この記事の結論
- じりきは、自分一人で何とかする根性論ではなく、日々の現場に効く自力と、どんな場面でも応用できる地力の掛け算だと捉えた方が扱いやすい。
- 自力は、問題解決術・学び方・実践のスピードなど、毎日の動きを支えるスキルや習慣であり、地力はマーケティングやことばの扱い方など、長く使える考え方の土台になる。
- いきなり劇的な変化を狙うのではなく、自力は小さな実験の回数を増やす、地力は一つの本質を何度も現場で検証する、という形で少しずつ積み上げていくのが現実的な育て方である。
どうも岩崎です。
前回は、もし今の仕事やサイトを全部失っても、また立ち上げられるかどうか。そのときに頼りになるのは、流行のノウハウではなく、じりきですよね、という話をしました。
今日は、そのじりきをもう少し分解して、自力と地力という二つの側面で整理してみます。これを切り分けておかないと、「まだあの講座を受けていないから不安」「このツールを導入していないから自信がない」といった、永遠に足りない感に振り回されやすくなります。

自力と地力を切り分けて考える
私がクライアントさんとの会話でよく使うのが、自力と地力という言い方です。読み方は同じじりきですが、意味合いは少し違います。
- 自力:今ある環境の中で、自分で考えて動くためのスキルや習慣。
- 地力:環境が変わっても、形を変えて使い回せる本質的な力。
例えば、ビジュアルマーケティングで言えば、自力は「限られた予算と機材で、今の現場をどう工夫するか」という力です。スマホしかなくても、光の方向や構図を変えてみる。無料のツールだけで、最低限のLPや画像を組んでみる。そういった、小回りの利く力です。
一方の地力は、「なぜこの写真は人の目を引くのか」「なぜこのLPは読み進めたくなるのか」といった原理原則を理解しているかどうかです。構図のパターン、視線の流れ、ことばの順番、行動心理。ここが分かっていれば、カメラが変わっても、媒体が変わっても応用がききます。
どちらか一方だけだと、どうしても偏ります。自力だけが強いと、その場その場は何とかなるけれど、いつも場当たり的で疲れてしまう。地力だけを追いかけると、勉強はしているのに、現場での一歩がなかなか出ない。この二つを、少しずつ揃えていくイメージです。
自力は「今あるものでどう試すか」の力
まず、自力の方から。自力は、ざっくり言うと「今ある条件の中で、とりあえずやってみる力」です。完璧な環境が整うのを待たずに、仮で試す。うまくいかなければ、さっさとやり方を変える。そのスピードです。
例えば、こんな感じのものが自力に入ってきます。
- 分からないことを調べて、自分なりに仮説を立ててみる習慣。
- 小さく試して、数字や反応から学びを拾うクセ。
- 完璧ではなく「まず出す」を優先する仕上げ方。
- 時間が限られていても、最低限やるべきことを決めて動く判断力。
ビジュアルの仕事で言えば、「今日は逆光で撮ってみよう」「同じ被写体を3パターンの構図で撮ってみよう」といった、現場での小さな実験です。こういう回数が増えるほど、「こういう状況なら、これをやれば何とかなるな」という引き出しが増えていきます。
ここで大事なのは、「結果を出さなきゃ」と考えすぎないことです。自力は、結果というより「試した回数」の方に価値があります。たとえ微妙な写真でも、「なぜ微妙に感じるのか」を一言メモしておくだけで、次の一枚の質が変わります。
地力は「状況が変わっても使える考え方」
次に、地力の方。地力は、もっと長い目線で見たときに、ずっと使い回せる力です。トレンドのノウハウではなく、「どの時代でも、人はこういうものに反応しやすい」という、人間側のルールに近いものです。
例えば、こんなものが地力の代表です。
- マーケティングの基本構造(誰に、何を、どう伝えるか)。
- コピーや言葉の順番の考え方(感情→納得→行動の流れなど)。
- 行動心理や行動経済学のシンプルな原理。
- 写真やデザインの原則(コントラスト、余白、視線誘導など)。
例えば、プラットフォームは数年ごとに変わります。昔はブログ、そのあとにSNSやショート動画。そのたびに、表面のノウハウも変わりますが、「見た瞬間に何が分かるか」「次の一歩が想像できるか」という本質的な部分はあまり変わりません。
地力を育てると、この本質的な部分を見抜きやすくなります。新しいツールやサービスを見ても、「これは今までのこのパターンだな」と分類できるので、振り回されにくくなるんですね。
ここで大事なのは、「全部を一気に学ぼう」としないことです。地力は、広く浅く手を出すよりも、「これは一生使う」と思えるテーマを決めて、何度も現場で検証した方が、結果的に強くなります。
自力と地力を同時に育てる、シンプルなやり方
とはいえ、「自力も地力も」と聞くと、やることが増えた気がして、ちょっとしんどくなります。なので、私は次のくらいのシンプルさに落としています。
- 自力:今日か今週中に、小さく1つ試すことを決める。
- 地力:今年は、この1テーマだけは深掘りする、と決める。
例えば、自力の方は「今週の撮影は必ず1カットは思い切った構図を入れてみる」「今週はLPのファーストビューだけ3パターン作ってテストしてみる」といった、小さなチャレンジです。
地力の方は、「今年はマーケティングの基礎を一本通して押さえる」「今年はコピーの型を、実際の自分のビジネスに当てはめながら身につける」といった、長めのテーマです。これを、手元の案件や発信の中で繰り返し使っていきます。
こうしておけば、新しいノウハウ動画を見たときも、「これは今年のテーマに関係あるところだけ拾えばいいや」と割り切れます。全部を完璧に消化しようとするから、情報に疲れてしまうんですよね。
今日やってみてほしい「じりきメモ」
最後に、今日やってみてほしいことを一つだけ。ノートでもスマホでもいいので、こんな感じで一行ずつ書いてみてください。
- 自力メモ:今週、小さく試してみたいこと。
- 地力メモ:今年、腰を据えて身につけたいテーマ。
例えば、
- 自力メモ:今週は、撮影後に必ず3枚、自分なりの「良かった理由/微妙だった理由」をメモする。
- 地力メモ:今年は、「見せ方で価値が変わる」というテーマで、写真とコピーの勉強を続ける。
このくらいラフで十分です。むしろ、きれいに書こうとすると、またノートの最初の1ページだけ豪華になって終わってしまうので、汚くて良いです。自力と地力を分けて眺めてみるだけでも、自分の中の「足りない感」がだいぶ落ち着いてくるはずです。
次回は、このじりきをビジュアルやマーケティングの現場でどう使っていくか、もう少し具体的なケースで見ていきます。
ではまた。
P.S.
私は昔、本屋に行くたびに「これを読めば一発で変われそう」という本を買い集めていました。結果どうなったかというと、家の本棚には、自分を変えてくれるはずだった本がずらっと並び、その前でポテチを食べながらスマホをいじっている私がいるわけです。どう考えても本棚より先に、ポテチとスマホの距離を変える方が自力ですよね、という反省を込めて、今は一冊決めたらとりあえず何か一つは現場で試す、というルールにしています。
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