エイプリルフールで嘘つきだらけの日ではありますが、私たちは皆、人生において「正直さ」と「嘘」の間で葛藤を感じる経験をします。 一瞬の利便性を求めて真実を曲げてしまうこともあるでしょうし、たとえ損をしても正直さを貫くこともあるでしょう。
なぜ人は嘘をつくのか?なぜ正直であることが重要なのか?
これを脳科学的なアプローチから答えを与えてくれるのが、京都大学こころの未来研究センターの研究です。
この研究では、fMRIを用いて、正直さと不正直さに関わる脳の仕組みを解明しました。
実験では、被験者にお金がもらえるという報酬を提示し、コイントスの結果を正直に申告するかどうかを調査しました。
その結果、報酬への欲求が強い人ほど、「側坐核」と呼ばれる脳の部位の活動が高く、嘘をつく傾向が高いことが分かったのです。 側坐核は、報酬予測や快感に関与する脳部位です。つまり、報酬への欲求が強い人は、その欲求を満たすために、真実を曲げてしまう可能性が高いことが示唆されました。
一方、正直な人は、「背外側前頭前野」と呼ばれる脳の部位の活動が高く、理性的判断や行動制御を働かせていることが分かりました。 背外側前頭前野は、倫理観や道徳観に基づいて行動を抑制し、社会規範に則った判断を下す役割を担っています。
この研究結果から、人間らしい高次な脳機能を持つ人ほど、正直な行動を取りやすいと言えるでしょう。
なぜなら、前頭前野は、人間特有の高度な思考能力、例えば、計画性、論理的思考、抽象的な思考、問題解決能力、創造性などを司る部位だからです。
つまり、前頭前野が活性化している人は、感情や衝動に流されず、冷静に状況を判断し、倫理観に基づいて行動を選択する傾向があるのです。
では、どのようにすれば、前頭前野を活性化し、正直な脳を育むことができるのでしょうか?
前頭前野は、学習や経験によって活性化されることが分かっています。
具体的には、以下のような活動が効果的です。
- 読書や学習など、脳を活性化する活動を行う
- 新しいことに挑戦し、経験を積む
- 運動習慣を取り入れ、脳の血流を促進する
- 十分な睡眠時間を確保し、脳を休ませる
- 瞑想やマインドフルネスなど、心を落ち着かせる習慣を取り入れる
これらの活動を通して前頭前野を活性化することで、より正直で高次な人間として成長することが期待できます。
正直さは、個人間の信頼関係を築き、社会をより良い方向へ導くための重要な要素です。
脳科学の研究は、私たちがより正直な社会を実現するために、どのように脳を鍛え、活用していくべきかを示唆しています。
参考
いわさき写真教室をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。