のビジネスなら「この判断で、今後数年の時間とお金と信用の行き先が決まる」という感覚に近いかもしれません。

戦うかどうかを決める判断こそ、最大の戦略

孫子が一番言いたかったのは、「勝ち方」よりも「戦うかどうかを決める判断」こそが本当の戦略だ、ということだと思っています。どんなに戦術が上手くても、そもそもやるべきでない戦いを選んでしまったら、消耗するだけです。

ビジネスでいうと、例えばこんな問いになります。

  • その市場は、本当に自分が長く関わりたい場所か。
  • その価格帯は、自分の仕事の質やスタイルと合っているか。
  • 一緒に組む相手は、本当に価値観が近いパートナーか。

これらをすっ飛ばして、「どうやって目立つか」「どうやって成果を出すか」だけを考えてしまうと、短期的には良く見えても、じわじわとストレスになっていきます。戦い方の前に、戦う土俵を間違えないこと。ここを誤ると、どれだけ頑張っても報われにくい状態に自分で自分を追い込むことになります。

やると決めたら全力、やらないと決めたら引く

個人的に大事だなと思っているのは、「やる」と「やらない」の間に中途半端なグレーゾーンを残さないことです。孫子が言う「不可不察也」、つまり「ちゃんと見極めずに進んではいけない」という部分は、「一度やると決めたら、生半可な覚悟では持たないよ」という意味の裏返しでもあると思います。

なので、私は大きめのことを始めるときは、わざと自分にこんなふうに問いかけるようにしています。

  • これを始めるのに使う時間とお金と体力を、別のどこに使えるとしたらどうするか。
  • もし半年後にやめたくなったとして、そのときのダメージはどのくらいか。
  • それでもやりたいと思うかどうか。

それでも「やりたい」と残るものだけを戦いとして選ぶ。逆に、もやもやが残るものは、最初からやらない。どちらも勇気がいりますが、この判断を先にしておくと、始めてからの迷いがかなり減ります。

明日は「彼を知り己を知る」という有名な一節を題材に、努力が空回りするパターンと、冷静な把握の重要性について整理してみます。

ではまた。

P.S.

ふとデスク周りを見回すと、半分だけ使って放置されたノートが何冊も並んでいました。

新しいアイデアを思いつくたびに「これはこのノートでまとめよう」と買ってくるんですが、そのノートを使い切る前に、また別のノートに乗り換えてしまうという無限ループです。ノートの表紙だけ見ると、とても戦略的に生きている人みたいなんですが、中身を開くとだいたい3ページ目くらいで終わっています。そんなものです。


いわさき写真教室をもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。