近年、高齢化社会の進展に伴い、認知症患者の増加が深刻な社会問題となっています。認知症は、記憶力や判断力などの脳機能が低下する病気であり、日常生活に支障をきたすだけでなく、家族にとっても大きな負担となります。
この認知症の発症リスクを高める要因の一つとして、幼少期の運動不足が挙げられています。 2022年に発表されたオーストラリアのモナッシュ大学とメンジーズ大学医学研究所の研究によると、7~15歳の頃に運動習慣が良好だった人は、30年後の中年期において、脳の処理速度や注意力などの認知能力を高く維持している傾向にあることが明らかになりました。
この研究結果は、幼少期の運動習慣が将来の認知機能に与える影響の大きさを示唆しています。 しかし、なぜ幼少期の運動不足が認知症リスクを高めるのでしょうか?
その理由は、主に以下の3点が考えられます。
1. 脳の成長促進
運動は、脳の神経細胞の新生と成長を促進することがわかっています。 特に、幼少期は脳が急速に成長する時期であり、この時期に運動することで、より多くの神経細胞が生まれ、脳全体の機能が向上することが期待できます。
2. 脳血流の改善
運動は、心肺機能を向上させ、脳への血流を改善する効果があります。 脳は酸素と栄養素を多く必要とするため、血流が改善されることで、脳全体の機能が活性化し、認知能力の維持に役立ちます。
3. 炎症の抑制
近年、慢性的な炎症が認知症の発症リスクを高めることがわかっています。 運動は、炎症を引き起こす物質の産生を抑制し、脳の炎症を軽減する効果があります。
大切なのは、幼少期から積極的に体を動かす習慣を身につけることです。 将来の認知症リスクを減らし、健康で充実した生活を送るためには、今からできることから始めていきましょう。
幼少期に運動習慣を身につけるための具体的な方法をご紹介します。
- 毎日30分以上、外遊びや室内での運動をするようにしましょう。
- 子どもが楽しめる運動を選び、一緒に運動をすることで、親子で楽しい時間を過ごすことができます。
- 学校の体育の授業や、スポーツクラブなどに積極的に参加させましょう。
- テレビやゲームなどの時間を制限し、体を動かす時間を増やすようにしましょう。
幼少期の運動習慣は、将来の健康に大きな影響を与えます。 子どもたちの健康と将来を守るために、今から積極的に運動習慣を身につけるようサポートしていきましょう。
参考資料
The “Real” 7-Up – the 30-Year Study Linking Childhood Obesity and Fitness to Midlife Cognition
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