アルツハイマー型認知症は、脳細胞が徐々に減少し、脳が萎縮する病気です。脳に蓄積した異常なたんぱく質「アミロイドベータ」が悪影響を及ぼすことは分かっていますが、その原因はいまだはっきりとは解明されていません。
認知症の症状は、記憶力や判断力の低下、物忘れ、言語障害、失行など多岐にわたります。症状が進行すると、日常生活を送ることが困難になることもあります。
食物繊維が認知症を抑制する可能性
オーストラリアのモナシュ大学が行ったマウスによる実験によると、食物繊維豊富なエサを与えると、認知機能低下を遅らせることができることが判明しました。逆に、繊維が欠如したエサを与えられたマウスは、認知機能低下を加速させ、海馬の神経細胞の新生が阻害されることも分かりました。
短鎖脂肪酸の働き
大腸で腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を発酵することによってつくられる有機酸が、短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸には、腸上皮細胞のエネルギー源になったり、免疫反応のコントロールや抗炎症作用などに関わるなど、重要な働きがあります。
マウス実験の結果
マウス実験では、食物繊維豊富なエサを与えられたマウスは、短鎖脂肪酸の産生量が多くなっていました。また、これらのマウスでは、認知機能低下が遅れ、海馬の神経細胞の新生が促進されていました。
水溶性食物繊維を多く含む食品
水溶性食物繊維を多く含む食品は、大麦や押し麦、オートミールなどの穀物や、カボチャや大根、ピーマンなどの野菜、納豆や大豆などの豆類に豊富です。これらの食品をたっぷりとれる食事を心がけることで、認知症の予防に役立つと考えられます。
認知症予防のための食事
認知症の予防には、バランスの良い食事と適度な運動が大切です。また、ストレスを溜め込まないようにすることも重要です。
食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取し、認知症を予防しましょう
参考
https://www.jneurosci.org/content/early/2023/08/11/JNEUROSCI.0724-23.2023