最近、この相談はクライアントさんからもよくされます。
特に求人が大変な業界って、旅行業界とホテル業界。
今年に限っては、コロナも明けて旅行者が激増して、どこもかしこも人手不足。
私が、以前にホームページをディレクションした旅行専門学校の方に聞いた話ですが、
一人の生徒につき30件の応募があるそうです。
とんでもないですね。
卒業生にいたっては、
年間で1,000人ほどしかいない上に、
すでに就職先が決まっているケースも多いのでかなり大変。
今や、良いプランナーさんや旅行ガイドさんを採用することは、
集客以上に大変な戦いなわけです。
もちろん、
私の業界の写真スタジオの求人も激戦区です。
新宿区で調べてみると
有名な求人の検索エンジンとも言われている
インディードには3475件
あの有名な価格コムが運営している
求人ボックスには201件の求人で溢れています。
大体の割合としても、
正社員の募集が1としたら、9割がアルバイトの募集がされています。
また、インディードのユニークユーザーのアクセス数は月間2700万以上
求人数に関しては、
毎秒10件の求人情報が追加されているそうです。
ページを更新したら、別の求人票が出てくるという事ですね。
もう、熾烈な競争ですよね。
ということで、今回は
いい人材が集まる求人の書き方や見せ方をやっていきたいと思います。
これからご紹介する方法を参考にしていただければ
「ここで働いていみたいぜ!」と思ってもらえる確率が格段に上がります。
求人の原稿を書くステップ
どんな求人の媒体を使うにしても、
1番重要なのは「そこに書いてある内容」が大事です。
特に、
無料の求人サイトに関しては、
自身のウェブページへの誘導がほとんどだったります。
なので、自社ホームページの見直しも肝心です。
もちろん。
給与などのありきたりな労働条件のことだけじゃありません。
会社の魅力を伝えるために
「そこに書いてある(書くこと)こと全部」です。
(ココが、すごく重要)
何一つとしてムダなことは書くべきではないし、
アピールできることは、スペースが許す限り
すべて書く必要があるということです。
ということで、まずは求人原稿を書く手順を1つずつ見ていきましょう。
①「誰に」書くかを決める
まずは「誰に」コピーを書くかを明確にします。
「就職活動をしている人」のような広い対象ではなく、もっと具体的に決めます。
最低でも「どんな人を雇いたいか」「どんな人に働いて欲しいか」まで明確に。
就職活動中の人の反応は、
求人をしている会社が書いた内容で反応します。
つまり、
「あなたが求める人」には反応してもらえる
(興味を持つ・応募する)
「あなたが求めない人」は反応しない
(興味を持たれない・応募しない)
これを意識した内容を書く必要があります。
これを書くのは「ハッキリとしたターゲット」が頭に浮かばなきゃ不可能ですよね。
ということで、
まずはターゲットを明確にすることを一番先にやりましょう。
②「何を」書くかを決める
次は①で決めた「誰に」に対して、「何を」書くかを決めます。
「何を知りたいか?」
「どんなこと内容や条件に反応するか?」
を徹底的に考え、原稿を作っていきます。
ここは大事な部分なので、たっぷりと時間をかけて脳みそに汗を書きましょう。
(ヒントは後で解説します)
求めるターゲットが変われば、
当たり前ですが、伝えるメッセージも変わりますよね。
なので「こうやってを書くのが正解」というのはありません。
例えば、
給与体系を大々的にプッシュした原稿を書けば、
給与体系にこだわる人が集まりやすくなります。
同じように、
環境をメインに書けば環境にこだわる人が集まり、
キャリアアップをメインに書けば
キャリアアップにこだわる人が集まりやすくなります。
どんな人が集まるかは、
あなた次第なので、じーっくりと時間をかけて考えなくてはいけません。
③「どうやって」書くかを決める
最後は文章の校正をして、魅力的でわかりやすい文章に編集します。
「どう書いたらわかりやすいか?」
「どう書いたら魅力的に見えるか?」
を意識して修正していきましょう。
ちなみに、書く内容が決まっていない段階では、
この作業は絶対にやってはダメです。
「何を書くか」という作業と
