「あなたは朝型人間ですか?それとも夜型人間?ですか?」多くの人が、朝はスッキリ目覚めて活動的な「朝型」と、夜になると活発になる「夜型」に分かれると認識しています。しかし、この違いは単なる体質や好みではなく、実は思春期の睡眠習慣によって大きく左右されることが最新研究で明らかになりました。
思春期の睡眠習慣が脳の構造に与える影響
メルボルン大学の研究では、12歳から19歳までの209人の男女を対象に、睡眠行動と脳の構造の関係を調査しました。その結果、思春期の初期段階である12~13歳頃に夜型にシフトした人は、朝型の子に比べて脳の白質の発達が阻害されることが判明しました。
白質の役割と夜型へのシフトがもたらす問題
白質は、脳内の情報伝達に関わる重要な物質です。特に、認知機能や感情と関連する部位に多く存在します。思春期に夜型にシフトすると、白質の発達が阻害され、これらの機能に悪影響を与える可能性があります。
- 白質とは?:脳の情報伝達を担う重要な組織
- 白質(はくしつ)は、脳と脊髄を構成する主要な組織の一つであり、神経細胞(ニューロン)の軸索(ぞくさく)が密集して白く見えることからその名がつきました。脳内の情報伝達を担う重要な役割を担っています。神経細胞から伝達される情報(信号)は、軸索を伝って脳内のさまざまな部位へと送られます。白質は、脂肪の膜である髄鞘(ずいしょう)によって覆われており、これが情報伝達の速度を高める役割を果たします。白質の健康状態は、脳全体の機能に大きな影響を与えます。白質が損傷すると、情報伝達の速度が低下し、さまざまな症状が現れます。例えば、認知機能の低下、運動障害、感覚障害などが挙げられます。
夜型へのシフトが将来の行動に与える影響
実際に、夜型の子は数年後に、攻撃性や反社会的行動の問題を抱える可能性が優位に高くなることも判明しました。思春期の睡眠習慣は、脳の構造だけでなく、将来の行動にも影響を与える可能性があるのです。
科学的に証明された早寝早起きの重要性
成人でも、1日寝不足になるだけで記憶力や感情の抑制力は格段に低下します。思春期は脳の発達段階であり、睡眠不足による影響はさらに深刻です。早寝早起きは、脳の健全な発達を促し、将来の行動にも良い影響を与える可能性があります。
夜型から朝型へのシフトも可能
同研究の研究者は、「夜型から朝型へのシフトも可能」と語っています。早寝早起きは習慣化によって改善できます。
親が子供と一緒にできる「朝活」習慣
- 朝日を浴びる
- 体を軽く動かす
- 朝ごはんを食べる
これらの習慣は、脳を活性化し、心身をリフレッシュする効果があります。
まとめ
思春期の睡眠習慣は、脳の構造と将来の行動に大きな影響を与えることが科学的に証明されました。早寝早起きは、脳の健全な発達を促し、将来の可能性を広げるために重要な習慣です。親は、子供と一緒に「朝活」習慣を取り入れ、脳と心の健全な成長をサポートしましょう。
参考
朝夕の好みは、朝または夕方指向のリズムに対する個人の好みとして定義されます。思春期になると、夕方を好む傾向が強くなります。夕方は精神病理の内在化と外在化に横断的に関連しているが、夕方の発達変化とその潜在的な生物学的基質を調べた研究はほとんどない。今回我々は、青年期にわたる夕方性嗜好の軌跡、精神病理学と白質の発達の内在化と外在化の間の長期的な関係を調査した。
補足
- 本研究は、観察研究であり、因果関係を証明するものではありません。
- 睡眠習慣以外にも、遺伝や環境などの要因が脳の構造や行動に影響を与える可能性があります。
- 早寝早起きは、子供だけでなく、大人にとっても重要な習慣です。
本記事は、研究結果を要約したものであり、医療アドバイスとして解釈されるべきではありません。
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