この記事の要点
- 売れない原因は、説明不足ではなく、説明しすぎで伝わりにくくなっていることがあります。
- 情報量が多いことと、価値が伝わることは同じではありません。
- 選ばれるためには、全部を語るより、一番伝えるべき価値を絞ることが大事です。
どうも岩崎です。
撮影の現場で、ときどきこういう依頼を受けるんですね。「商品の良さを全部伝えたいので、なるべくたくさん撮ってほしい」というやつです。
気持ちはよくわかります。素材も見せたい。サイズ感も伝えたい。色のバリエーションも、使用シーンも、細部のこだわりも。どれも大事だから、全部入れたい。だから、カットが増えていくわけです。
でも、撮り終わって並べてみると、不思議なことが起きるんですね。カットが多いのに、なぜかその商品の一番の魅力がぼやけて見える。何がこの商品の顔なのか、逆によくわからなくなることがあるんです。
これ、文章での説明でもまったく同じことが起きているんですね。素材の話もある。製法の話もある。想いもある。機能もある。実績もある。こだわりもある。ちゃんとしているのはわかる。でも、結局何が一番の魅力なのかは、少しぼやける。こういうことってかなりあります。
今日はその話です。良い商品なのに売れない人ほど、説明しすぎています、という話ですね。

説明が多いことと、伝わることは同じではありません
ここはかなり大事です。
多くの人は、売れない時に、もっとちゃんと説明しなきゃと思いやすいですよね。情報が足りないのかもしれない。魅力をまだ伝えきれていないのかもしれない。だから、さらに説明を足す。これはかなり自然な流れです。
もちろん、本当に情報不足のこともあります。でも、実際には逆のこともかなり多いんですね。つまり、説明が足りないのではなく、説明が多すぎて、何が大事なのかが見えなくなっている状態です。
比較するとわかりやすいです。
- 良さを全部説明している商品
- 一番大事な価値がはっきり見える商品
お客さんに伝わりやすいのは、やっぱり後者なんですね。前者は誠実なんですが、情報が並びすぎると、かえって印象が弱くなることがあります。
人は全部を読んで、全部を整理して選ぶわけではありません
ここも現実としてかなりあります。
売り手は、自分の商品やサービスについて、できるだけ正確に伝えたいんですね。誤解されたくないですし、省略しすぎるのも不安です。だから、丁寧に全部を書く。でも、お客さんはそこまで全部を丁寧に処理しているとは限りません。
忙しい中で見ている。比較しながら見ている。なんとなく気になって見ている。そういう状態の人が多いわけです。だから、細かい情報を全部読んで理解してから選ぶというより、まずはわかりやすい軸で判断するんですね。
つまり、お客さんが最初に求めているのは、完全な説明ではなく、何が大事なのかがわかることなんです。
ここを外すと、情報は多いのに、印象は薄いということが起きやすくなります。
全部大事だと思うほど、主役が見えなくなります
これ、かなりあります。
売り手からすると、どの要素も大事なんですね。素材も大事。製法も大事。価格も大事。サポートも大事。実績も大事。世界観も大事。だから、どれも削れない気持ちになるわけです。
これは写真の構図でよく起きることなんですよね。主役の商品はある。でも背景の小物も雰囲気を出したい。テーブルクロスもこだわりたい。ライティングも凝りたい。全部に力が入ると、いざ写真を見た時に、目がどこに行けばいいかわからなくなるんです。見る人の視線が迷う。それが「なんとなくぼやけた印象の写真」になるわけです。
主役がはっきりしている写真は強いですよね。説明も同じで、一番見せたい価値がはっきりしている方が強いんです。
つまり、伝える時に必要なのは、全部を盛ることではなく、何を主役にするかを決めることなんですね。
情報量を増やすほど、安心ではなく迷いが増えることがあります
ここは少し意外かもしれませんが、かなり大事です。
説明を増やす理由の一つに、相手に安心してほしいという気持ちがありますよね。ちゃんと知ってもらえれば納得してもらえるはずだ、という感覚です。もちろん、それ自体は誠実です。
ただ、情報が増えすぎると、安心より先に迷いが増えることがあるんです。どこが大事なのかわからない。結局どれが自分に関係あるのかわからない。何を基準に選べばいいのかわからない。こうなると、人は止まりやすくなるんですね。
撮影で言うと、お客さんに「どのカットが好きですか?」と100枚から選んでもらうより、「この3枚が特に良かったです」と提案する方が、むしろ喜ばれることが多いんです。選ぶ側は、選択肢が多いほど楽なわけではないんですよね。
つまり、説明を増やすことが、そのまま納得の強さになるわけではないんです。むしろ、選びやすさを弱くしてしまうこともあります。
売れる人は、語る情報より、最初に残す印象を設計しています
ここが今日のかなり重要なところです。
売れている人や選ばれている人を見ると、情報をたくさん持っていないわけではないんですね。むしろ、言おうと思えばいくらでも言える人が多いです。でも、最初から全部は語らないんです。
