前回は、求人を行う場合の書き方をご紹介いたしました。
「もっと具体的なヒントを!」という方に、記載しておくと良いかもしれない求人コンテンツの例をいくつかご紹介します。
① 理念・想い
現場で働く人間はやりがいも欲しいし、自分の職場や仕事に誇りを持ちたいものです。
でも価値観の内容は人それぞれ。なので「理念・想い」はしっかりと事前に伝えておかないと、あなたの意向に沿わない人も応募をしてきてしまうことになります。
採用してからお互い「え、そんな感じの考えだったの!?」となるのは、採用する側もされる側も不幸となるので、最初から伝えておきましょう。
② Q&A
わからないことがある会社には応募しづらいです。「これって〜ですか?」とわざわざ問い合わせをしてくれる人は極めてレアです。
就職したい人が知りたいことって被っている内容も多いので、あらかじめまとめて答えておきましょう。
③ 1日の仕事の流れ
就職をしたら実際にどのような感じで仕事をするのかを、可能な限りハッキリとわかるようにしておきましょう。
「写真撮影のワークなんてどこも一緒だよ」というのはNGです。実際に就職をする前にリアリティを感じてもらうことが重要なので、できるだけ具体的に書きましょう。
単にワークの説明を書くだけでなく、その説明の中であなたのスタジオの特徴や働くメリットを織り交ぜればさらに良しです。
④ 明確なキャリアアップや給与や評価
待遇やキャリアなど、将来がどういう感じになるかが全くわからないのは、働く側としてはやっぱり不安。
また、過去の職場で評価に対する不満を持っている可能性もあります。人事評価基準なども含め、しっかりと明示してあげましょう。
ここをぼやかさないというのは、働く側としては言質(げんち)を取っているようなものなので、安心感が強くなります。
⑤ 店や会社の雰囲気
オシャレなスタジオで働きたい人もいれば、素朴な雰囲気のスタジオで働きたい人もいます。
雰囲気もよくわからないスタジオには興味がわきづらいですし、透明性がまったくなく怖いです。できるだけしっかりと掲載しておきましょう。
⑥ スタッフ紹介
どんな上司や同僚や先輩がいるのか、まったくイメージがわかない職場はやっぱり単純に怖いです。
「どんな状況でも耐えて頑張るぜ!」というマッチョなカメラマンさんを採用できるならそれに越したことはありませんが、カメラマンさんも人です。
生理的なものや雰囲気も含めて、最初から絶対に合わなそうな上司や先輩の下では普通は働きたくないでしょうから、事前に見せておくに越したことはないでしょう。
⑦ 先輩スタッフからの歓迎メッセージ
採用を決定する経営者との関係も大事ですが、働く人間からすれば、同僚や先輩や後輩との関係の方を重視する人も多いです。
江川卓が、監督や球団オーナーから熱烈オファーをもらって巨人に入団したのに、同僚の選手からスカンを食らって孤立するという例もあります。(古いか)
経営者が「おいで!」と言うだけよりも、一緒に働く仲間から大歓迎メッセージがある方が安心します。
そして、自分が働くかもしれないスタジオの先輩の生のリアルな感想や意見を聞けるのは、経営者自身が自分のスタジオの良さを語るよりも、信憑性が高く安心できます。
⑧ ブログ
ブログはスタジオの日常がはっきりと見えるので、やっぱり有効です。
どんなスタジオなのかよくわからないよりも、スタジオの仲間たちが仲が良さそうだったり、リア充感がありそうだと感じたほうが、魅力的な職場に見えます。(雰囲気が合わない人は応募しないので、それで敬遠されてもOK)
⑨ やること、やらないこと
あなたのスタジオで、「絶対にやること」「絶対にやらないこと(やらなくても良いこと)」があれば、しっかりと書いておきます。
特に「絶対にやらないこと(やらなくても良いこと)」はスタジオの特徴が明確に打ち出せます。
⑩ 採用までの流れ
どういう流れで採用されていくかは、明確にわかったほうが安心ですよね。
わからなくても良い人もいるでしょうが、わかったほうが良い人もいる以上、書けない理由がない限りは書いておいた方が良いでしょう。
しつこいようですが、透明度が低ければ低いほど離脱者は増えます。
その他の求人戦略4つのテクニック
最後に、求人募集をする時にやっておいた方が良い対策を紹介しておきましょう。
① ホームページに誘導する
さっきも言いましたが、誌面スペースが1番多い媒体はホームページです。つまり、1番アピールがしっかりとできる媒体です。
求人誌や求人サイトは誌面が限られますし、全部をアピールすることは不可能。
ガッツリとアピール・説明をしているスタジオのホームページの求人ページへ誘導し、詳細はそちらで確認してもらうようにしましょう。
② 行動のハードルを下げる
コピーライティングの原則で「Not Act」というものがあります。簡単にいえば「なかなか行動をしてくれない」ってことです。
Not Actを回避するために有効な方法は2つ。
1つは、読み手にとってほしい行動をしっかりと明確に指示すること。
