この記事の結論
- 第4の習慣「Win-Winを考える」は、気合いでみんなをハッピーにする話ではなく、「自分も相手も得する形以外は、いっそやらない」という前提を持つための考え方です。
- Win-LoseやLose-Winの関係を続けると、短期的には回っているように見えても、信頼残高が減っていき、写真やビジネスの現場ではじわじわと歪みが出ます。
- ビジュアルや料金だけでなく、「この仕事は本当にWin-Winの関係を作れそうか」を基準にしておくと、受ける案件・断る案件の判断がしやすくなり、長期的に楽になります。
どうも岩崎です。今日は『7つの習慣』の第4の習慣、「Win-Winを考える」を、撮影やビジュアルの仕事、日々の案件の選び方に絡めて整理してみます。
Win-Winという言葉だけ聞くと、きれいごとにも聞こえますが、本を読むと分かる通り、かなり現実的でシビアな話です。コヴィー博士は、Win-Winにこだわるからこそ、「それが無理なら取引しない」という選択肢をちゃんと持とう、と言っています。

Win-LoseでもLose-Winでも、どこかで破綻する
まずは、よく出てくる4パターンをざっくり振り返ります。
- Win-Lose:自分だけ得をする。相手は我慢している。
- Lose-Win:自分ばかり我慢して、相手に合わせている。
- Lose-Lose:どっちも損している、不毛なケンカ状態。
- Win-Win:お互いに「やって良かった」と思える関係。
撮影やデザインの現場でも、心当たりがあると思います。
- Win-Lose寄りの例:こちらはかなり頑張って提案したのに、相手は「安くてラッキー」ぐらいにしか思っていない。
- Lose-Win寄りの例:明らかに条件がきつい案件なのに、「断りにくいから」と引き受けて、自分だけ消耗していく。
短期的にはどちらも仕事としては成立しますが、続けていると、どこかで信頼やモチベーションが削られていきます。Win-Loseを取り続けた人は、いつか相手から離れられますし、Lose-Winを続けた人は、ある日「もう無理」と急に糸が切れます。
ビジュアルの世界観も同じで、「どちらかが無理をしている写真」は、どこかにそれが滲みます。撮る側も、撮られる側も、どこかギクシャクした空気が写り込むんですよね。
No Dealという逃げではない選択肢
第4の習慣で私が一番好きなポイントは、「Win-Winにならないなら、No Deal(今回はやめておく)という選択肢も持とう」というところです。
これ、最初に読んだときは少し衝撃でした。仕事は受けられるだけ受けた方がいい、と思いがちですが、何でもかんでも取りに行くほど、関係性の質は下がります。
例えばビジュアルの案件で、「とにかく安く撮ってほしい」「言われた通りのカットだけ量産してくれればいい」と言われたとします。それ自体が悪いわけではありませんが、こちらが本当にやりたいのが「世界観を一緒に整えていく伴走」であれば、どうしてもズレが出ます。
このときに、「どこまでなら歩み寄れるか」を話して、それでも方向性が合わなければ、お互いのために一度見送る。これがNo Dealです。逃げるのではなく、「Win-LoseやLose-Winの案件を増やさないための線引き」としてのNo Dealですね。
信頼残高という「見えない口座」を意識する
第4の習慣とセットで語られるのが、「信頼残高」というイメージです。銀行口座のように、人との関係には見えない残高があって、約束を守ったり、ちゃんと話を聞いたりするたびに少しずつ預け入れが増える。一方で、裏切ったり、都合よく扱ったりすると、残高が減っていく、という考え方です。
撮影やビジュアルの仕事で言えば、目の前の単価や枚数だけ見るとWin-Loseに見える案件でも、相手の売り場全体が良くなって、長期的に一緒に取り組めるなら、実はWin-Winかもしれません。逆に、その場の売上だけを取りにいって、後で相手が困る構成にしてしまうと、見えないところで信頼残高が減ります。
私自身、「今月の売上だけ見れば受けたいけれど、これをやるとお互いしんどくなるな」と感じた案件は、できるだけ正直にお話しするようにしています。撮るカット数を減らす提案をしたり、別の形に置き換えたり。それでご縁がなくなることもありますが、残ってくださった方との関係は、結果的に長く続くことが多いです。
Win-Winをビジュアルの現場で設計する
では、具体的に何を意識するとWin-Winの設計に近づけるのか。全部やろうとすると大変なので、私は次の3つだけを確認するようにしています。
- この案件は、自分のコアや世界観と大きくズレていないか。
- 相手にとっての「得」は何か。売上なのか、信用なのか、時間なのか。
- こちらにとっての「得」は何か。報酬だけでなく、経験や発信素材としても意味があるか。
ここをざっくり言語化してみて、「どちらか一方だけが得をしている感じが強い」「どちらにとっても中途半端になりそう」という案件は、内容の組み直しを提案するか、思い切ってNo Dealにします。
逆に、「お互いに得るものがはっきりしていて、終わったあとに前より関係が良くなっていそうだな」と感じる案件は、なるべく丁寧に取り組む。こうやって一つずつ選んでいくと、ビジュアルマーケティング全体の「付き合う人の層」が少しずつ整っていく感覚があります。
明日は、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」に進みます。写真や発信で「伝わらない」もどかしさが生まれる前に、どこまで相手を理解しにいくか。コミュニケーションの話を、ビジュアルの現場と絡めながら整理してみます。
ではまた。
P.S.
クライアントさんには「Win-WinじゃなければNo Dealでいきましょう」とか偉そうに話しているくせに、家ではまったく実践できていません。
先日も、娘のからあげクンを「一個ぐらいバレないだろう」とつまみ食いしたら、すぐに見つかってめちゃくちゃ怒られました。結果として、私も気まずいし娘も不機嫌という、きれいなLose-Loseです。
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