「わかりやすい内容か」という作業はまったくの別物。
「わかりやすい内容」を考える行為は
「なにを書くか」に対してブレーキをかけてしまう行為なので、
同時にやるのはNGです。
「わかりやすい文章を書くのが苦手」というのであれば、
「文章を書くのが得意な他の人に任せてしまってもOKです。
ただ、「誰に」「何を」までは人に任せず、
絶対にオーナーであるあなたが考えなくてはいけません。
求人原稿で意識するべき3つのポイント
次に、「何を書くか」で意識するポイントをもう少し掘り下げてみましょう
ポイントは3つあります。
① あなたの会社のことを徹底的にさらけだす
求人の原稿には、
おもに条件面や会社の紹介などを書くわけですけど、
省略をせずに全部さらけ出せすつもりで徹底的に書きましょう。
「これ、どうしようっかな?」と迷ったら
とりあえずそのまま行きましょう。
本当にいらないと思えば、あとから削れば良いので。
1番長く書ける媒体は、自社ホームページ内での求人ページですよね。
なので、まずは1番長い「ホームページバージョン」の原稿を作ります。
求人情報誌など誌面が限られている媒体の場合は、
ホームページで書いた原稿の中から、
まぁ削ってもいいかなーってところを削って調整します。
とにかく最初はガッツリ書く。
「求人は戦い」なので手を抜いた時点で終わります。
たとえば、自分自身がどこかの会社で働くとしたら、
事前にその会社のことを徹底的に調べますよね。
自分の子供を幼稚園や保育園や学校に入れる時にも、きっと徹底的に調べます。
デートに行く時だって、行く場所を徹底的に調べます。
ペラッペラの情報しかわからないのに
「(あえて)ここに行こう!」という人はいません。
相手のことがよくわからなければ、魅力的に感じようがないんですよね。
そして、それ以上に問題になるのが、
情報不足による「リスクの回避」。
つまり「よくわかんないから、ここはやめとこー」ってことです。
一生を左右するかもしれない就職で
(しかも就職先を選べる立場で)、
よく分からない職場に「あえて」飛び込む人はほとんどいないですよね。
集客にしても、求人にしても、この「リスクの回避」対策はめちゃくちゃ重要。
人は「利益の確保」より
「リスクの回避」の方を選びやすい傾向にあるからです。こ
のことを損失回避性と言います。
感情の強さとしては「得したい!」って感情より
「損をしたくない!(失敗したくない)」って感情の方が、
約2.25倍強いことが証明されています。
(これをプロスペクト理論と言います)
言葉や細かい数字は覚えなくて良いですが、
集客にしろ、求人にしろ、あらゆる場面で大事になることなので、
この特徴を覚えておいてください。
『「得したい!」って感情より「損をしたくない!(失敗したくない)」って感情の方が、めっちゃくちゃ強い!』わけです。
情報を出さないのは、デメリットしかありません。ガッツリと出していきましょう。
②「過去の不満」と「未来の不安」の解決を意識する
知らない世界に入る時いろいろと不安があるものです。
就職はそのひとつ。
何しろ、今後の一生を左右するかもしれないことですし、生活の大半の時間を占めることですしね。
だから、多くの人はドキドキやモヤモヤな気持ちがあります。
これが「未来の不安」。
そして転職であれば、前の職場を辞めた「何らかの」理由がある可能性が高いですよね。
もちろん、円満退社や辞めたくないけど仕方なく辞めるケースもあると思いますが、
そうじゃないことも多い。
これが「過去の不満」。
この「不安」や「不満」が解決されていなければ、
「ここで働きたい!」と思ってもらえる可能性は減っていきます。
前職と同じような条件で働きたいか?というとそうではないという事です。
でも、書いてある内容は、どれも同じように見えてしまいます。
もちろん、
それぞれのスタイルがあるでしょうから、ムリに相手に合わせる必要はないと思います。
でも、少なくとも「どんな会社なの?」「どんな労働環境なの?」と、
よくわからないという状態では、
これから働く人にとっては一生を決める就職の決断の大きな壁になります。
ターゲットが、
どんな過去の不満と未来の不安を持っているかを考えて、
