深い睡眠が血糖値を改善するメカニズム
睡眠不足は、糖尿病のリスクを高めるだけでなく、血糖コントロールの悪化にもつながることが知られています。しかし、睡眠が血糖値にどのような影響を与えるのか、そのメカニズムはこれまで不明でした。
2023年、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校の研究グループが、深い睡眠がインスリンに対する感受性を改善し、血糖値を下がりやすくなるメカニズムを解明しました。
研究チームは、600人の被験者を対象に、睡眠時の脳波と翌日の血糖値の変化を調査しました。その結果、深い睡眠時の脳波に見られる睡眠紡錘波と徐波の組み合わせによって、翌日の血糖コントロールが予測できることを発見しました。
睡眠紡錘波と徐波は、交感神経の活動を抑制し、副交感神経の活動を高める働きがあります。副交感神経は、血糖値を下げる働きのあるホルモンの分泌を促進すると考えられています。
つまり、深い睡眠によって副交感神経が優位になると、血糖値を下げるホルモンの分泌が促進され、血糖値が下がりやすくなると考えられます。
これらの結果は、睡眠が糖尿病の治療や予防に重要な役割を果たしていることを示唆しています。睡眠不足は糖尿病のリスクを高めるだけでなく、血糖コントロールの悪化にもつながるため、十分な睡眠をとることが大切です。
睡眠を改善する方法
睡眠を改善するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 毎日決まった時間に就寝し、決まった時間に起床する
- カフェインやアルコールの摂取を控える
- 寝る前にリラックスする時間を設ける
- 寝室を暗く、静かに、涼しくする
また、睡眠障害の可能性がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。