求人の場合は大抵は「まずは問い合わせをしてもらう」になるはずです。その場合は「まずは(気軽に・今すぐ)問い合わせをしてください」と書きます。
「うちはこんな人を募集してますよ」だけで終わっていたり、単に連絡先が書いてあるだけというのはNGです。しっかりと背中を押してあげましょう。
もう1つは、行動のハードルを下げること。
相手にとってもらう行動のハードルが高過ぎると、なかなか行動してもらえません。
行動しやすいようハードルを下げた簡単な行動(BABY STEP)をしてもらうようにします。
- 問い合わせ
- 説明会
- 体験入店
など、可能な限り低いハードルを徐々に用意していきます。
相手に可能な限りリスクを負わせないように意識をしましょう。
なお、「Not Act対策」ついて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
③ メルマガやLINE公式アカウントに登録をしてもらう
就職先はそうカンタンに決断できるものではないですよね。じっくりと時間をかけて判断をしたい人もたくさんいます。
まだ就職や転職を真剣には考えていないけど「今より良いスタジオがあれば興味がある」という人もいるでしょう。
つまり、就職や転職をするタイミングはまちまちですし、そのタイミングはこちらではコントロールできないということです。
その対策として、常に接触できるようにしておき、常に情報を配信しておくことが重要。
「彼氏いるの?ならいいやサイナラ」ではそこでチャンスは終わりです。でもその子はいつフリーになるかわかりません。ガッツク人は嫌われます。(らしいですよ)
今後のことを考え、ヨユーの態度で長い目で見ましょう。
求人の戦略も、結局はDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)です。「DRM」ついて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
④ 本当のこと(絶対に守れること)しか書かない
テクニックというわけではないですが、ものすごく大事なことです。
ウソをついているつもりはなくても、「伝わっていない」「理解していない」「誤解している」状態で契約することも、雇う側も、雇われる側も、結果として不幸になる可能性は高くなります。
「あるがまま」を「可能な限りすべて」伝える、この努力をしましょう。
世の中の求人情報が同じような内容に見える理由
さいごにまとめ。
誌面スペースの問題で仕方ない部分もあるんですが、求人誌や求人サイトに載っている求人情報はやっぱり似たような内容にしか見えづらいという問題があるんですね。
その主な原因はこれです。
- 明確なターゲットが意識されていない
- 年齢や職歴などの統計的なこと(デモグラフィック)しか書いていない
- 情報が少なすぎる
特に③に関しては、自社のホームページに記載するのであれば誰でもすぐに対策できますよね。
これはテクニックとかじゃなくて「頑張って考えて書く」「相手のことを考えてあげる」ただそれだけです。
今の求人って、例えるなら1対100のお見合いパーティーです。
知名度バツグンの有名スタジオであれば、相手から寄ってくることもあるでしょう。
でもそうじゃないなら、やっぱりアピールが必要。
もちろん媚びる必要はなくて「過去の不満」「未来の不安」これを意識して、しっかりとアピール。
集客でも同じですが、「入店したらわかる」「問い合わせしたらわかる」これはNGです。
相手はモテモテ人間ですから、わざわざそんな面倒な手間を負いたくはありません。
また、よくわからないのに冒険をして就職をして失敗をして、数年・数ヶ月を棒にふるリスクを負いたい人もいません。
だから「仮想就職」をしてもらうことが大事です。
「あなたが働くところはこんなスタジオですよ」
「あなたがうちで働いたらこんな感じになりますよ」
こういう透明性を徹底的に出しておきましょう。
もちろん、100%コントロールできるわけではないですが、スタジオ側がしっかりと情報を見せてあげることによって、応募する側も正しい判断基準で働くスタジオを選べます。
採用して就職した後に「こんなはずじゃなかった」となるのは、写真スタジオ側もカメラマンさん側もハッピーじゃないですよね。
今回、お伝えしてきた内容はあくまで一例です。経営者さんごとに考え方も違うので、これが完璧で絶対の正解ってわけじゃありません。
例えば「スタッフの雰囲気を事前に気にする人はいらない」というのであれば、載せなくてもかまいません。そこは経営者さんのやり方次第で調整してください。
そして、ぜひあなたのスタジオのすばらしい特徴を、仕事を探しているカメラマンさんにアピールしてあげ、その結果お互い満足のいく雇用関係になっていただけたら、この記事を書いた意味もあってうれしいです。
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