その問題に対して先回りで事前に負の感情への解決策を提示しておきます。
コツとしては、自分で考えるだけではなくて、
ターゲットに近い人間に実際にヒアリングをしてみてください。
募集する人間と、応募する人間では立場がまったく違うので、
頭の中の妄想だけで、完全に共感するのはとても難しいです。
応募する人間に近い立場の人間に聞いてしまうことが、1番確実で早い方法です。
③ サイコグラフィックを意識する
ほとんどの求人情報に書かれている内容は、
デモグラフィックしかありません。
デモグラフィックというのは、
年齢や職歴などの統計的なこと。
これだけでは差別化は難しいです。
どの求人も同じような原稿になってしまい、
読み手の心には何も響きません。
デモグラフィック以上に意識するべきは、
価値観、ライフスタイルなどの心理学的な特性(サイコグラフィック)です。
わかりにくければ
世界観と考えてもOKです。
会社の世界観、ライフスタイルの世界観、あなた自身の世界観。
これを出すというのは、めちゃくちゃ強力です。
お金で勝負する会社は、
お金で他に負けたら終わりです。
つまり、価格勝負をしたら、価格で負けたら終わるという事です。
ま、余談ですけど、
金銭などの、条件だけで求人をした場合、
自主性や意欲に関しては限界がきやすくなります。
よく書いてありますよね。
主体性の人募集!自主的に行動できる人!
なんて書いてあります。
果たして、読み手が主体性とはなんのか理解できているんでしょうか?
もう少し、具体的に書いてあげる必要があるんじゃないかな?と思います。
もちろん、主体性とはこうだ!とわかっている人に来てもらいたいのであれば、
話は別ですが。
余談ですが、
これを、金銭的報酬と精神的報酬と言ったりしますけど、このあたりの話に興味がある人は
「ダニエル・ピンク」と検索してみてください。
きっと役に立つと思います。
ダニエル・ピンクに関しては神田昌典さんや大前研一さんが訳した本もいくつか出ていますが、TEDでビデオも上がっているのでそれを観るだけでも十分です。
具体的な10のヒント
「もっと具体的なヒントをくれ!」という人に、
記載しておくと良いと思われる、求人コンテンツの例をいくつかご紹介しておきます。
① 理念・想い
現場で働く人間はやりがいも欲しいし、自分の職場や仕事に誇りを持ちたいものです。
でも価値観の内容は人それぞれ。
なので「理念・想い」はしっかりと事前に伝えておかないと、
あなたの意向に沿わない人も応募をしてきてしまうことになります。
採用してから「え、そんな感じの考えだったの!?」となるのは、
採用する側もされる側も不幸となるので、最初から伝えておきましょう。
② Q&A
わからないことがある会社には応募しづらいです。
「~ですか?」とわざわざ問い合わせをしてくれる人はレアです。
就職したい人が知りたいことは被っている内容も多いので、
あらかじめまとめて答えておきましょう。
③ 1日の仕事の流れ
就職をしたら実際にどのような感じで仕事をするのかを、
可能な限りハッキリとわかるようにしておきましょう。
「仕事内容なんてどこも一緒だよ」というのはNGです。
実際に就職をする前にリアリティを感じてもらうことが重要なので、
できるだけ具体的に書きましょう。
単に仕事内容の説明を書くだけでなくて、
その説明の中で特徴や働くメリットを織り交ぜればさらに良いです。
④ 明確なキャリアアップや給与や評価
待遇やキャリアなど、将来がどういう感じになるかが全くわからないのは、
働く側としてはやっぱり不安でしょう。
また、過去の職場で評価に対する不満を持っている可能性もあります。
人事評価基準なども含め、しっかりと明示してあげましょう。
ここをぼやかさないというのは、働く側としては言質(げんち)を取っているようなものなので、
安心感が強くなります。
「げんち」とは、後で証拠となる言葉を相手から引き出す事です。
⑤ 店や会社の雰囲気
オシャレなオフィスで働きたい人もいれば、
素朴な雰囲気のオフィスで働きたい人もいます。
雰囲気もよくわからない会社には興味がわきづらいですし、
透明性がまったくなく怖いだけです。
できるだけしっかりと掲載しておきましょう。
⑥ スタッフ紹介