なぜなら、最初に必要なのは、全部を理解させることではなく、一番大事な印象を残すことだからです。
たとえば、この人は何が強いのか。この商品は何が違うのか。このサービスは誰に向いているのか。まずここが頭に入る。すると、その後の説明も入りやすくなるわけです。
逆に、最初の印象がぼやけていると、その後いくら情報を足しても、頭の中で整理されにくいんですね。写真で言うと、一枚目のトップカットで何を見せるかで、その後のカットの伝わり方まで変わります。最初の一枚が決まっていると、見る人はそこを軸に残りを読んでいけるんです。
だから大事なのは、何を書くかだけではなく、何を最初に残すかなんです。
一番伝えるべき価値を絞ると、全体の説明力はむしろ上がります
ここはかなり希望がある話だと思っています。
絞るというと、魅力を減らすことに感じる人も多いんですね。でも実際には逆で、一番伝えるべき価値を絞るほど、全体は伝わりやすくなります。
なぜなら、人は入口がわかると、そのあとに入ってくる情報を整理しやすくなるからです。この商品は素材が強い。このサービスは伴走の丁寧さが強い。この人は世界観づくりに強い。そういう入口があるだけで、受け手の理解はかなり楽になります。
つまり、全部を均等に語るより、まず一番伝えるべき価値を決める。その上で、他の情報はそれを補強する形で置く。この方が、結果として説明力は上がるんですね。
説明しすぎる人は、誠実ですが、伝え方の順番を見直した方がいいです
ここは少し大事に言いたいですね。
説明しすぎる人って、雑なのではなく、むしろ誠実なんです。ちゃんと伝えたい。良さを省略したくない。誤解されたくない。そういう気持ちがあるから、たくさん書くわけです。
なので、悪いのは熱量ではありません。見直すべきなのは順番なんですね。最初に何を伝えるか。次に何を補足するか。どの情報は後ろでもいいのか。ここを整理するだけで、かなり変わります。
私はこれ、撮影のカット割りに近いと思っています。全部のカットを同じ扱いにするのではなく、メインカット、サブカット、補足カットと役割を分ける。そうすることで、見る人が迷わず、自然と伝わりたい順番に読んでいける写真になるんです。説明も同じで、並べる情報ではなく、見せる順番と役割が印象を変えるんですね。
良い商品なのに売れない人ほど、説明しすぎています
ここまでの話をまとめると、やっぱりこれなんです。
良い商品なのに売れない人ほど、説明しすぎています。なぜなら、誠実に全部を伝えようとするほど、一番大事な価値がぼやけやすいからです。情報量が多いことと、価値が伝わることは同じではありません。むしろ、説明が増えるほど迷いが増えてしまうこともあります。
だから大事なのは、魅力を全部並べることではなく、一番伝えるべき価値を絞ることなんですね。その上で、他の情報を補強として置く。この設計に変わるだけで、同じ商品でも、かなり選ばれやすくなると思うわけです。
次回は、その流れで、価格で比べられるのは、安いからではなく、意味が弱いからです、という話に入っていきます。
よくある質問
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説明が多い方が、むしろ親切ではないのですか?
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親切な面はあります。ただ、最初から情報が多すぎると、何が大事なのかが見えにくくなり、結果として選びにくくなることがあります。まずは一番伝えるべき価値が見えることが大事ですね。
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何を一番伝えるべきか、どう決めればよいですか?
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お客さんが選ぶ理由になりやすい軸から考えるといいですね。他と比べて何が違うのか、その違いが相手にどんな意味を持つのか。この二つが強いものを主役に置くのが基本です。
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他の魅力は削ってしまって大丈夫ですか?
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削るというより、主役と脇役を分ける感覚ですね。全部を同じ強さで並べるより、主役を決めて、他の魅力はそれを補強する位置に置いた方が、全体として伝わりやすくなります。
P.S.
昔の私は、カット数が多い方が丁寧な仕事だと思っていた時期がありました。いろんな角度から、いろんな場面を、できるだけたくさん撮る。でも今思うと、あれは少し違いましたね。カット数より、一枚一枚に役割があるかどうかの方がずっと大事でした。伝えるって、足すことより、まず主役を決めることなんだと思うわけです。
