「言葉の暴力」という言葉はよく耳にするようになりましたが、実際に経験したことがある人も多いのではないでしょうか。家族や友人など、親しい間柄だからこそ、つい相手を傷つけるような言葉を言ってしまいがちです。
しかし、「相手の顔を平手打ち」となると、多くの場合、「とんでもない!そんなことした覚えはない」と思うでしょう。
最近の研究では、脳科学的に驚くべきことが明らかになりました。
脳は、「平手打ち」と「侮辱」を同じように深刻な脅威として認識し、脳に深刻なダメージを与える可能性があることが分かりました。
まるで、脳が「熱いお湯」を浴びせかけられたかのような反応を示すのです。
なぜ、言葉の暴力は脳に深刻なダメージを与えるのか?
1. 脳は「熱いお湯」と同じように、侮辱を脅威と感じる
オランダのユトレヒト大学の研究チームが行った実験では、79名の被験者の頭部に脳波計を装着し、「侮辱」と「賛辞」を含む文章を声に出して読んでもらいました。
その結果、被験者たちの脳は、侮辱の言葉に対してより素早く、敏感に反応することが分かったのです。
脳は、身体的な攻撃だけでなく、言葉による攻撃も脅威として認識します。侮辱されたと感じると、脳はストレスホルモンであるコルチゾールを分泌し、心拍数や血圧を上昇させます。
まるで、「熱いお湯」を浴びせかけられたかのような反応です。
2. 言葉の暴力は、脳の記憶処理に悪影響を与える
研究によると、侮辱の言葉は、脳の記憶処理に悪影響を与えることも明らかになっています。
侮辱されたときの記憶は、海馬と呼ばれる脳の記憶をつかさどる部分に強く刻み込まれます。そのため、侮辱された記憶は、長期間脳に残留し、トラウマにつながる可能性があります。
まるで、「熱いお湯」で傷ついた皮膚が、なかなか治らないような状態です。
3. 言葉の暴力は、脳の構造を変える可能性がある
さらに、長期的な言葉の暴力は、脳の構造を変える可能性があることも示唆されています。
研究によると、慢性的なストレスは、海馬や前頭前皮質などの脳の重要な領域の萎縮を引き起こす可能性があります。これらの領域は、記憶、学習、感情調節などの重要な機能をつかさどっています。
まるで、「熱いお湯」で脳が煮られてしまい、機能が低下してしまうような状態です。
言葉の暴力は、決して許されるものではありません。
相手を傷つけるような言葉は慎み、思いやりを持ってコミュニケーションを図ることが大切です。
「ちょっとからかってやろう」「冗談だから」と、軽い気持ちで口にした言葉が、もしかしたら相手をビンタしたときと同じぐらい傷つけているかもしれません。ネガティブな言葉は人にぶつけない――そう心しておくことが、人間関係にトラブルを生まないコツと言えそうです。
参考
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcomm.2022.910023/full
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