近年、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門量子医科学研究所と味の素株式会社の共同研究によって、7つの必須アミノ酸の摂取が認知症の進行を抑制する可能性があることが発表されました。
この研究では、認知症モデルマウスに「AminoLP7」と呼ばれる7種の必須アミノ酸を約3か月間与えたところ、脳の萎縮が抑制されることが確認されました。
「AminoLP7」は以下のアミノ酸で構成されています。
- ロイシン
- フェニルアラニン
- リジン
- イソロイシン
- ヒスチジン
- バリン
- トリプトファン
これらのアミノ酸は、神経伝達物質の生成に関与しており、脳の機能維持に重要な役割を果たします。
また、加齢によって食欲が低下し、タンパク質不足が起こりがちです。
研究チームは、低タンパク食を与えた認知症モデルマウスにも「AminoLP7」を与えたところ、脳萎縮が抑制されることを確認しました。
さらに、「AminoLP7」は神経細胞同士をつなぐシナプスの数を健常マウスと同レベルに維持することが判明しました。
これらの結果から、「AminoLP7」は脳の神経細胞の働きを高め、脳内炎症を抑制することで、認知症の進行を抑制する可能性があると考えられています。
研究チームは今後、ヒトを対象とした臨床研究を行い、認知症の発症予防法の開発を目指しています。
私たちにできること
現時点では、7つの必須アミノ酸が認知症予防に効果的であるという確証はまだありません。しかし、今回の研究結果は、認知症予防の可能性を示唆する興味深いものです。
日々の食事の中で、上記の7つの必須アミノ酸を意識的に摂取することは、脳機能の維持に役立つ可能性があります。
参考文献
- Seven Essential Amino Acids Suppress Cognitive Decline in a Mouse Model of Alzheimer’s Disease
