なぜ情報不足の努力は報われないのか 彼を知り己を知るという冷酷さ

この記事の結論

  • 「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」は、気合いではなく「相手と自分の現状把握」がどれだけ冷静にできているか、という話だと捉えています。
  • 頑張っているのに結果が出ない人は、相手研究と自己分析を避けたまま、慣れている作業だけを増やしてしまう傾向があるように感じます。
  • 自信の量ではなく、根拠となる情報の質が勝敗を分けるので、「どこまで把握できているか」を定期的にチェックした方がいい、というのが今日のテーマです。

どうも岩崎です。

きょうは孫子の中でも有名な一節「彼を知り己を知れば 百戦して殆うからず」を、ビジネスや日々の仕事目線で読み直してみたいと思います。内容自体は有名ですが、あらためて現代に引き直すと、かなり冷静でシビアな話をしているなと感じます。

「彼を知り己を知る」を仕事の言葉にすると

原文をそのまま訳すと「相手を知り、自分を知っていれば、何度戦っても危ないことは少ない」というような意味になります。ここで大事だと思うのは、孫子が「勝てる」とは言っていないところです。あくまで「危ない状況を減らせる」と言っている。

仕事に置き換えると、こうなります。

  • お客さんや競合、市場の状況をどこまで把握できているか。
  • 自分の実力やリソース、弱点をどこまで直視できているか。
  • そのうえで「やる」「やらない」「今は準備だけにしておく」を判断できているか。

つまり「勇気があるかどうか」ではなく、「事前にどこまで冷静に情報を集めているか」が勝敗を分ける、という話ですね。これは、感情よりも構造を見ようという孫子らしい視点だと思います。

頑張っているのに報われない人の共通点

色々な業種の方とお話をしていると、「本当に頑張っているのに、どうも報われにくいな」と感じるケースがあります。作業量は多いし、休みも削っている。それでも結果がついてこない。

こういうときによく見えてくる共通点は、「相手」と「自分」に関する情報を、ほとんど取っていない、ということです。

  • お客さんが本当に困っているポイントを聞ききれていない。
  • 競合や類似サービスを、きちんと調べきれていない。
  • 自分の得意と苦手、限界のラインを言葉にできていない。

その結果どうなるかというと、「とりあえず今できること」「慣れている作業」だけを増やしてしまいます。ブログを書く、SNSを更新する、広告を回す。どれも大事な行動ですが、そもそもの前提がズレたままだと、努力のほとんどが空振りになってしまうんですよね。

人は「知りたくない情報」から目をそらす

では、なぜ相手研究や自己分析を避けてしまうのか。これは、人間の性質として「知りたくない情報からは目をそらしたくなる」というのが大きいと思います。

例えば、競合のサイトや広告を見ると「うちの方が劣っているところ」が見えてしまうかもしれません。お客さんに率直なアンケートを取ると、「耳が痛いフィードバック」が返ってくるかもしれません。自分の数字を細かく見れば、「思っていたよりも成果が出ていない現実」を見せつけられるかもしれません。

だから、なんとなく避けてしまう。その代わりに、すでに分かっている範囲だけでがんばる。これを続けると、感情的には「こんなにやっているのに」という感覚だけが積もっていきますが、現実はあまり動きません。

自信と根拠はまったく別の話

もう一つ大事だなと思うのは、「自信」と「根拠」を分けて考えることです。自分の仕事に自信を持つこと自体は、とても良いことだと思います。ただ、その自信が「実際の数字や検証に裏付けされた根拠」なのか、「そうであってほしいという気持ち」なのかは、切り離して見る必要があります。

孫子の言う「彼を知り己を知る」は、どちらかと言えば後者寄りです。気合いや自己評価ではなく、どこまで客観的な情報を持てているか。数字、事例、比較、現場の声。その積み重ねが、静かな根拠になります。

私自身も、感覚だけで「これはイケるだろう」と思って進めた企画が、実際には全然刺さらなかったことが何度もあります。冷静に振り返ると、そもそもお客さんの声を拾いきれていなかったり、過去のデータをちゃんと見ていなかったり。つまり「彼」も「己」も知らないまま突っ込んでいたわけです。

「どこまで把握できているか」を定期的に確認する

なので、最近は自分に対してこんなチェックをするようにしています。

  • 今やっている施策について、「相手の情報」と「自分の情報」はどこまで言語化できているか。
  • 「こう思う」ではなく、「こういう事例や数字がある」と言える部分がどのくらいあるか。
  • 感情的な自信と、データとしての根拠が、両方そろっているかどうか。

全部を完璧に把握するのは無理でも、「今の自分はどこまで分かっていて、どこから先は分かっていないのか」を自覚しておくだけでも、戦い方は変わります。分かっていない部分が大きければ、まずは調査に時間を使う。あるいは、あえて小さく試す。そういう選択肢が見えてきます。

明日は「百戦百勝は善の善ならず」という一節から、勝ち続けることの裏側と、消耗しない構造の話に触れていきます。

ではまた。

P.S.

「相手を知り、自分を知ることが大事」と書いた直後に、ふとスマホのスクリーンタイムを見たら、SNSに使っている時間が思っていた2倍くらいありました。

自分では「そんなに触っていないはず」と思っていたので、数字を見た瞬間にそっと画面を閉じたくなりましたが、これも立派な「己を知る」時間ですね。せめて今日だけは、スクリーンタイムのグラフを見なかったことにしたい気持ちと戦っています。


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いわさきじゅん

1998年に広告制作会社で写真が始まり、アートイベント会社の広報として活動していました。まだあまりウェブマーケティングが普及していない2006年からSEO(検索エンジン対策)・リスティング広告(PPC広告)・LPO(ホームページ対策)・コピーライティングなど、サポートをしています。