どんな上司や同僚や先輩がいるのか、まったくイメージがわかない職場はやっぱり単純に怖いです。
「どんな状況でも耐えて頑張るぜ!」というマッチョな人を採用できるなら
それに越したことはありませんが、働きたい人も人間です。
生理的なものや雰囲気も含めて、
最初から絶対に合わなそうな上司や先輩の下では普通は働きたくないでしょうから、
事前に見せておくに越したことはないでしょう。
⑦ 先輩スタッフからの歓迎メッセージ
採用を決定する経営者との関係も大事ですが、
働く人間からすれば、同僚や先輩や後輩との関係の方を重視する人も多いです。
経営者が「おいで!」と言うだけよりも、
一緒に働く仲間から大歓迎メッセージがある方が安心します。
そして、自分が働くかもしれない会社の先輩の生のリアルな感想や意見を聞けるのは、
経営者自身が自分の会社の良さを語るよりも、信憑性が高く安心できます。
⑧ ブログ
ブログはオフィスの日常がはっきりと見えるので、やっぱり有効です。
どんな会社なのかよくわからないよりも、会社の仲間たちが仲が良さそうだったり、
リア充感がありそうだと感じたほうが、魅力的な職場に見えます。
(雰囲気が合わない人は応募しないので、それで敬遠されてもOK)
⑨ やること、やらないこと
あなたの会社で、
「絶対にやること」「絶対にやらないこと(やらなくても良いこと)」があれば、しっかりと書いておきます。
特に「絶対にやらないこと(やらなくても良いこと)」は会社の特徴が明確に打ち出せます。
⑩ 採用までの流れ
どういう流れで採用されていくかは、明確にわかったほうが安心ですよね。
わからなくても良い人もいるでしょうが、
わかったほうが良い人もいる以上、
書けない理由がない限りは書いておいた方が良いでしょう。
何度も言いますが、透明度が低ければ低いほど離脱者は増えます。
まとめ
誌面スペースの問題で仕方ない部分もあるんですが、
求人誌や求人サイトに載っている求人情報は
やっぱり似たような内容にしか見えづらいという問題があるんですね。
その主な原因はこれです。
世の中の求人情報が同じような内容に見える理由
- 明確なターゲットが意識されていない
- 年齢や職歴などの統計的なこと(デモグラフィック)しか書いていない
- 情報が少なすぎる
特に③に関しては、
自社のホームページに記載するのであれば誰でもすぐに対策できますよね。
これはテクニックとかじゃなくて
「頑張って考えて書く」
「相手のことを考えてあげる」
ただそれだけです。
知名度バツグンの有名会社であれば、
向こうからから寄ってくることもあると思います。
でも、そうじゃないなら、やっぱりアピールが必要です。
もちろん媚びる必要はなくて
「過去の不満」
「未来の不安」
これを意識して、しっかりとアピール。
集客でも同じですが、
「入店したらわかる」
「問い合わせしたらわかる」
これはNGです。
相手はモテモテ人間なので、
わざわざ、そんな面倒な手間を負いたくはありません。
また、よくわからないのに冒険をして
就職をして失敗をして、数年・数ヶ月を棒にふるリスクを負いたい人もいません。
だから「仮想就職」をしてもらうことが大事です。
「あなたが働くところはこんな会社ですよ」
「あなたがうちで働いたらこんな感じになりますよ」
こういう透明性を徹底的に出しておきましょう。
もちろん、100%コントロールできるわけではないですが、
会社側がしっかりと情報を見せてあげることによって、
応募する側も正しい判断基準で働く会社を選べます。
採用して就職した後に
「こんなはずじゃなかった」となるのは、
両方ともに、幸せじゃないですよね。
今回、お伝えしてきた内容はあくまで一例です。
経営者さんごとに考え方も違うので、
これが完璧で絶対の正解ってわけじゃありません。
例えば
「スタッフの雰囲気を事前に気にする人はいらない」というのであれば、
載せなくてもかまいません。
そこは経営者さんのやり方次第で調整してください。
そして、
ぜひあなたの会社のすばらしい特徴を、
仕事を探している人にアピールしてあげて、
その結果、お互い満足のいく雇用関係になっていただけたら、うれしいです。
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