人が没頭する瞬間をストーリーでつくる方法 臨場感と変性意識を味方にする文章術

この記事の結論

  • ストーリーは「没頭している状態=軽い変性意識」をつくりやすく、読み手が自分ごとのように感じやすくなる。
  • 臨場感を高めるには「状況」「感情」「細かいディテール」の三つを入れてあげるだけで十分だと考えている。
  • 未来の状態をストーリーで描いてあげると、読み手は勝手に脳内でシミュレーションを始めてくれるので、商品説明の前から準備運動が終わっている状態になる。

どうも岩崎です。

最初に「ストーリーにすると読みやすさと分かりやすさが同時に上がる」という話をしました。今日は、もう一歩踏み込んで「没頭」「臨場感」「変性意識」の話をしていきます。

少しおおげさな言い方かもしれませんが、私たちが文章を書くときにやろうとしていることは、読み手の脳の中にちょっとした映画館をつくることだと思っています。

そのスクリーンに映るのは、こちらが用意したストーリーですが、そこに登場人物として入り込んでいくのは読み手本人です。

没頭しているとき、人の脳では何が起きているのか

まず「変性意識」という言葉を少しだけ噛み砕いておきます。難しい話ではなくて、日常でよくある、こんな状態です。

  • 面白いドラマを見ていて、気づいたら1時間経っていた。
  • ゲームや趣味に夢中になっていて、時間を忘れていた。
  • 帰り道に考え事をしていて、駅までどう歩いたかあまり覚えていない。

あれこれ頭の中で考えているようで、余計なことは一回横に置かれている状態。意識は起きているけれど、いつもの現実感が少し薄くなって、目の前の世界に集中している。これをざっくり「軽い変性意識」と呼ぶことが多いです。

このとき、脳の中では「目の前で起きていること」と「自分の内側で感じていること」が、くっつきやすくなります。ドラマの主人公が悲しい顔をすると、自分も胸がぎゅっとする。スポーツの試合で、応援しているチームが点を入れると、自分のことのようにテンションが上がる。ストーリーには、こういう状態に人を連れていく力があります。

臨場感を高める三つの要素

では、文章で臨場感を出すには何を意識すれば良いのか。私は細かいテクニックより、次の三つだけを意識しています。

  • 状況 いつどこで、誰が、何をしている場面なのか。
  • 感情 そのとき、主人公はどう感じていたのか。
  • ディテール 何が見えていたか、聞こえていたか、身体はどう反応していたか。

例えば「売上が上がりました」とだけ書くと、ただの報告です。でも、少しだけストーリーに寄せると、臨場感が変わります。

以前、クライアントさんからこんな報告をもらいました。夜の22時ごろだったと思います。

いつものようにメールチェックをしていたら、件名に「ご報告です」とだけ書かれたメールが届いていました。

開いてみると、本文の最初の一行に「さっきまで震えが止まりませんでした」と書いてある。

そこから続く文章には、「ずっと不安で眠れなかった日々」「申し込みフォームを開く前に、何度も戻るボタンを押しそうになったこと」「最初の一件目の申し込み通知が来た瞬間、声が出なくなったこと」が、淡々と書かれていました。

最後のほうに、「今もまだ信じられないですが、ようやく、スタートラインに立てた気がします」と一文があって、私は画面の前で一人でうなずいていました。

これを「この企画で売上がいくらになりました」とだけ書いてしまうと、数字の話で終わってしまいます。でも「状況」「感情」「ディテール」が入ると、読み手はその人の横に立っているような感覚になります。

この「横に立っている感覚」が、臨場感の正体の一つだと思っています。

未来のストーリーを見せると、人は勝手に自分ごと化を始める

ストーリーが便利なのは、過去の話だけでなく、未来の話にも使えるところです。商品説明の前に、あえて未来のストーリーを一つ挟んでおくと、読み手は勝手に自分ごととしてシミュレーションを始めてくれます。

例えば、「この講座を受けると、売上が伸びます」ではなく、「半年後、あなたがふとカレンダーアプリを開いたとき、今よりも余白が増えている状態」を描いてみる。「毎月の売上の心配が減ります」ではなく、「月末になっても、いつものような胸の重さが出てこなくて、あれ、今月は妙に静かだなと感じている自分」を描いてみる。

こういう未来のストーリーを置いてあげると、読み手の脳内では「もし自分がそうなったら」を自動的に再生し始めます。ここが、ただのベネフィットの箇条書きと、大きく違うところです。

もちろん、誇張しすぎたり、現実離れしすぎたりすると、一気に白けます。

なので私は、あくまで「一歩先の未来」にとどめるようにしています。明日すぐには起こらないかもしれないけれど、半年から一年くらい意識して取り組めば、現実味のある変化。

そのラインに未来のストーリーを合わせるイメージです。

没頭してもらえれば、説明の半分は終わっている

ビジネスの文章というと、とかく「きちんと伝えないと」「わかりやすく説明しないと」と、説明側の意識が強くなりがちです。もちろん大事なのですが、その前に、そもそも読んでもらえているかどうか、没頭してもらえているかどうか、という前提があります。

私は、「没頭してもらえれば、説明の半分は終わっている」と思っています。

ストーリーに没頭してもらえた時点で、読み手の頭の中にはすでに「前提の世界」ができあがっているからです。その世界観の中で、「だからこの順番でやると良い」「だからこのサービスが必要」という話をする方が、ゼロの状態から論理を積み上げるより、ずっとラクです。

なので、メルマガでもブログでも、講座の台本でも、私はできるだけ「最初の数段落」をストーリー寄りにしています。ここで世界観と臨場感を作っておく。それが、その後の全ての説明をラクにしてくれる土台になるからです。

ではまた。

P.S.

偉そうに没頭の話を書いていますが、私自身は映画館でよく没頭しすぎて、エンドロールが終わったあともしばらく席から立てないタイプです。周りの人が普通に立ち上がっている中、一人だけ現実に戻るのが遅れて、ポップコーンのカスを見つめながらぼーっとしてしまう人間です。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。